「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「あなたを よりよい人間にするために 言っているのです」

2015年04月12日 20時18分47秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○ 言葉による虐待
 
 ほとんどのボーダーの人は、 意図して虐待しようとはしていません。
 
 以下は、 感情的な虐待の いくつかの形態です。
 
 当てはまるものがあれば、
 
 それがどのように起こるか、 ノートに例を書いてください。
 
・ 支配
 
 自分のやりたいようにするため、 脅迫に訴えます。
 
・ 言葉による攻撃
 
 叱責, 批判, 絶叫, 脅迫, 辛辣な皮肉などがあります。
 
 相手の欠点の誇張や、 人前での侮辱も含まれます。
 
 長期にわたると、 人の自己価値観を蝕みます。
 
・ 虐待的な期待
 
 自分が相手の最優先になるように 期待します。
 
 相手の要求を弾劾することも 含まれます。
 
・ 予想外の反応
 
 劇的な気分の変化や、 突然の感情の爆発があります。
 
 このような人と一緒に暮らすのは、 非常に不安をかきたてられます。
 
 いつもびくびくし 警戒している状態は、 身体的な疾病に繋がることもあります。
 
・ 混乱させること
 
 ある人の 出来事や会話に対する認識を 否定すること。
 
・ 絶え間ない混沌
 
 故意に口論を始めたり、 恒常的な対立状態にいること。
 
【 ex . ロジャー
 
 息子のジェイクは、 幼稚園のときから 周りとうまくできず、
 
 小学校では 盗みや嘘で問題を起こしていました。
 
 中学で 全く抑制が利かなくなって、
 
 親を罵り、 妹を侮辱し、 夜遅くまで帰ってきませんでした。
 
 18才を過ぎた今は、 バーの用心棒をして、 酔うと 人を傷つけることを言います。
 
□ A.
 
  これを虐待とは呼びません。
 
  虐待は 身体的なものか性的なものです。
 
□ B.
 
  私なら容赦しません。
 
  こんなことをやめないなら 縁を切ったものと考えます。
 
□ C.
 
  彼の行動が どんな悪影響を与えているか、 論理的に説明するでしょう。
 
  ジェイクがまともなら、 自分を変えようとするでしょう。
 
□ D.
 
  私は個人的境界を設定します。
 
  ジェイクが虐待的でない時は 一緒にいますが、
 
  虐待的なら 私が去るか、 ジェイクを出ていかせるでしょう。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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もう少し近くで 距離をおいて

2015年04月10日 20時26分02秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○ 「こっちへ来て、 近づかないで」
 
 ボーダーの人は生き残るために、 親密さと愛情が必要だと 感じています。
 
 一方で無価値感を持ち、 見抜かれることを恐れています。
 
 人があまり近づいてくると、 飲み込まれるのではないかと感じます。
 
 見捨てられ恐怖は中心的な問題なので、 親密さへの欲求が発揮されますが、
 
 飲み込まれる恐怖が また忍び寄ります。
 
 回転するような感情のため、 相手の身になって見ることができないのです。
 
 あなたを必要とするときには、
 
 10分前に別れると言った事実は もう頭にありません。
 
【 ex . ケン
 
 ガールフレンドのエイミーは、 ある晩 素晴らしいセックスをしても、
 
 次の夜は 触れられることも耐えられないのです。
 
 電話で別れ話を持ち出し、 切るころには 翌晩のデートの計画をしています。
 
 繰り返し別れ、 繰り返し 元の鞘に収まっているのです。
 
 自分たちの位置が分かりません。
 
 自分のセリフが エイミーを激怒させるのが、 笑ってやり過ごすのか。】
 
□ A.
 
  できるときは一緒にいて、 エイミーが望まないときは それを受け入れるでしょう。
 
□ B.
 
  こういう人もいます。 打つ手はありません。
 
□ C.
 
