岡本夏木著の岡本夏木著の『幼児期ー子どもは世界をどうつかむかー』(岩波新書、2005年5月20日・第一刷発行、2010年7月15日・第10刷発行)岩波新書、2005年5月20日・第一刷発行、2010年7月15日・第10刷発行)から。
「せめて子どもを・・・・・」
……中略・・・・・・・日本の場合、その危機はあえて言えばバブルやIT革命などに代表される「恵まれすぎ」がもたらした人間疎外に起因して、それがさまざまな形で子どもを追い詰めている姿とも言えます。これに対して広く世界では、無数の子どもが貧困と飢餓と病苦に苦しんでいます。また大義の名の下に使用される大量殺戮兵器の犠牲として、日々子どもの生命が奪われています。
このような子どもに対して、おとなはどう責任をとるべきなのでしょうか。
有史以来、人間が人間を食べ、自分もまた人の肉を食ったとの想念にとりつかれ、やがてまた自分も食われようとしていることにおそれおののく男が、最後に言います。人間を食ったことのない子どもは、まだいるかしら?せめて子どもを・・・・・・・(救救孩子・・・)(魯迅、竹内好訳「狂人日記」『魯迅文集』第1巻、筑摩書房)
2005年頃に書かれた本書では、日本の場合の社会的・文化的に現在に置かれている幼児の危機として「恵まれすぎ」た人間疎外を挙げていますが、2014年を境にしたこの先は「貧困と飢餓と病苦」や大義の名の下に使用される大量殺戮兵器の犠牲」となることもありえるのでしょうか。