6月15日(木)
久々に恐ろしい本を読んだ。それは医師で作家の久坂部 羊さんが書いた「老乱」という小説です。何が恐ろしいって?それをザックリ説明しましょう。
この小説の主人公、五十川幸造は78歳の老人である。4年前に妻を亡くし、今は古びた自宅で一人暮らし、娘の登喜子は遠い地へ嫁ぎ、息子の知之は近くに住んで居るけれど狭いマンション暮らしで父親を引取れない。
一人暮らしの生活にも慣れた幸造は、自分ではしっかりしてるつもりであったが、ある日立入禁止の駅構内に踏み込みトラブルを起こす。又ある時は、自炊中に火事を起しかけたりと思わぬ事が続く。
そんな義父の姿に認知症の疑いを持った息子の妻雅美は、知之をけし掛け幸造を病院へ連れて行こうとするがガンとして受付けない。息子夫婦に憤慨した幸造は誰にも告げず旅に出るが、旅先で自分の居場所が判らなくなってしまう。
旅先の宿から連絡を受けた息子夫婦が再会した幸造は、すっかり呆けて以前の姿ではなかった。病院で「レビー小体型の認知症」と診断され、その後徐々に症状の悪化した幸造は、生きる意欲を無くし最後は寝たきりになっていく。・・・
というある認知症老人の姿を描いたドキュメンタリ―風小説です。この本を読んでいくと、団塊世代の我が身と置き換えて身につまされる。これはフィクションでは無くて将来の自分に充分起こり得る現実なのだ。それを思うと不安が募る。何だか今夜は嫌な夢を見てしまいそうだ。