「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

口腔リハビリ  脳生き生き

2012年08月11日 20時54分44秒 | 介護帳
 
 Iさん (女性・96才) は5年前、 言葉を失い、

 まっすぐ座ることもできず、 寝たきりの危機にありました。

 原因は合わない入れ歯。

 固形物が食べられなくなり、 流動食になると、

 焦点の合わない目で 一日中過ごすようになりました。

 会話も難しくなったころ、 歯科医のOさんが  「口腔リハビリ」 を行ないました。

 まず、 衰えた筋肉でも 歯を操れるよう、 入れ歯を調整。

 さらに、 首元や顔面を揉みほぐし、

 専用ブラシで 頬の内側や舌を きれいにしながら、 刺激する方法を 職員らに指導。

 口腔内を唾液で潤し、 飲み込みに必要な筋肉を 鍛えました。

 これを毎食後続け、 6週間後には 固形物が食べられるようになり、

 3ヶ月後には おしゃべりも復活しました。

 今は 冗談のやり取りもできるほどになり、 表情も生き生きしています。

 回復力のある人が放置され、 全身を衰えさせてしまうのは、

 人為的に作った 寝たきり状態です。

 手遅れにならないうちに 専門家が関わり、

 介護者が無理なくできる 口腔リハビリを指導すべきです。

 口腔ケアは、 栄養状態の向上や 誤嚥性肺炎の予防のほか、

 認知機能の維持にも 効果があります。

 通常の介護では 認知機能が落ちていく一方だったのに、

 口腔ケアをした場合は 半年後まで改善し続け、 その後も進行は緩やかでした。

 感覚の集中する口内を 刺激することで、

 脳神経の活性化につながる 可能性があります。

 食事という 日常生活の基本を維持し、

 ケアの際に 人とコミュニケーションが 図れる効果も 大きいのではないでしょうか。

〔読売新聞より〕
 
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グループホームに異動 (3) -- 利用者さんへの接し方

2012年07月31日 21時44分47秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 もうひとつ、 今のショートステイに 遺憾なことがあります。

 スタッフの 利用者さんに対する態度の 何割かが、

 荒くて 上から目線だったりするのです。

 自分の都合で 利用者さんに接することも 少なくありません。

 もちろん、 優しい人や うまい接し方をする人もいるし、

 利用者さんにはリピーターも多く、 ご家族から感謝されることもあります。

 けれども、 幾分かでも 不適切な対応があると、 評価は落ちてしまいます。

 ある時などは、

 スタッフが利用者さんを怒鳴りつけるのを 目の当たりにしたこともありました。

 そのスタッフは 僕より立場が上でしたが、

 さすがにその時は 僕は見るに耐えず、 そのスタッフを制しました。

 でも他の、 注意できる立場のスタッフは 何も言いませんでした。

 介護は、 利用者さんに快適に過ごしてもらうことが 目的だと僕は思っています。

 スタッフが面倒を疎んだり、 嫌な思いを避けることが 目的ではありません。

 利用者さんの立場や気持ちになって、 それに応えるように 接することが必要です。

 (僕はその理念はあっても、 スキルがまだ 充分ないのですが。)

 僕はできるだけ 利用者さんに親身になって ケアするようにしています。

 利用者さんにことのほか感謝されたり、

 他のスタッフから敬遠されがちな 利用者さんに

 お世話を指名されることも 時々あります。

 スタッフをよく怒る利用者さんに、 僕は怒られたことがない ということもあります。

 普段から丁寧に接していれば、 信頼は普通に 得られるものだと思うのです。

 グループホームでどの程度 理想が実現できるかは分かりませんが、

 管理者の人は 同じ理念を持っており、 僕の考えに共鳴してくれています。

 それを分かち合うことは できるのではないでしょうか。

 グループホームの評判も 良いことばかりとは限りませんが、
 
 期待を持って 行きたいと思っています。
 
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グループホームに異動 (2) -- コミュニケーション

2012年07月30日 23時04分18秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 更に、 今のショートステイでは、 スタッフ同士の 話し合いの場がありません。