  ケンがなぜ この関係を続けるのか分かりません。
 
  エイミーは狂っていて、 ケンをも狂わせようとしています。
 
□ D.
 
  エイミーの矛盾を記録し、 彼女に見せてやります。
 
  彼女は賢いので、 一度自覚したらやめるでしょう。
 
【 ex . マリアン
 
 10代の娘ヘザーは 気分屋で、 虐待的, 暴力的なので、
 
 家出したときは ほっとしました。
 
 ヘザーは 友達の家に行き着いて、 毎日 私の職場に電話してきました。
 
 私からの伝言に応えているのだと言い、
 
 どうして 私が彼女に電話してくるのか 知りたいと要求しました。
 
 でも私は 彼女に電話していなかったのです。】
 
□ A.
 
  私だったら、 ヘザーに電話しなかったことに 罪悪感を感じたでしょう。
 
  彼女が望む限り話をします。
 
□ B.
 
 「何故この子は こんなことをするのかしら? 
 
  娘が関心を求めるときに、 仕事なんてできない」 と考えるでしょう。
 
  ヘザーには、 態度を改めなければ 決して家には戻るな、 と言うでしょう。
 
□ C.
 
  ヘザーの行動は意味がありません。
 
  母親に価値がないのなら、 何故電話をかけてくるのでしょう。
 
  ヘザーが論理的でないと 言うべきです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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表なら私の勝ち、 裏なら君の負け、 勝ち目のない状況

2015年04月09日 20時17分16秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○勝ち目のない状況
 
  「するも地獄、 せざるも地獄」 の 典型的な状況です。
 
 何をしても不正解になるのです。
 
 ノン・ボーダーの人が悪い というのがゲームのテーマであり、
 
 実際にしたことは問題ではないのです。
 
  「もし私を愛しているのなら、 誰にも言わないで」 という
 
 自殺の脅しが続きます。
 
【 ex . ミランダ
 
 何をしても、 夫の連れ子のジェリーを 喜ばすことができません。
 
 家に住まわせようとすると  「コントロールしている」 と責められ、
 
 自分のアパートを持つように言うと  「見捨てようとしている」 と言います。
 
 ジェリーが 実の母親の不満を言うとき、
 
 同意すると  「けなしている」 と当たり、
 
 黙っていると  「支持してくれない」 と言われます。】
 
□ A.
 
  私がミランダなら、 ジェリーが望むようにして 平和を保つでしょう。
 
□ B.
 
  大声で怒鳴りつけます。
 
  彼のやり方に不満を言い、 仕返しの方法を探ります。
 
  我慢なんてしません。
 
□ C.
 
  共に座り、 彼の不当性について、 冷静かつ論理的に説明します。
 
  彼の矛盾が問題を起こしていると、 理解する能力はあるはずです。
 
□ D.
 
  「勝ち目のないゲーム」 であり、 言っている内容とは無関係です。
 
  彼を変えることは不可能です。
 
  これは 彼の問題であって、 私の問題ではないと 自分に言い聞かせ、
 
  個人的境界を守ることで、 自分を大事にしていかなければなりません。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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私の要求が何より重要

2015年04月08日 19時40分41秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○ 私の要求が何より重要
 
 これは ボーダーの人の自己愛的な要求です。
 
 彼らにとって良いことは、 他の全ての人にとっても良いのです。
 
 自分の要求と他者の要求を 区別することができません。
 
【 ex . ヴィクトリア
 
 ヴィクトリア (12才) は、 彼女の母親に会ったことがなく、
 
 父親のジムと暮らしています。
 
 ジムは高機能BPで、 ガールフレンドのサリーと同居しています。
 
 ヴィクトリアとサリーは 親密な関係ですが、
 
 サリーはジムと 結婚を望んでいませんでした。
 
 ジムは 結婚願望のある女性と出会い、 サリーと別れることにしました。
 
 新しい妻に ヴィクトリアの母親になってほしいと 思ったジムは、
 
 ヴィクトリアとサリーが会うことを 禁じました。
 
 ヴィクトリアは学校でうまくいかなくなり、
 
 ジムや継母と けんかするようになりました。
 
 サリーの心は荒んでしまいました。】
 
 あなたがサリーならどうしますか? 
 
