透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『幼児期ー子どもは世界をどうつかむかー』その2

2014-06-28 20:44:59 | 日記

雨のち晴れ。

昨夜から空が雲に覆われ、明け方は静かに細かな雨が降っていた。最低気温は19.2℃と高めで推移したようだ。空が雲で蓋をされた状態だったからだろう。

岡本夏木著の岡本夏木著の『幼児期ー子どもは世界をどうつかむかー』(岩波新書、2005年5月20日・第一刷発行、2010年7月15日・第10刷発行)岩波新書、2005年5月20日・第一刷発行、2010年7月15日・第10刷発行)から。

 しかも重要なことがあります。たしかにおとな文化と子ども文化は、おとなと子どもがある限り併存し対立し合ってゆきます。しかしそれが外的に併存対立するだけにとどまらないところに、人間の発達の根本があります。つまりおとなは自己の内にかつての幼児期を内在させてゆきます。……略・・・・・・自己の中に確固とした対抗文化を抱いて、現在の社会文化に対処しながらその成員として生きてゆくこと、これはいたって困難なことではありますが、現在の社会を常に人間的に批判し、自己を人間的存在たらしめてゆく視座として、私たちの中に働き続けてくれるはずです。

 幼児期の空洞化は、その子が将来、内にはらんで生きるべき対抗文化がきわめて貧弱なまま、ますます困難化する社会的現実にさらされることを意味します。今こそ幼児期の再建をと願うのはそのためです。そして、自己のうちに対抗文化としての幼児期を内在させたおとなが、幼児を単に政治的、教育的対称として扱うだけでなく、ともに一つの同じ時代を手を組んで生きている共同者として交わるところから出発することが、今ほど求められる時はありません。

この本の初版から9年目の今年、子ども時代を根こそぎ失いそうな状況に舵が切られようとしている。おとなが自己のうちにおとな文化に対する文化としての幼児期を内に持つことで、人間的存在としての自己を見つめなおすことができる。幼児期を豊かに過ごすことができる社会環境を整えるのがおとなの仕事であろうに・・・・・・・。

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