「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子が最後の夜を 過ごしたホテルの部屋 (2)

2007年02月14日 21時03分04秒 | 「境界に生きた心子」
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45129968.html からの続き)

 心子は ホテルの部屋を予約したとき、ヘビースモーカーなので 窓が開く部屋を,

 低所恐怖症なので 一番高い部屋を と偽って指定しました。

 事故後、部屋の窓は開かないように 処置されたそうです。

 心子の一周忌の日、共通の友人で 心子を好きだった 沢ちゃんは、

 心子をしのぶ “ツアー” を計画しました。

 当日の心子の足どりを そのまま再現して 追体験するというのです。

 σ (^^;)はビンボーなので、ホテルの最高級の部屋代は 払えなかったのですが、

 沢ちゃんが二人分 出すと言いました。

 フランス料理のフルコースも食し、窓の外も見てみると。

 窓の鍵をこじ開けるための 工具も用意していると言うのです。

 そんなことできるかと 僕は言いましたが、彼は本気でした。(・_・;)

 ところが、(理由は忘れてしまいましたが) その当時

 ホテルの近辺は 重警備がされていて、

 一晩中 機動隊員が大勢 繰り出していました。

 さすがに沢ちゃんも 迂闊なことはできないと、“ツアー” は断念したのですが。

 でも、心子が亡くなってから半年で 30㎏もやせてしまった 沢ちゃんは、

 本当に 後追いをしかねなかったかも? 
 

(なお のちに 僕がホテルを訪れて、

 心子が泊まった部屋のドアが たまたま開いていたので こっそり中に入ったとき、

 窓は開いて 下を見ることができました。

 やはり、その高さは 目がくらむものがありました。)
 
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心子が最後の夜を 過ごしたホテルの部屋 (1)

2007年02月13日 22時39分48秒 | 「境界に生きた心子」
 
 今までの記事でも書いたように、心子が最期を迎えたホテルには

 何回か問い合わせをしたり 足を運んだりしています。

 心子が旅立った翌日、まずホテルへ赴いて 大体の話を聞き、

 彼女が舞い降りた位置に 白い花を供えました。

 心子が泊まった部屋の前まで 案内してもらいましたが、

 その日は 別の人が予約しているということで、

 中には 入れてもらえませんでした。

 その数日後、僕は 心子が最後の夜を 過ごした部屋で、

 彼女が居合わせた空間を 共有したくなり、

 彼女が窓の外から 臨んだ光景も この目で実感したいと 思ったりしました。

 ホテルに電話をかけ、部屋に入れてくれないか 願い出ると、

 電話を受けた人は 承知してくれ、日時も約束しました。

 ところが その2~3日後、ホテルの上司から 電話がかかってきて、

 部屋に入るという約束は 勘弁してもらえないかと 切り出しました。

 部屋の窓も 開けられないように修繕したと。

 その代わり、電話で話せることは できるだけお話しするので、

 それで終わりにしてほしいと 申し出てきたのです。

 やむを得ず それに従い、当夜の心子の行動などを 詳しく聞かせてもらいました。

(レストランで フランス料理のフルコースを注文したとか、

 ルームサービスで ジンのカクテルを頼んだとか。)

 ところで、後になって ふと思ったのですが (^^; )、

 ホテル側は 僕が後追い自殺をするのを 恐れたのではないかと。

 電話を受けた人は そのことを認識していなくて、

 あとで上司から 咎められたのかもしれません。

(続く)
 
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刑事と取り調べ室にσ (^^;)

2007年02月12日 23時16分18秒 | 「境界に生きた心子」
 
 実は僕は、警察の取り調べ室で 刑事さんと差しで 話したことがあります。

 心子が ホテルの最上階から 宙に舞った翌日、

 所轄の警察に連絡をして 事情を聞かせてもらえないか お願いをしました。

 心子の死亡が 事故か事件かの 捜査をした刑事さんが、

 詳しい話をするから 署まで来ないかと言ってくれました。

 その日 僕は葬儀に参列する前に、所轄署へ足を運んだのです。

 そして 通されたのが 取り調べ室でした。 (^^;)