□ A.
 
 ジムの決定を受け入れます。 彼は父親なのです。
 
□ B.
 
  ジムのような愚か者と 論じるつもりはありません。
 
  私はヴィクトリアに近づき、 学校の帰りがけなどに会えるでしょう。
 
  そうすれば ジムに対処するのを避けられるでしょう。
 
□ C.
 
  私がヴィクトリアにとって いかに大切か、 ジムに手紙を書きます。
 
  彼が理解すれば、 彼は気持ちを変えるでしょう。
 
□ D.
 
  私は 上記のC.をするでしょう。
 
  それでも彼が変わらなければ、
 
 ヴィクトリアに会う 法的な権利があるか、 相談できる弁護士を見つけるでしょう。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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鬼ごっこ = あなたが鬼よ : 投影ゲーム

2015年04月07日 20時32分10秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○ 投影ゲーム
 
 投影とは、 人が 自分の中に認めたくない (ネガティブな) ことを、
 
 他人がやったといって 非難することです。
 
 不快なものを 他人に投影することで -- 誰かに「鬼」という札を付けて -- 
 
 自分の気分をよくするものです。
 
 けれども苦痛は戻ってきます。
 
 従ってこのゲームは 何度も行なわれるのです。
 
 投影は、 誇張されたものかもしれませんし、 捏造かもしれません。
 
 投影は ボーダーラインの中核的な側面です。
 
 投影を認めることで、 ボーダーの人の感情を よりよく理解できる可能性があります。
 
 投影の内容は、 ボーダーの人が 分かっていながら受け入れられないものなのです。
 
【 ex. ジョージ
 
 ジョージはこの町で 1年半も仕事を探していますが、 ここではもう見つかりません。
 
 別の町で求職したいと 妻に言うと、 妻のシンディは わがままだと言います。
 
 シンディは 両親のいるこの町に 残りたいと望んでいます。
 
 引っ越し案を持ち出そうものなら、
 
 シンディは 自分の気持ちを全く考えていないと 怒るのです。】
 
□ A.
 
  シンディに引っ越しを迫ったら、 自分を利己的だと感じ、 恥すら感じるでしょう。
 
  ジョージは妻のため どんなことでもすべきです。
 
  自分だったら、 意見の不一致や妻の激怒に 耐えられません。
 
□ B.
 
  自己中心的で子供なのは シンディのほうです。
 
  妻が私を利己的だと言ったら 激怒するでしょう。
 
  シンディは大人になって 両親から離れるべきです。
 
□ C.
 
  ジョージが利己的だとは思いません。
 
  でも妻とコミュニケーションが 取れていないようです。
 
  経済的にも私生活の面でも、 引っ越しが 双方にとって良いという理由を、
 
  リストにして説明することもできます。
 
  ジョージが充分な給料を得られれば、 シンディは 頻繁に実家にも帰れるでしょう。
 
□ D.
 
  ジョージとシンディは、 価値観と目標を徹底的に考えて、
 
  解決策を考えるべきです。
 
  二人とも妥協が必要かもしれません。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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一緒にいると : 対人行動パターン

2015年04月06日 20時18分40秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
※ アクション・ステップ12  BP/non-BPパターンを 明確化する
 