 申し送りは 基本的に一方通行ですが、 それも6月からは、

 リーダー以外のスタッフへの 申し送りがなくなってしまったのです。

 時間の節約が目的らしく、

 リーダー以外のスタッフは 利用者さんの状況を記した 表を見るのですが、

 とても仕事が やりにくくなってしまいました。

 特に僕のように 介護経験が浅くて、 週3日の非常勤は、

 蚊帳の外に置かれた感じで、 仕事のやり甲斐さえも 薄れてしまいます。

 日中8人位いる スタッフの中で、

 僕は 一番下の方に見られており (他の男性は週5日)、

 対等なコミュニケーションができていません。

(もちろん 人によって全然違いますが。)

 一方グループホームは スタッフも少人数で、 毎日 話し合いがあるそうですから、

 同じ立場で意見を言うことが できるのではないかと思います。

 前にいた小規模のデイサービスでは、

 少ないスタッフ同士で 親しい関係ができました。

 互いに連絡先も交わし、 飲み会などもよくしたものです。

(その前の大規模デイサービスでは、 個人的な関係はできませんでしたが、

 今のショートステイより 大分気安いものでした。)

 やはり規模が小さいほうが、 近しくなれるでしょう。

 ここのグループホームでも、 スタッフ間で飲み会をしたりするようです。

 それから、 休憩時間、

 ショートステイの男性スタッフと 女性スタッフは別の場所で (たまたま)、

 この間に 交流することもできません。

 けれども、 男性スタッフは グループホームの人たちと 同じ部屋で休憩するため、

 もう既に ある程度よい人間関係が できているのです。

 そういう面でも、 グループホームのほうに期待しています。

(次の記事に続く)
 
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グループホームに異動 (1) -- ショートステイとグループホーム

2012年07月29日 20時15分28秒 | 介護帳
 
 いま勤務している施設には、

 ショートステイ, グループホーム, デイサービス, 訪問介護があり、

 僕はショートステイにいます。

 元々 グループホームが第一希望だったのですが、

 当初 ショートステイの人手が足りなかったため、

 ショートステイでの採用になったのです。

 でもやはり グループホームのほうへ行きたく、

 先立っても 異動の希望を 再度出していました。

 それが通って、 8月から グループホームに移ることになりました。  (^^)

 ショートステイというのは、

 数日ごとに利用者さんが変わるため (リピーターは非常に多いのですが)、

 なかなか 心の通った交わりができません。

 利用者さんは 基本的に “お客様” ですから、 食事も上げ膳据え膳だし、

 利用者さんは ただ座っているだけという時間が 随分あります。

 利用者さんと共に 何かをするということが少ないのです。

 それに対し、 グループホームは少人数で、 ずっと同じ顔ぶれですから、

 一人一人とも じっくり付き合えるでしょう。

 グループホームは 利用者さんの生活の場なので、

 利用者さんと一緒に 買い物に行ったり、 食事を作ったりする日常です。

 利用者さんができることは やってもらい、 更に できないこともできるように、

 利用者さんの 隠れている力を引き出すことが ケアの妙味です。

 またショートステイは、

 利用者さんの入所・ 退所の際の 荷物チェックなど (これが細かくて結構大変)、

 利用者さんと直接関わらない 機械的・ 事務的な仕事が多いです。

 グループホームは 家庭的な環境の中で、 心のケアができると思います。

(次の記事に続く)
 