 捜査は 現場で調べる刑事と 署で連絡が入るのを待つ刑事と 二人組で行なうそうで、

 応対してくれたのは 署で控えていた刑事さんです。

 現場へ行った刑事さんは いかつくて恐そうな人でしたが、

 話をしてくれたのは 優しそうな 人情刑事さん風でした。

 刑事さんは事のあらましを 説明してくれ、ちょっと 生々しい話もありましたが。

 心子の持ち物から 精神科の診察券が出てきたので 病院に連絡を取ったこと、

 遺書があったこと、ホテルでは 不審な人物の出入りはなかったこと、

 総合的に見て、事件ではなく 事故という結論だった ということでした。

 まぁ、僕としては 最初から事件であるはずはないと 分かっていたわけですが。

 ところで、後になって ふと思ったのですが、

 刑事さんは 僕を署に呼んだとき、僕に説明を してくれるというよりも、

 僕も “関係者” として一応 話を聞いておこうと、

 本当に 「取り調べ」 を したのではなかったのかと…… (^^;)。
 

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部屋の明かり---心子が来ていないか

2007年02月11日 13時54分41秒 | 「境界に生きた心子」
 
 拙著に 次のようなエピソードを書いています。

 心子とトラブルがあって、彼女が消息を 絶ってしまったときのことです。

『それから 心子と連絡が付かなくなった。

 僕は日夜 電話とメールを送ったが、反応はなかった。

 夜道を帰宅するとき、アパートから五十mほどの 駐車場の空間越しに、

 僕の部屋の窓が 垣間見える箇所があるのだが、

 そこを通るたび 僕は部屋の窓を確認した。

 明かりが点いていないか、今日は心子が来ていないかと。』

 そして、拙著の一番最後は 次の一節で締めくくっています。

『今も僕は、夜道を帰ってくるとき、

 今日は部屋の明かりが 点いていないか、いつも確かめている。』

 ところが、拙著の出版後しばらくして、

 ちょうどその箇所に 常緑樹が植えられてしまいました。

 部屋の窓がさえぎられて 見えなくなり、

 明かりが点いているか 確かめられなくなってしまったのです。(;_;)

 拙著に嘘を 書いたわけではありませんが、

 読者の方には 現実と違うことを 伝えることになってしまいました。

 でも 最近、その木が刈られて、

 また 窓が見えるようになったのです。 (^o ^)

 今 ふたたび僕は、夜道を帰ってくるとき、

 今日は部屋の明かりが 点いていないか、いつも確かめています。 (^^)
 
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物書き冥利

2006年11月19日 16時17分30秒 | 「境界に生きた心子」
 
 新風舎を通して、久しぶりに 読者の方からの お手紙が届けられました。

 娘さんがボーダーであるという お母さんからのものです。

 今までにも何通か 同じ立場の方からの お便りがありました。

 ボーダーの患者さんを 家族に持って 苦しんでおられる方が、

 沢山いらっしゃる ということだと思います。

 拙著を読まれて、苦しんでいるのは 自分たちだけではない ということが分かり、

 救われたり 癒されたと 書いてくださいました。

 まだ一般的に ボーダーの認知度は高くなく、

 人にも言えずに 辛い日々を送っておられるのでしょう。
 

 ボーダーご自身の方々からの メールやお手紙も多くあります。

 拙著を読まれて 自分のことのように大泣きし、何回も読み直されたとか、

 拙著を いつも枕元に置いて、辛い時や悲しい時、

 折に触れて 読み返してくださるという方もいます。

 こういう方々のお役に わずかでも立てているなら、

 拙著を書いた価値があるし、心子も喜んでくれている と思います。

 ほんの少しでも 拙著が支えになれれば……。
 
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オペラ落語を紹介してくれた臨床心理士

2006年10月27日 21時31分56秒 | 「境界に生きた心子」
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41596129.html からの続き)