 以下の行動パターンは 予測できるもので、
 
 認知の歪みと、 DSM-Ⅳの9つの特徴から 派生しています。
 
 ボーダーの人の言動が どのようにあなたに影響しているか、
 
 あなたがどんな反応をしているか、 その反応が ボーダーの人にどう影響するか、
 
 ということを記します。
 
 次のエクササイズは 2つの目的があります。
 
 ボーダーの人がしかける 「ゲーム」 と、 あなたの反応を知らせます。
 
 各 「ゲーム」 の後に示す 例を読んで、 自分がその主人公だったらどう感じるか、
 
 自分に最も近いものを 選んでください。
 
 各例についての考察を 後述します。
 
○ すべてあなたが悪い
 
 絶え間のない非難は、
 
 他者に向かって行動化する ボーダーラインが生き残るための、 防衛機制です。
 
 自己感情をよくするために、 他人をこき下ろすボーダーの人にとって、
 
 些細なことというのは存在しないのです。
 
 ボーダーの人は 何かをしてくれと頼んでおいて、
 
 正にそれをしたという理由で 責めてきます。
 
 これもまた、 勝ち目のない状況です。
 
【 ex. ジョーン
 
 ガールフレンドのキャシーは、
 
 私の服のき方, しゃべり方, 食べ方, 私の家族, 万事について文句を言います。
 
 キャシーのこういうところは 好きでありませんが、 別れることなど想像できません。
 
 一緒に楽しい時を過ごしていますし、 愛しているのです。】
 
 ここで、 自分がジョーンであると 想像してください。
 
 自分が感じるであろうものに、 チェックを入れてください。
 
 各例についての考察を後述します。
 
□ A.
 
 ジョーンは キャシーの気持ちを尊重し、
 
 批判も愛の証として 受け入れようとすべきです。
 
□ B.
 
 そんな性悪女と 一緒にいるなど想像もできません。
 
□ C.
 
 キャシーが非論理的だということを、 優しく教えます。
 
 意見やしきたりがあるだけで、
 
  「正しい」 「間違っている」 ということはないと 説明します。
 
□ D.
 
 相手を踏みにじって、 自尊心を保つような人間関係に 留まることはできません。
 
 キャシーに カップルセラピーを受けさせるでしょう。
 
 自分が何故 こんな関係を続けているのかも 検討するでしょう。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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ボーダーラインの人の 良い性質を思い出すこと

2015年03月29日 21時27分09秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 ボーダーの人の 困難な部分を検討していると、
 
 時折私たちは 肝心なことを忘れがちです。
 
 私たちがボーダーの人を愛しており、 心配しているということです。
 
 ボーダーの人は 双極価値に揺れる人間で、
 
 どちらも複雑なパーソナリティの 一部なのです。
 
※ アクション・ステップ11 プラスの面を強調する
 
 以下の良い特質のリストで、
 
 あなたのそばのBPに当たるものに ○を付けてください。
 
 一番大事なものに◎をして、 抜けているものは何でも書き入れてください。
 
 それから、 その人と繋がっていると 感じた出来事を 2~3つ書き込んでください。
 
_芸術的     _魅力的      _哀れみ深い    _有能
 
_創造的     _教養がある    _献身的      _面白い
 
_寛大な     _助けになる    _賢明な       _ユーモアのセンス 
 
_親切な     _礼儀正しい    _興味深い     _フレンドリー
 
_熱心な     _技術がある    _思い出の共有  _共通の趣味がある
 
_自然体     _機知のある    _才能のある    _恐れを知らない
 
_社交的     _愛情に満ちている
 
『      』 『       』 『      』 『      』
 
『      』 『       』 『      』 『      』
 
『                                  』
 
『                                  』
 
『                                  』
 
 長所も短所も、 人間全体を見るようにしてください。
 
 ふたつの自己を 統合することは難しいけれど、 治療を受けるボーダーの人は、
 
 悪い時より良い時を 増やせますし、 悪い時を より扱いやすく変えていけるのです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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葛藤 (双極価値=アンビバレンス) の感覚

2015年03月28日 21時48分19秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 ボーダーの人は、 親密性を求めると同時に それを恐れています。
 