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「告知」 は 見通しを詳しく -- 認知症、 明日へ

2012年07月22日 20時52分54秒 | 介護帳
 
 認知症とどう向き合い、 今後 どう生きるかを考える上で 重要な 「告知」。

 しかし、 医師の言葉や態度に、 不満や不信を募らせる人も 少なくありません。

 「あれでは早期診断、 早期絶望です」

 認知症と診断された 男性 (58才) は憤ります。

 医師は問診後、 脳の画像を見ながら 唐突に切り出しました。

 「アルツハイマーですね」

 それ以上の 詳しい説明はありませんでした。

 男性は 頭が真っ白になりました。

 「自分はどうなるのか、 仕事はできるのか……」

 疑問や不安が 次々と浮かびました。

 64才の夫が アルツハイマー型認知症と告げられた 女性 (53才) も、

 医師に不信感を抱きました。

 家族の意向に構わず、 本人への告知を 急ごうとする医師に、

 その訳を訪ねたときです。

 「病院の決まりです。  どうせ告知しても忘れるけど」

 女性は  「あんな医師から 告知されたくない」 と、 別の病院を探しました。

 幸い その病院の医師は 違いました。

 「治らないが、 薬で進行を遅らせることはできる。

 どんな心配事でも 私に相談してください」

 女性は  「心のこもった言葉に、 元気も勇気も出た」 と語ります。

 告知を機に、 夫と将来について 話し合うことができました。

 「家族、 友人と 楽しく生きていきたい」

 「無駄な延命治療はせず、 自然のままいきたい」

 夫はパソコンに書いて 家族に伝えました。

 別の女性 (60才) は、 アルツハイマー型認知症と告げられ、

 「今ならまだ 新しいことができる。

 これまでとは違う 自分を生きよう」 と決心しました。

 手話を覚え、 認知症の人や家族の交流会で、 歌と共に披露するまでになりました。

 女性は、  「今は前向きに生きていきたい」 と 笑顔を見せます。

〔読売新聞より〕
 
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「意欲低下」  初期のサイン (2) -- 認知症、 明日へ

2012年07月21日 20時02分07秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 見落とされがちな症状も含め、 認知症の始まりではないかと 思われる変化を、

 「認知症の人と家族の会」 が まとめています。

 医学的な診断基準ではありませんが、

 「もしかしたら」 と思ったときの 参考にできます。
 

「認知症」 早期発見の目安 (抜粋)

○ 意欲がなくなる

・ 身だしなみを構わなくなる

・ 趣味や好きなテレビに 興味を示さなくなる

・ ふさぎ込んで、 何をするのもおっくうで嫌がる

○ 不安感が強い

・ 一人になると 怖がったり寂しがったりする

・ 外出時、 持ち物を何度も確かめる

・ 「頭が変になった」 と訴える

○ 人柄が変わる

・ 些細なことで怒りっぽくなる

・ 自分の失敗を 人のせいにする

・ 周りへの気遣いがなくなり、 頑固になる

○ 物忘れがひどい

○ 判断や理解力が衰える

○ 場所や時間が分からない

〔読売新聞より〕
 
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「意欲低下」  初期のサイン (1) -- 認知症、 明日へ

2012年07月20日 20時06分41秒 | 介護帳
 
 認知症の症状では、 物忘れや徘徊などが よく知られていますが、

 むしろ初期には 意欲の低下や、 不安感が強くなることが 多くの人に見られます。

 こうした 見落とされがちな初期症状に、 周囲が気付くことが大切です。

 意欲低下は、 初期の脳血管性認知症では約70%,

 アルツハイマー型認知症など他のタイプでも 50%以上の人に見られます。

 放っておくと、 動かないため体力が低下し、

 ますます意欲を失って 悪巡回に陥り、 認知症が重度化しやすくなります。

 一方、 早い段階から デイサービスを利用するなどして、

 活動性を上げれば、 症状が改善することも多くあります。

 ある男性 (87才) は、 退職後も 地域活動に取り組んでいましたが、

 家でゴロゴロするようになり、

 服の前後やボタンがけを 間違えたりするようになりました。

 物忘れも見られ、 脳血管性認知症と診断されます。

 家族に促され、 デイサービスで 絵を描いたり習字をしたりして 過ごすように。

 通わない日も、 妻が買い物や展覧会に連れ出して 生活のリズムを作ったことで、

 表情も豊かになり、 自分で着替えられるようになりました。

 別の女性 (76才) は、 不安感が強く表れました。

 夫が転倒して入院すると、 今後の生活を心配する言葉を 繰り返しました。

 気丈な性格だったのに、 夫と離れているのも不安で、

 1日2回 病院に通うこともありました。

 そのうち 何日も入浴しなくなったり、 料理を間違えたりするように。

 アルツハイマー型認知症と診断され、

 長男の妻は、  「まさか認知症の症状だったとは」  と話します。

〔読売新聞より〕

(次の記事に続く)
 