 昨日の記事に書いたオペラ落語を 紹介してくれた人は、

 僕と心子が 最初に出会った場である

 サイコドラマ ( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/20897026.html )での知り合いです。

 「境界に生きた心子」 を クリニックのスタッフの人たちにも 紹介してくれ、

 皆で泣きながら 感想をシェアしてくれたそうです。

 心子も僕も見事だった、と言ってくれました。

 冥利に尽きる話です。(T.T)
 

 ボーダーの人が 拙著を読まれた場合、

 非常に感動してくれる 人たちがいる一方で、

 とても傷つく人がおり、両極に分かれるという話を 僕はその人にしました。

 すると、その人は 専門家として しなやかで大きな視野で、こう言いました。

 ボーダーの人が 拙著で何を感じても、それは その人自身が 向き合っていく問題、

 本は 出版されれば 独り歩きするのだし、

 ボーダーの人も 本に出会ったことを 引き受けなければ と。

 確かに、ボーダーの人が 自らの問題を解決していくには、

 ぶつかった壁に 自分自身で立ち向かっていく 必要があるでしょう。

 自分の問題には、自分で答を出していくしか ないのですから。

 そして その時 何よりも大切なのは、「とことん付き合う」 という、

 パートナーや専門家の 親身で 粘り強い 支えに他ならないでしょう。
 
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〔追伸〕クリエーターズ・ワールド 終了予告

2006年09月24日 00時06分09秒 | 「境界に生きた心子」
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/39701103.html  からの続き)

 さきほど、新風舎クリエーターズ・ワールドの 担当の人から メールがありました。

 クリエーターズ・ワールドの 契約期限は9月9日までですが、

 すぐに 削除されるわけではなく、1ヶ月くらいの 猶予があるそうです。

 実際に掲載が終わるのは、10月の10日前後だということです。

 というわけで、もう半月ほど、生き長らえることになりました。

 「レビュー」 や 「100人の読者」 ,その他も まだご覧になれますので、

 よろしくお願いいたします。m(_ _)m

 クリエーターズ・ワールド ↓
http://www.creatorsworld.net/shinko/flash
 
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ミクシィで 「境界に生きた心子」

2006年09月23日 19時23分21秒 | 「境界に生きた心子」
 
 今や ブログに追いつこうかという 新しいネットコミュニケーション

 「ミクシィ」。

 現在 登録者は 500万人を超えているといいます。

 僕は 知人の紹介を受けて 現在ミクシィに 登録していますが、

 書き込みなどの 利用はまだしておらず、放置状態になってしまっています (^^; )。
 

 ミクシィには、書籍などのレビューを 書くシステムがあり、

 「境界に生きる心子」 の レビューのページもあります。

 下記は そのURLです。

http://mixi.jp/view_item.pl?id=138247

 ボーダー本人の方が 書いたレビューには、中には 辛いものもありますが、

 おおむね 好評をいただいているようです。

 もし良ければ皆さんも レビューでも書いていただけれたら 幸いです。
 

 それから ミクシィには、個人が あるテーマを取り上げて 参加者を募る

 「コミュニティ」 があります。

 過日の記事でも 触れましたが、拙著 「境界に生きた心子」 をテーマにした

 コミュニティができています。 (^^;)

http://mixi.jp/view_community.pl?id=655901

 参加者は ボーダーの人も多いですが、地味にやっているようです。

 皆さんも 興味があれば 参加されてみてはいかがでしょう? 

