「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

初の裁判員裁判 (2)

2009年08月14日 10時00分36秒 | 罪,裁き,償い
 
(前の記事からの続き)

 裁判員裁判では、 検事や弁護士の 法廷でのプレゼン能力によって、

 裁判員の裁決は 変わってきてしまうと思われます。

 陪審員裁判も、 劇場型になっていると言われます。

 また、 そのとき選ばれた 6人の裁判員が、

 たまたま どんな人だったかによっても、

 量刑など かなり幅が出てしまうのではないかと 懸念します。

 模擬裁判でも、 同じ事件を扱った 複数の裁判で、

 判決は当然 差が出ていました。

 裁判を受ける側からすると 不公平ですし、

 逆に裁判員は 自分の判断ひとつで、

 被告の人生を左右する 重圧がかかることになるでしょう。

 もちろん 控訴はでき、 二審以降は 専門家だけによる 裁判になりますが、

 一審の判決は 尊重しなければなりません。

 少しでも公平な 審理を導くため、 裁判員を最終的に決める 抽選の際には、

 性別や年齢が 偏らないようにしたほうが いいのではないかと思います。

 例えば、 裁判員が偶然 全員20代になった場合と、

 高齢者ばかりに なった場合では、 恐らく考え方は 異なってくるでしょうし、

 性犯罪の裁判でも 裁判員の男女比によって、

 判決に影響が 出てくるのではないでしょうか。

 それから、 守秘義務についてはどうでしょう? 

 裁判員経験者は会見で、

 自由な評議のために 必要だし、 一生守っていくと 言っていましたが。

 陪審員には 守秘義務はなく、 経験者の話が 伝えられることによって、

 制度が深まったり 検証されたりします。

 生涯 口を閉ざすのは 精神的に負担でしょうし、

 そもそも 言論の自由に 反するかもしれません。

 まぁ そんなところが、 初の裁判員裁判を見た 雑感です。

 皆さんは いかがだったでしょうか? 
 
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初の裁判員裁判 (1)

2009年08月13日 14時00分21秒 | 罪,裁き,償い
 
 日本初の 裁判員による裁判が 2件終了しました。

 僕は当初から ずっと関心を持ち続けており、

 必要な制度だと思いますが、 如何せん 準備期間が短いと 危惧していました。

 でも 実際に行なわれた結果は、

 予想以上に 順調な滑り出しだった という感想ですね。

 常識的な市民感覚が生かされ、 従来の 専門家だけによる裁判が、

 思った以上に 偏っていたかもしれないことも

 浮き彫りになったようにも思います。

 呼び出しを受けた 裁判員候補者の、 9割台という 非常に高い出席率はじめ、

 どの裁判員も 真剣で公正に 取り組んでいました。

 もっとも、 いい加減な人間や 偏った人物は、

 事前の面接で 排除されるはずですが。

 裁判員が 発言しやすくしたり、 精神的負担を減らすための、

 裁判官のきめ細かな配慮にも 感心しました。

 尋問が終わるたびに 裁判官が休憩時間を取って、

 裁判員に 考えを整理させたりしたことは、

 オープンでないという 不信感を持つ向きも あるようですが、

 僕は 非常に有効な やり方だと思います。

 全国民が注目する中、 検察側・ 弁護側とも

 周到な準備をしていたことも、 成功の理由でしょう。

 裁判員への説明を 何度もリハーサルし、

 分かりやすい言葉を 吟味するなど、 相当苦労していました。

 でも 制度が広まってくると、 監視の目も薄れるし、

 悪い意味で慣れて 粗雑な裁判も 出てくるのではないかと思います。

 それは どんな分野や制度でも、 止むを得ないことかもしれませんが。

(ある検事によると、 裁判員裁判では作業量が 従来の倍になったと言い、

 弁護士は 3~5倍になったと 言っていました。

 ちなみに、 検察は国家組織ですが、

 弁護士は 基本的に個人なので、 ことさら大変でしょう。)

(次の記事に続く)
 
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