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介護支援ボランティア制度

2012年07月16日 21時08分41秒 | 介護帳
 
 65才以上の人が、 高齢者施設などでボランティアをすると ポイントが溜まる

 「介護支援ボランティア制度」 を 導入する自治体が増えています。

 1日の活動で 200ポイントが加算され、

 1ポイント1円の換算で、 年度ごとに 8000円まで換金もできます。

 ボランティアは 利用者にお茶を入れたり、 話し相手になったりします。

 働いていた時と同じように 社会とつながり、

 貢献していることが やり甲斐になるといいます。

 この制度は 高齢者に元気に活動してもらい、

 要介護になるのを 予防するのが目的です。

 研修を受け、ボランティアとして登録すると、

 ポイントカードやスタンプ帳をもらえます。

 換金したポイントは、 介護保険料にあてることもできます。

 保育所や幼稚園, 子育てサロンで、 子育ての先輩である女性高齢者が、

 若い母親たちの 子育て相談を聞く例もあります。

 また、 孤独死, 孤立死が深刻化するなか、 在宅高齢者の見守りをするために、

 ボランティアを 65才以上から18才以上に 広げた自治体も。

 高齢者施設での活動のほか、

 在宅高齢者への訪問, 安否の確認, 日常生活の支援を行ないます。

 介護支援ボランティアは 本来、

 高齢者に健康を保ってもらい、 介護保険制度の担い手とするのが 狙いです。

 一方で、 少子高齢化が進み、 世代ごとに制度を完結させるには 限界もあります。

 世代間の支え合いを加味した ボランティア制度は、

 より多くの人が 支え手に加わる契機になりそうです。

〔読売新聞より〕
 
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聞こえ方  気遣いで改善

2012年07月15日 22時40分51秒 | 介護帳
 
 加齢で聴力が衰え、 一般的には補聴器を使います。

 しかし 本人の意欲や周囲の気遣いで、 聞こえ方が改善されることがあるといいます。

 79才の女性は、 補聴器でも会話がうまくいきませんでした。

 「相手に 自分が難聴だと伝え、 自分から相手に近づいたり、

 ゆっくり話してもらうよう 頼んだりしてみて」 と、 言語聴覚士に助言されました。

 女性は、 「難聴だと知られるのが 嫌だったけど、

 思い切って実行したら 随分聞きやすくなり、 外出が楽しくなった」 と 喜びます。

 高齢者は 単に音が 小さく聞こえるだけでなく、 高音や子音が聞こえづらく、

 「音は聞こえても、 言葉が聞き取れない」  という人は多いものです。

 家族に テレビの音が大きいと言われたら、 コードレススピーカーを近くに置いたり、

 無線で補聴器に音声を送る 補助具などがあります。

 ただ 使い方によって 耳を痛める可能性もあるので、

 医師や言語聴覚士に 相談が必要です。

 難聴の高齢者には 周囲の協力が大切。

 助けになるのが  「聞こえの自己評価表」 〔*注〕 です。

 本人がどれくらい聞こえにくいのか 把握できれば、 手助けしやすくなります。

 耳元で大きな声で話すと、 逆に声が割れ、 聞きづらくなります。

 相手と正対し、 ゆっくり、 自然な抑揚で 話すのが基本です。

 他に、 語尾を曖昧にせず はっきり言い切る, 複数の人が 同時に話さない,

 テレビや水洗いの音など、 周囲の余分な音を減らす、 などを心がけましょう。

 難聴を理解すれば、

 コミュニケーションが取れない高齢者の 孤独感を減らすこともできます。
 

〔*注 : 「聞こえの自己評価表」 〕

 「そうだ」 「そうかもしれない」 「そんなことはない」 で回答します。

① 二人以上が同時に話すと 聞き取れない

② 自動車の中での話が 聞きにくい

③ 人が もぐもぐ話していると感じる

④ 周りの人が  「補聴器を付けてみたら」 と 考えているようだ

⑤ 騒音の多い環境にいる (いたことがある)