 愛情を望みながら、 相手にコントロールに与えることに 我慢がならないのです。
 
 結局、 愛する人は去っていってしまいます。
 
 ボーダーの人は、 相手がいなくなったら 自分も存在しなくなると感じるのです。
 
 自立と依存のバランスは 誰もが直面しますが、
 
 ボーダーの人は、 15メートルの綱の上で、
 
 (自尊心も希望もなしに) バランスをとっているようなものです。
 
※ アクション・ステップ10 沈没船のアクション・ステップ
 
 まず、 あなたがひどく嫌っている人を 思い出してください。

 その人の最も憎いときを 想像してください。
 
 次に、 クルーズ休暇中のあなたを想像してください。
 
 クルーズ船は 座礁して沈み始めます。
 
 救命胴衣を付けて 船から脱出しますが、 周りには何も見えず、 ひとりぼっちです。
 
 不安と渇きに襲われ、 助けを求めて叫びます。
 
 夜になり、 やがて朝がきます。
 
 すると、 ボートが近づいてくるのを目にします。
 
 しかしそのボートでは、 軽蔑するあの人間があざ笑っています。
 
 彼は、 あなたを助けるか、 そのまま置き去りにしていくか 決められるのです。
 
 仇 (かたき) が自分を助けようとする時 どう反応するか、
 
 下記のコメントに 幾つでもチェック印をつけてください。
 
 矛盾があっても構いません。
 
1. 「あいつに助けられるくらいなら 溺れ死んだほうがましだ」 と考える。
 
 □ 全く反対
 
 □ 反対
 
 □ 賛成も反対もしない
 
 □ 賛成
 
 □ 前面賛成
 
2. 歯ぎしりしながらも口をつぐみ、 船によじ登る。
 
 □ 全く反対
 
 □ 反対
 
 □ 賛成も反対もしない
 
 □ 賛成
 
 □ 前面賛成
 
3. その嫌な奴のボートに乗り込み、
 
  陸地に安全に戻ったら、 こいつに本音を言おうと 心に誓う。
 
 □ 全く反対
 
 □ 反対
 
 □ 賛成も反対もしない
 
 □ 賛成
 
 □ 前面賛成
 
4. 救出されたことをただ感謝し、 誰のボートだったかは忘れる。
 
 □ 全く反対
 
 □ 反対
 
 □ 賛成も反対もしない
 
 □ 賛成
 
 □ 前面賛成
 
 ふたつの全く正反対の反応に 引き裂かれたという感覚を感じたとしたら、
 
 ボーダーの人が慢性的に感じている、
 
 アンビバレンス (双極価値の間の葛藤) の感覚です。
 
 ボーダーの人が 首尾一貫性を欠いた行動をし、
 
 意見や希望を 頻繁に変える理由のひとつです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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法廷のアクション・ステップ  ※アクション・ステップ9

2015年03月25日 20時44分02秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 ボーダーラインの障害を持つということは、 実際どういう感じなのでしょう。
 
 ボーダーの人の感情に近づくことは、
 
 ボーダーの人の反応を 予測するのに役立ちます。
 
○ 法廷のアクション・ステップ
 
 重大な犯罪で 糾弾されている状況を 想像してください。
 
 裁判にかけられ、 陪審員が評決を持って入ってくるのを 待っています。
 
 あなたはピリピリ、 ドキドキし始めています。
 
 恐怖を感じ始め、 刻一刻と状況は厳しくなっています。
 
 誰かが後ろから袖を引っ張り、 振り向くと旧友がいました。
 
 「今日は約束があるから、 子供を学校へ 迎えに行ってもらわないと困るんです。
 
 時間がないなんて言わないでください。」
 
 あなたはどう感じますか? 
 