 拙著のコミュニティが できているのは ありがたいことで、

 僕も 加わりたいのは山々なれど、作者本人が顔を出しては

 参加者の人が やりにくかろうと、自粛して

 時折 ひそかに 覗いている次第です。 (^^;)
 
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新風舎 「クリエーターズ・ワールド」 終了予告

2006年09月05日 22時47分21秒 | 「境界に生きた心子」
 
 拙著 「境界に生きた心子」 の出版社・新風舎では、

 著書のPRのためと、著者と読者をつなげる目的で、

 「クリエーターズ・ワールド」という 著書ごとのホームページを制作しています。

 僕も 拙著が刊行されてから クリエーターズ・ワールドの契約をし、

 拙著の紹介を掲載したり、日記を 毎日アップしてきました。

 半年ごとに 契約が更新されますが、

 明日9月9日をもって ひとまず終了することにしました。

 契約料が結構お高くて、その割に制約があったり、成果がかんばしくなかったりで……。

 クリエーターズ・ワールドの日記は 1日400字までの制限があり、

 カテゴリーの分類がなく、訪問者のコメントも付けられません。

 検索エンジンにもつながっておらず、

 無料でできるブログの方が アクセス数がずっと多いんです。(・_・;)

 そんなこんなで、こちらのブログ専門で やっていくことにしました。
 

 でもクリエーターズ・ワールドには、こちらのブログにはない、

 専門家によるレビューや、100人の読者の感想,

 オープニングムービー, プロフィール,Q&Aなどがあります。

 掲載期間があとわずかですが、どうかご覧になってみてください。

http://www.creatorsworld.net/shinko/flash
 

 1年半の間、クリエーターズ・ワールドを通じて 読者からメールをいただいたり、

 つながりもできて ありがたいことでした。

 ボーダー本人の方や 家族の方たちからのお便りでは、

 拙著によって救われた,癒されたという声もいくつもあり、

 拙著を書いて 本当に良かったと思いました。

 また、ずっと交流のなかった 高校の同級生などが

 クリエーターズ・ワールドを通して 連絡をくれ、

 以後 メールのやり取りをしている ケースもあります。

 色々と お世話になりました。

 これからもこちらのブログで よろしくお願いいたします。
 
 
〔追伸〕↓ 
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/40395771.html
 
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ネット書店 本「延命」

2006年07月09日 15時05分27秒 | 「境界に生きた心子」
 
 今日の朝日新聞に、上記タイトルの記事が載っていました。

 従来、書店で売れない本は 短命で絶版になるのが 出版界の常識でしたが、

 ネット書店の普及で それが崩れつつあるということです。

 現在 日本では、日々 約200冊の新刊本が 次々と市場に送り出され、

 また 大量の雑誌を店先に置くため、

 一般の書店では 売れ筋の本で 売り場を占められて、

 売れ行きのよくない本は ほんの数ヶ月で 店頭から引き上げられていきます。

 しかしネット書店は 書棚の制約がないので、

 店頭から撤退した本も 読者の目に触れるのを ゆっくり待つことができます。

 関連本を紹介する 「おすすめ機能」も、本を探す手助けとなります。

 これまで業界では、売り上げが上位の少数の本によって 大半の利益を得ていましたが
(「パレートの法則」)、

 ネット書店で 細く長く売れる本の 収益の比重が、倍増してきているそうです
(「ロングテール現象」)。
 

 拙著「境界に生きた心子」ですが、去年の2月に発刊後 半年ほどで店頭から見えなくなり、

 Amazon でも 売り上げランキングが上がらず、ジリ貧になっていきました。

 ところが、今年の3月頃から なぜかAmazon のランキング上昇が復活し、

 今も継続的に 売り上げを伸ばしています。

 推測できる原因としては、今年3月頃に 拙著をテーマにした

 mixi (ミクシィ) のコミュニティが できたことが考えられます。

http://mixi.jp/view_community.pl?id=655901 

 また、当方のブログで 光市母子殺害事件や 木下あいりちゃん殺害事件の 記事を書いたとき、

 アクセス数が爆発的に激増して、そのなかの何人かの人が

 拙著に関心を持って、購入してくれたのではないか とも推察できます。

 でもそれだけでは 説明できそうもなく、売り上げが復活した 正確な理由は分からないのですが、

 ネット書店なくしては こういうことはないわけで、

 本当に ありがたいことだと思っています。(-人-)
 