⑥ 相手に もう一度言ってと頼んだり、 話を推測して判断したりする

⑦ 相手の顔を見ている方が 話が分かると感じる

⑧ テレビのセリフが聞き取れない

⑨ 携帯電話の着信音に 気付かないことがある

⑩ 集会や授業などで 話が分からない

 「そうだ」 5点, 「そうかもしれない」 3点, 「そんなことはない」 1点で

 計算し、 合計15点以下なら 問題なし。

 30点前後なら 耳鼻科で相談を, 40点以上なら 詳しい検査と補聴器を検討する。

〔読売新聞より〕
 
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こまめに訪問  月額定額制

2012年07月13日 20時35分31秒 | 介護帳
 
 今春の介護報酬改定で、 24時間体制の訪問介護サービスが 新しく始まりました。

 「定期巡回・ 随時対応訪問介護, 看護サービス」 といいます。

 従来の訪問介護は、 日中に30分以上滞在し、 利用は週数回がほとんどでした。

 新サービスは、 ヘルパーや看護師が 1日に3~6回前後、 定期的に訪問します。

 緊急の呼び出しにも応じ、 24時間体制で駆けつけます。

 訪問1回当たりの滞在時間は 10~15分程度と 比較的短いですが、

 費用は 何回利用しても定額制です。

 従来型は 利用回数に比例していました。

 新サービスの費用は、 要介護度に応じて設定されており、

 看護も併用する場合と 介護のみを利用する場合で 異なります。

 例えば 要介護度3では、

 30分未満の身体介護の利用が 毎日2回なら、 従来型のほうが安くなります。

 毎日3回以上 利用するなら、 新サービスのほうが低額になります。

 ただし新サービスには 緊急時の呼び出し対応もあり、

 「安心を買う」 という 意味もあります。

 単純に 訪問回数・ 時間の合計と 費用だけを、 比較することはできません。

 新サービスの対象としては、

 独居で歩行困難だが、 トイレまでの移動を助けてもらえば、

 自宅での生活が続けられる人 などが想定されています。

 ただ、 実施できているのは 全国で29市町村のみで、 普及が望まれます。

〔読売新聞より〕
 
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「食べる力を」  家族の思い -- 命に寄り添う (3)

2012年07月12日 20時54分57秒 | 介護帳
 
 Aさん (49才) の母親 (84才) は、 糖尿病の脱水症状で入院しました。

 急性期病院から、 療養型病床に転院すると、 胃ろうを勧められました。

 理由は、  「15分で食べられないから」  でした。

 Aさんは 強い憤りを感じます。

 「前の病院では食べていたし、 話しもできた。

 胃ろうは 食事介助の人手を 省くためではないのか。」

 Aさんは胃ろうを断りましたが、

 鼻からチューブで 水分や栄養を送る 方法になりました。

 半年後、 母は声が出なくなり、 飲み込む力も 一層落ちてしまいます。

 Aさんは親しい歯科医に 口腔リハビリを勧められました。

 歯科医に 食べる機能を評価してもらい、 リハビリ指導を受けます。

 あごの動きに関わる 首周辺の筋肉は、 マッサージで かなり硬さが取れてきて、

 期待を持って リハビリを続けています。

 一方、 ある女性は、 夫が脳梗塞で寝たきりになり、

 医師から  「胃ろうにしても、 口から食べられるようになれば 外せる」

 と説明され、 承諾しました。

 しかし病院では 口のリハビリは行なわず、 食べる力は戻りませんでした。

 女性が 胃ろうから栄養を入れようとすると、 夫に手をつかまれたことがありました。

 「 『もういらない』 という 意思表示だったと思う。

 食べる訓練もしないのに、 安易に延命させる 医療はやめてほしい」

 命のありように関わる 本人や家族の思いが、

 病院の都合や 医師の安易な判断で 軽視されてはなりません。

〔読売新聞より〕
 
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民間の支援  父との絆回復 -- 命に寄り添う (2)