【ステップ1】
 
 このような状況で 想像される感じ方に○をしてください。
 
_ 不機嫌な
_ 評価されていない,大事にされていない
_ 踏みにじられている
_ 緊張した
_ 警戒した
_ 腹が立った
_ 卑しめられた
_ 平穏な
_ 激怒した
_ 悲しい
_ 緊張した
_ 煽動された,あおられた
_ 利用された
_ 焦燥
_ 傷つきやすい
_ 激昂した
_ 脅えた
_ 欲求不満の
_ 辱められた
_ 安らいだ
_ 気落ちした
_ イライラしている
_ 空腹の
 
 自分の気持ちを 以下の空欄に書いてください。
 
 『                                    』
 
【ステップ2】
 
 上述の感情を 全て同時にもつのは 何を意味するか考えてみてください。
 
 これらの感情を毎日、 断続的に終日抱いているとしたら、
 
 どのようなものか想像して書いてください。
 
 『                                    』
 
 そういう状態だったら、 慰めや優しい理解を示す人に、 どんな影響を受けますか?
 
 『                                    』
 
 そういう状態だったら、
 
 あなたの目下の人に対する態度は、 どういう影響を受けると思いますか?
 
 『                                    』
 
 ここで戻って、 感じる可能性のある気持ちと 反対の気持ちに ×をつけてください。
 
 
 ボーダーの人の中には、 自分自身や 自分のしてしまったことに対して、
 
 恥と罪の意識を感じ、 自分自身を罰する人がいます。
 
 ほとんどのボーダーの人は 存在自体を恥じています。
 
 (これは ボーダーラインの定義の一部です。)
 
 自分自身を  「すべて黒」 か 「すべて白」  どちらかに見なし、
 
 最悪の判決を待つ 犯罪者のような気持ちになります。
 
 そして最悪の事態とは, 愛し、 頼りにしている人から 見捨てられることなのです。
 
 絶え間なくプレッシャーがかかり、 ピリピリして脅えている感じは、
 
 ボーダーの人の心や行動の 理解を助けるものです。
 
 日常的な出来事でも、 限界を超えた出来事になるのです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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「世捨て人」 タイプ

2015年03月24日 21時36分25秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○世捨て人
 
・ 典型的な思考
 
 生き馬の目を抜くような世の中で、 安全な場所なんてないのです。
 
 皆、 最後には裏切るのだから、 隠された意味に 警戒しなければいけません。」
 
・ 典型的な感情
 
 コントロールできない恐れ, 飲み込まれてしまう恐怖から、
 
 安堵を得ることができません。
 
 批判を、 自分に対する 全面的な死刑宣告のように 厳しい非難と取り、
 
 自尊心を保とうとして 仕事や趣味に頼ります。
 
 内面的な恥の気持ちは、 他人を途切れなく批判することで 表現されます。
 
・ 典型的なふるまいと 中心的ジレンマ
 
 固い殻があるため、 自信があり、 断固としており、 自立していて、
 
 社交の才にさえあふれているように見えます。
 
 身近にいる家族は、
 
 不信, 完全主義, 不安感, 焦燥感, 激怒, 妄想を 体験します。
 
 皆を 完全主義の理想に照らし合わせ、 激怒や締め出しで 相手を罰します。
 
 自己の喪失を恐れ、 これは 所有物の独占欲に繋がります。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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「捨て子」 タイプ