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月刊「シナリオ」誌に「境界に生きた心子」紹介

2006年07月08日 12時03分57秒 | 「境界に生きた心子」
 
 以前 共に仕事をしていた 編集者の人が、雑誌で拙著を紹介してくれました。

 シナリオライター志望者向けの 月刊「シナリオ」誌(映人社)です。

 許可を得て、紹介文を引用させていただきます。

「心子。35歳。

 彼女は 『境界性人格障害』(境界例/ボーダー)という 心の障害を持っている。

 感情の起伏がすさまじく、些細なことでキレたりうつ状態になり、

 自分をコントロールすることができない。

 本書は、そんな彼女と “しがないシナリオライターである”著者との

 愛の交流を綴ったノンフィクション。

 付き合いはじめて1年余り、心子は ホテルの最上階から 飛び降り自殺をする……。

 現代に増えつつあるという 心の障害を、深く理解するための 案内書ともなっている。」

 シナリオライター志望の読者は、ボーダーというテーマよりも、

 “しがないシナリオライター”に 興味をそそられる人は いるかもしれませんね。( ^^;)
 

 この編集者の人は 拙著を読まれたとき、

 僕がこんなすごい体験をしてたのか と、ショックを受けたそうです。

 拙著は 結構すさまじいことも書いているだけに、

 僕を直接知っている人にとっては 何か生々しく、

 抵抗感を感じて 読みにくいような場合もあるのかもしれません。

 でも、僕が本当に一生懸命 心子と接したということが、

 よく分かると言ってくれます。
 
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守秘義務? 

2006年06月02日 19時52分51秒 | 「境界に生きた心子」
 
 「境界に生きた心子」を読んでくれた、僕の高校の同級生の友人の人が、

 拙著を書くに当たって僕には守秘義務があるのではないか、と言われたそうです。

 でも、もちろん僕に守秘義務はないでしょう。

 守秘義務というのは、業務上の立場で知り得たことを、その職業の倫理性からいって

 他言してはいけない、というものです。

 僕は業務で心子と付き合っていたわけではありません。

 また、ノンフィクションを書く場合、誰かを批判したり、事実と異なることを書いたりするのでなければ、

 当事者や関係者の許可を得る必要も、法的にはないはずです。

 ただ道義的には、了承を得ておくほうがベター、ということはあるでしょう。

 心子のお母さんに拙著を非常に喜んでもらえたのは、とても幸いなことでした。

 でも、もし心子が存命だとすると、彼女にとっては非常に傷つく結果になるかもしれず、

 その場合は僕は書けなかったかもしれません。

(書いても罪にはならないと思いますが。)

 しかし、著作が仮に誰かの名誉を損ねるとしても、内容が事実であり、

 社会に知らせるべき公益性が高ければ、出版は許されます。

(例えば、政治家の犯罪を追及することなど)

 拙著の場合は、内容は全て事実のままです。

 そして、境界例という、誰もが無関係ではない今日的な心の障害を、

 興味本位ではなく、正しく伝えて理解してもらうという、公益性があると考えます。

 従って拙著は、守秘義務や遺族の了承に関して問題はない、というよりも、

 いつか誰かがきっと書かなければいけないテーマだと、僕は思っています。
 
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「境界に生きた心子」をセミナーで発表

2006年05月02日 15時54分34秒 | 「境界に生きた心子」
 
 参加している「ユング心理学研究会」のセミナーで、先日僕が「境界に生きた心子」をテーマに発表をしました。

 内容は拙著のこと、このブログにある記事をうまくまとめたものです。

 セミナーは出席者15人ほどでしたが、大学講師,臨床心理士,学生,主婦など、色々な人が参加している会です。

 皆さんに関心を持っていいただき、充実した時間を持てました。

(会場で拙著が2冊売れました。 (^^)
 あと1冊は物々交換です。 (^^;))