2012年07月11日 20時35分41秒 | 介護帳
 
 B子さん (62才) は、 最愛の母とは逆に、

 父との関係は 長年うまくいっていませんでした。

 B子さんは 病弱な母の介護を 一人でしていましたが、 調子を崩して倒れました。

 父 (88才) が 母の介護を引き継ぐと、 今度は 父が倒れてしまいました。

 母はまもなく 病院で亡くなり、 父は体力が急に低下しましたが、

 B子さんは体調が悪く、 父の介護をできる 状態ではありませんでした。

 そこで支援を受けたのが、 生活自立の支援や相談を行なう 会員制のNPO協会です。

 B子さんは 93才になった父に、 同協会の保養所に移ってもらいました。

 病院と違い、 宿泊者は 自由に時間を過ごせます。

 訪問診療やヘルパーも頼め、 B子さんも好きなときに来て 泊まることができました。

 しかし 父は脳梗塞を起こし、 口から食べる力も衰えました。

 協会のカウンセラーは、

 「二人の絆を取り戻すまで、 もう少し頑張ってほしい」  と願いました。

 B子さんも同じ思いで、 相談の結果、 父に胃ろうを付けてもらいました。

 B子さんは父を看取るため 施設に住み込みます。

 父は衰弱が進んで 言葉数も少なく、

 お互いわだかまりもあって 視線を合わそうとしませんでした。

 でも次第に 目と目で会話ができるようになり、 1年が過ぎたある夜。

 B子さんが  「おやすみ」 と声をかけると、

 父は  「一人になっても大丈夫か」 と 聞いてくれました。

 自分を案じてくれ たその言葉に、 B子さんは愛情を感じたといいます。

 翌朝、 父は 微笑みながら旅立ちました。

 「快適な環境で、 父と二人だけの時間を 作ってもらったおかげで、

 最期にやっと 心が通じ合えた」

 そう B子さんは感謝しています。

〔読売新聞より〕
 
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透析患者を在宅で看取る -- 命に寄り添う (1)

2012年07月10日 19時51分15秒 | 介護帳
 
 透析は週3回、 4時間ほどの通院治療で行ないます。

 患者の負担が大きいですが、 生命維持のため、 基本的にやめられません。

 透析を受けていた 70才の男性が、 肝臓がんの手術を受けました。

 完治せず、 容体は悪化しましたが、 透析に通い続けました。

 しかし3ヶ月後、 衰弱が目立ちはじめ、 夫婦で 通院を見合せることに決めました。

 自宅で訪問診療を受け、 ビールを飲みたいと言う夫に、 ストローで飲ませると、

 「おいしい」 と喜びました。

 1週間後、 妻や訪問看護師に見守られ、 眠るように亡くなりました。

 妻は、  「透析しないと死んでしまうかも、 という不安はあったが、

 無理に通院すれば、 逆に死を早めたかもしれない」  と振り返ります。

 近年、 患者の高齢化とともに

 透析を見合わせたり、 中止する例が 多く報告されています。

 日本透析医学会は、

 本人や家族の同意で 導入を見合わせたり、 中止する際の 手続きを示しました。

 また、 「腹膜透析」 という 選択肢もあります。

 カテーテルで腹の中に 透析液を注入し、

 体の腹膜を通して 血中の老廃物を除く方法です。

 本人や家族でも扱え、 通院の必要がありません。

 効率は低いですが、 活動の妨げにならず、 透析液の交換は 外出先でもできます。

 82才で 透析が必要なった男性は、 直腸がんの手術も受けており、

 看取りも考えて 腹膜透析にしました。

 86才で亡くなる前日まで 自宅で腹膜透析を続けました。

 男性の次女は、  「入院したら、 高齢の母は 父と一緒にいられなかった。

 しっかり見送りができて 良かった」 と語ります。

 透析患者が最期まで心穏やかに 家族と過ごす方法を、 医療は考えるときです。

〔読売新聞より〕
 
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「支える環境を」  切実な声 -- 認知症  長寿国の現実 (6)