2015年03月23日 19時36分50秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○ 捨て子
 
・ 典型的な思考
 
  「私は価値のない犠牲者です。
 
 愛されたいし保護されたいと 強く望みますが、 その価値はないのです。」
 
  「コップは半分 空であるうえに、
 
 掃除したばかりの床一杯に 今にもこぼれそう。」
 
・ 典型的な感情
 
 救いのない感じ, 希望の欠如, 絶望。
 
 激しい怒りは 悲しみと抑うつでカバーされていますが、
 
 拒絶や見捨てられることで噴出します。
 
 自分を、 過ちと失望とねじ曲げ, 恥辱の状態へつなげてしまいます。
 
 傷つきやすく、 自分には欠陥があると感じ、
 
 不安で気分が変わりやすく、 理屈に合わないほど臆病なのです。
 
・ 典型的なふるまいと中心的ジレンマ
 
 人が 「救ってくれる」 ことを期待しますが、
 
 救われないという気持ちに 安心感を得るので、 結局は援助を拒否します。
 
 誰も信用せず近づけなければ、 コントロールを維持でき、
 
 誰も 「捨て子」 たちを見捨てることも 失望させることもできないのです。
 
 自分自身を傷つけるかもしれませんが、
 
 自分が拒否されたとか 見捨てられたと感じたら、 激怒する力もあります。
 
 必要とするものを求めないので、 他人には心を読むことができず、
 
 望むものを与えられないため、 殉教者のように見えます。
 
 泣いてばかりいる期間が 存在しかねず、 他人を育んでやることができません。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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「女王」 タイプ

2015年03月22日 19時12分41秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
○女王
 
・ 典型的な思考
 
  「私はもっと注目されたい。
 
 私はもっと多くの注目を 受けるに値する。」
 
  「私に反対意見を言ったり、 私の願いに逆らったり、 自分の要求を抱くとしたら、
 
 それは 私を愛していないとか 尊敬していないということ」
 
・ 典型的な感情
 
 必要なものを与えられていないという 子供時代の剥奪感から生じた、
 
 特権意識, 剥奪感, 空虚感, 怒り, 欲求不満や孤独感が あります。
 
 忍耐力がなく、 他人の境界を侵し、 それを認識も後悔もしません。
 
・ 典型的なふるまいと 中心的ジレンマ
 
 空虚感にかられるうえ、 自分自身をなだめることができないので、
 
 望むものを手に入れるためには どんなことでもしでかします。
 
 脅迫のような報復行為も含まれます。
 
 真の操作をすることもできます。
 
 (原初的なボーダーの人とは対照的に)
 
 初めは 社交的で優雅な印象を 与えるかもしれませんが、
 
  「友人」 が期待に沿わなくなると、 少しも考えずに切り捨てます。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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「魔女」 タイプ

2015年03月21日 22時17分26秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 臨床家のクリスティーヌ・アン・ローソン博士は、
 
 BPを 4つのタイプに分類しました。
 
 魔女, 女王, 世捨て人, 捨て子です。
 
 魔女と女王は、 高機能でアクティング・アウト・タイプ。
 
 世捨て人と捨て子は、 低機能でアクティング・イン・タイプです。
 
 ほとんどのボーダーの人は、 4種すべての要素を表します。
 
○ 魔女
 
・ 典型的な思考
 
 敵対的または 加虐的な養育者に、 全面的な服従を要求される 環境で育ったため、
 
 無意識的に自分自身を憎むのです。
 
 他人に対して
 
 -- 特に 弱く、 若くて、 自分を救うことができない者に対して --
 
 残酷にふるまって、 同じサイクルを繰り返すのです。
 
・ 典型的な感情
 
 他人を傷つけたことよりも、 自分の状態がよくなることに 関心があり、
 
 懺悔の気持ちは持ちません。
 
 魔女の引き金になりうるのは、
 
 嫉妬心, 批判, 裏切り, 見捨てられること, 疎外感, 無視されることです。
 
・ 典型的なふるまいと 中心的ジレンマ
 
 ほとんどのボーダーラインの親は、 子供を身体的に虐待することはありませんが、
 
 身体的虐待をする人は このカテゴリーに入る可能性が大です。
 
 しかし虐待は 他の大人がいないときに起こります。
 
 他人が自分を見捨てることがないように、 権力と支配力を欲します。
 
 見捨てられ恐怖の 引き金が引かれると、
 
 残酷化し 激怒でいっぱいになり、 邪魔する家族を 罰したり傷つけたりします。
 
 最も治療に抵抗します。
 
 他人が援助することを許さず、 自己嫌悪の源が 非常に奥深くにあるからです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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高機能・低機能 連続体のどこにいますか?  ※アクション・ステップ7

2015年03月20日 20時25分14秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 あなたのBPは、 どのような点で 高機能/アクティング・アウトで、
 
 どのような点では 低機能/アクティング・インですか? 
 