 当日の出席者からいただいた発言を、いくつか紹介させていただきたいと思います。
 

 まず、青山学院大学講師・裏千家専任講師のKさん(http://tea-therapy.com/auther/index.html)のご意見です。

『人間は現実には得られない癒しのストーリーを別の場所で作ることによって、人生の意味を補償するものだ。

 心子はこの世では自分を癒すストーリーを作れなかったが、「境界に生きた心子」を書くことによってそれが補償される。

 「境界に生きた心子」をどう描くかということが、心子の生に還元される。

 心子が幸福だったか不幸だったかは、「境界に生きた心子」がどう描かれるかに関わっている。

 「境界に生きた心子」がどう評価されるかということと、心子がどう生きたのかということは関わってくる。

 心子の人生がどう展開したかということは、筆者が「境界に生きた心子」を書くことと連続している。

 心子の人生が終わってから書いているというのではなく、心子の治癒のプロセスは今も続いている。』

 とても興味深いご意見で、拙著を書くということはこういう意味もあるのかと思わされました。
 
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目次/参考文献

2006年04月24日 20時23分11秒 | 「境界に生きた心子」
 
【目次】

 プロローグ
 六年越しの再々会
 トライアングル---迷走の行方
 愛の始まり---天国と地獄
 境界性人格障害
 万華鏡
 苦しみ、いとおしく
 心身の増悪(ぞうあく)
 解離
 分裂
 子供の人格の出没
 壊れて、笑って、そして……
 自死
 心の真実
 エピローグ

  「境界性人格障害」について
 

【参考文献】

「ボーダーラインの心の病理」町沢静夫(創元社)1990
「ボーダーライン」町沢静夫(丸善ライブラリー)1997
「境界例」河合隼雄,成田善弘(日本評論社)1998
「境界例と自己愛の障害」井上果子,松井豊(サイエンス社)1998
「境界例の治療ポイント」平井孝男(創元社)2002
「人格障害かもしれない」磯部潮(光文社新書)2003
「境界性人格障害=BPD( ボーダーライン・ パーソナリティ・ ディスオーダー)」
 ポール=メイソン,ランディ=クリーガー/荒井秀樹,野村祐子,束原美和子 訳
 (星和書店)2003
「魂(こころ)の穴」山口麗子(文芸社)2003
「多重人格……でも私はママ」宇賀直子,秀人(ぶどう社)2003
「パーソナリティ障害」岡田尊司(PHP新書)2004
「境界性人格障害のすべて」ジェロルド=J=クライスマン,ハル=ストラウス
 /白川貴子 訳/星野仁彦 監修・解説(VOICE)2004
 読売新聞・医療ルネサンス「境界性人格障害」「続・境界性人格障害」2003
「境界例と自己愛の障害からの回復」http://homepage1.nifty.com/eggs/
 
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心子と同じ誕生日

2006年03月03日 20時40分15秒 | 「境界に生きた心子」

 「境界に生きた心子」のヤフーブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531 )を訪問してくれる「はなさん」という方が、ご自分のブログに「境界に生きた心子」を紹介してくれています。

http://blogs.yahoo.co.jp/kanakana2nyee/283370.html

 先月、はなさんは精神状態がよくなかったとき、たまたま検索で僕のブログをのぞいて、心子の誕生日が近づいてきたという記事を見たそうです。

 そしてよく見ると、何と はなさんと心子の誕生日が同じ日だったというのです。

 さらに記事を読むと、はなさんと心子の言動は非常によく似たものがあり、拙著を購入して読んでくれました。

 その結果、自分を許せる気持ちになり、精神状態が立ち直るきっかけになったそうです。

 書いた者として本当に嬉しいことです。(^^)

 誕生日が同じだったという奇遇、ユング心理学ではこういうのを「共時性(シンクロニシティ)」と言って、「意味のある偶然」としてその機会を捉えることが大事だと言っています。

 はなさんはそれをしっかり捉えられたのですね。

 良いご縁ができて、僕もありがたいことです。

 今後とも引き続きよろしくお願いしたいものです。
 
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