2012年07月09日 18時53分51秒 | 介護帳
 
 「前頭側頭型認知症」 と診断された 70才代の母親と、 40才代の娘は、

 二人で暮らしていました。

 この認知症の特徴である万引きを、 母親は何度も繰り返します。

 徘徊で目が離せず、 暴力や暴言も激しく、 心中も考えるほどでした。

 疲れ果てた末、 母親を精神科に入院させました。

 ところが、 強い薬の影響で歩けず、 口もきけなくなってしまったのです。

 娘は 母親を思わず抱きしめました。

 母親を精神科に入院させた 61才の女性は、

 ベルトでベッドに縛りつけられた 母の姿に 涙があふれたといいます。

 病室の窓には 鉄格子がはめられていました。

 介護施設に戻るためには、 暴れないように 強い薬を飲ませるしかありませんでした。

 施設に移った母親は 動けなくなり、 昨年亡くなりました。

 「仕事があり、 在宅介護は限界だった。

 でも あれしか方法はなかったのか。

 毎日、 母の位牌の前で 謝っています」

 一方、 認知症の父親を 精神科に入院させたことのある 女性 (48) は、

 こう言います。

 「介護施設から追い出された父を、 病院は誠心誠意みてくれた。

 看護師の腕には、 患者につねられた痕が 一杯あったが、 笑顔で対応してくれた」

 別の女性 (46) は、

 「父が入院する精神科は、 ケアが行き届き、 家にいる時より元気。

 母が入所していた特養より ずっといい」  と強調します。

 共通するのは、 在宅介護サービスの貧しさと、

 激しい認知症の症状を 受け止めきれない介護施設の実態です。
 

 「市民後見人」 を活用すべきという 声もあります。

 研修を積んだ市民を 市町村に登録し、

 家庭裁判所が 後見人として選任する仕組みです。

 地域の事情に詳しく、 身近な人が 必要な知識を身に付け、

 いざという時に 支える体制が必要です。

〔読売新聞より〕
 
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国を挙げて 対策進む欧米 -- 認知症  長寿国の現実 (5)

2012年07月07日 20時49分51秒 | 介護帳
 
 イギリスの 「メモリーサービス」 事務所に、

 男性 (74才) から電話が入りました。

 「自分は認知症かもしれない」

 スタッフ2人が 男性宅を訪ね、 物忘れなどの症状や 生活状況を聞き取りました。

 専門医を含めた会議で、 初期の認知症と診断。

 男性と妻に、 今後の経過や 介護サービスの説明をしました。

 発症初期から支援することで、 長く自宅生活ができ、

 長期入院などの社会コストも抑えられます。

 英国は09年に、  「国家認知症戦略」 を策定、

 柱のひとつが 「メモリーサービス」 です。

 日本の認知症の新対策は、 この仕組みを参考にしました。

 英国には、 増加する認知症を  「国家的危機」 と表明しています。

 認知症にかかるコストは、 医療や介護, 働けなる損失も含め、

 年に約3億円と試算しました。

 アメリカでは 昨年1月の 「国家アルツハイマープロジェクト法」、

 オランダ, フランスでも 対策を勧めています。

 WHOは、 50年までに 世界で認知症の人は、

 今の3倍の 1億1500万人とし、 警鐘を鳴らしました。

 一方、 日本は、 認知症の在宅ケアは 不可能に近いと言われます。

 有効な対策が乏しいまま、

 虐待, 介護殺人, 離職など、 認知症を巡る問題が 後を絶ちません。

 65才以上の割合 (高齢化率) が23%と 世界で最も高い日本が、

 認知症対策は 欧米に比べて 貧困さが目立ちます。

 本来は日本がリードすべきで、 これ以上の遅れは許されません。

〔読売新聞より〕
 
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