 以下のうち、  当てはまるものに○をし、  実例を書いてください。
 
 分からない際は、 その行為によって、
 
 BPのことが心配になる (アクティング・イン) か、
 
 あなた自身のことが心配になる (アクティング・アウト) か、 自問してください。
 
高機能でアクティング・アウト
 
_ 激怒する時期がある
 
_ 仕事をしている (特に責任を伴う仕事)
 
_ 友情関係を維持できる
 
_ 家族以外はほとんどの人が 問題について知らない
 
_ 必要なときは 「正常」 にふるまえる
 
_ 人を近づけるよりは 遠ざける
 
_ 全てのことについて  「完璧」 を装う
 
_ 他者を 自分の延長とみなす
 
_ 他者を責め非難する
 
低機能でアクティング・イン
 
_ 自傷行為の歴史
 
_ 自殺の脅し,実際の自殺企図
 
_ 仕事を維持できない、 あるいは 能力を下回る仕事をしている
 
_ 買い物など 日常生活で 責任を持つのが困難
 
_ 不必要に危険な活動をする
 
_ 苦痛の感情を述べる
 
_ 治療を求めている
 
_ ひとつの失敗で、 全面的な失敗という気持ちになる
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」
 (星和書店) 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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高機能BP, 低機能BP

2015年03月19日 22時03分11秒 | 「BPD 実践ワークブック」より
 
 ボーダーの人たちを、
 
 低機能で 自分に向かって 行動化 (アクティング・イン) するタイプから、
 
 高機能で 他者に向かって 行動化 (アクティング・アウト) するタイプへの
 
 連続体でくくります。
 
 ふたつのタイプは、 大幅に異なるので、
 
 まるで 2つの違った障害であるかのようですが、 純粋な対極関係なのです。
 
 ボーダーの人は普通、 ひとつのタイプが優勢ながら、 ふたつのタイプの混合体です。
 
○ 高機能BP
 
 このタイプの人は、 働くことができ、 自傷行為や自殺企図をしたりせず、
 
 よそでは正常という 仮面を被っています。
 
 しかし、 家族といると 暴れたり、 激怒, 非難したりし、
 
 自分の低い自己価値感を 相手に投影します。
 
 自分以外に問題があると 信じており、 専門家の助けは求めようとしません。
 
 子供の高機能BPは、 成績優秀で 色々な才能を持つ 優等生です。
 
 しかし、 1ヶ月以上 同じ人と親友であることはなく、
 
 服で隠れる部分に 沢山の傷があります。
 
 ノン・ボーダーの人に 自尊心を失わせ、 BPに依存しているように感じさせ、
 
 恐れや心配を感じさせます。
 
○ 低機能BP
 
 このタイプの人は、 障害者補助を受けていたり、 失業していたり、
 
 自分の能力に見合わない 低いレベルの仕事についているかもしれません。
 
 自傷行為や自殺企図, 自己批判, 薬物乱用などで、
 
 苦痛に満ちた恥の感情に 対処します。
 
 自分に問題があると自覚し、 プロの助けを求めます。
 
 このタイプの例は、 マリリン・モンローです。
 
○ 両タイプの特徴を示す人
 
 ふたつのタイプの真ん中、 あるいは
 
 一方に少しだけ偏ったところに 位置する人です。
 
 いい例は 故・ダイアナ妃で、 摂食障害, 自傷行為, うつ状態と闘う一方で、
 
 公の場に登場し、 慈善事業を行ない、 二人の息子を育て上げたのです。
 
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」
 (星和書店) 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕
 
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