「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の治療法

2011年11月08日 21時09分42秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 治療を受ける前には、 徹底した心理アセスメントを受けて、

 正しく診断してもらうことが 非常に重要です。

 自己診断はよくありません。

 本やネットで 色々な症状や障害について 読んでいると、

 実際にはないのに、 その症状が 自分や他人にあると

 思い始めてしまうこともあるからです。

 このような現象は、 病気について勉強する 医学生にもよく見られ、

 「医学生シンドローム」 と 呼ばれているほどです。

 境界性パーソナリティ障害の治療法には、 次のようなものがあります。

○ 認知行動療法 (CBT)

 感情, 思考, 行動をコントロールするための スキルを学びます。

 問題を起こす 自分のパターンを見極め、 それらを変える努力をします。

○ 弁証法的行動療法 (DBT)

 認知行動療法に加えて、

 自分自身や 自分の人生, 他者を 受け入れる方法を学習します。

 (後述)

○ 精神力動精神療法

 様々な行動の理由, 行動パターンが どう始まったのかを 理解するのを助けます。

 育った環境に 重点を置き、

 親や周りの人との経験が、 現在の行動に どう影響しているかを探ります。

 個人療法, 集団療法, 薬物療法もあります。

 積極的に問題を解決したいなら、 認知行動療法や弁証法的行動療法、

 自分と同じような問題を 抱えている人の 話を聞きたいなら、

 集団療法がよいでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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自殺を考えたときに 踏むステップ (4)

2011年10月27日 21時39分44秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 行動を起こし、 絶望的な考えに立ち向かう

 将来への絶望的な思いが 自殺を考えさせます。

 将来なにが起こるかを 前向きに考えることができないのです。

 強く否定的な感情から 抜け出せないときは、

 秩序立てて考えることが 難しいものです。

 最良の対処法は、 ただちに行動を起こし、

 絶望的な 「ふるまい」 を避けることです。

 感情をコントロールするのに 効果的なのは、

 感情や考えと  「反対の行動」 をすることです。

(弁証法的行動療法)

 怒っていて怒鳴りたかったら 誰かに親切にする、

 その場から逃げたかったら その場に留まる、 という行動をとるのです。

 すぐに問題を解決することは できないでょう。

 でも気分を楽にしたり、

 問題を解決するための 小さな一歩を踏み出すために 何かできるかもしれません。

 起こっていることを受け入れるように 取り組めるかもしれません。

 どんなに小さなステップでも、 それを踏み出すことによって、

 見通しが改善され、 うまくいくという希望を与えてくれます。

 大切なことは、 何が起こっているかに 充分注意を払うことです。

 今、 自分の周りで 何が起きているか、 目と心を開きましょう。

 小さくても重要な一歩に 気付くことが必要です。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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自殺を考えたときに 踏むステップ (3)

2011年10月26日 19時27分09秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 生きる理由を考える

 マーシャ・リネハンは、

 「生きる理由の一覧表」 という アンケートを作りました。

 例えば、 あなたが自殺してしまったときの、

 子供や両親, パートナー, 友だちの表情を想像してみてください。

 これを乗り越えられる、 物事を変えられると、 自分に言い聞かせましょう。

「生きる理由の一覧表」

・ ゆくゆく人生は 今よりも良くなり、 別の方法で解決できるようになる

・ 自殺することで 家族や子供, 友だちらを傷つけるかもしれない

・ 死や痛みへの恐怖

・ 自殺に失敗し、 もっと酷い結果になるかもしれない

 (手足の麻痺, 身体の一部をなくす, 継続的な痛みなど)

・ 自殺へのモラルや 宗教上の反対意見から 非難される

・ 地獄へ行くことなどの恐れ

○ 考えを通り過ごさせる

 自殺の考えを 右から左に通過させてしまう。

 考えが浮かんでも 実行する必要はありません。

 ただ 通過させる自由があります。

 「広い緑の野原に寝ころがり、 空を見上げているところを 想像してください。

 とても穏やかで、 暖かく晴れて、 心地よい風が吹いています。

 大きな白いふわふわな雲が 流れていくのが見えます。

 ひとつひとつの雲に、 あなたが考えていることが 書かれていると想像してください。

 そして、 流れていくのを見てください。

 雲 (または考え) を追いかけず、 ただ通過させなさい。」

(「アクセプタンス & コミットメント・セラピー」  スティーブン・ヘイズ)

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自殺を考えたときに 踏むステップ (2)

2011年10月25日 22時17分39秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 本当にしたいことを考える

 本当に死にたいのか?

 本当は今、 自分を苦しめている問題から 逃げたいのか? 

 もし 抱えている問題を解決でき、 自殺する必要がなくなったら? 

 それでも 自殺をしたいと思うでしょうか? 

 治療者が 自殺を考えている人に、

 「本当に死にたいのですか?

 それとも 今の苦しみから逃れたいのですか?」 と聞くと、

 患者は一瞬つまって、 必ず 「苦しみから逃れたい」 と答えます。

 誰も 「死にたい」 とは言いません。

 皆、 死ぬことが目的ではない、 と言います。

 他に楽になる方法が 見つからないのだと言います。

 でも、 他に解決法はあるのです。

・ 「ああ、 自殺を考えている。 他に問題があるに違いない」  と考える

・ その問題が 何かを見つける

 自殺を駆り立てている 問題について考える

● 「死にたい」 という代わりに、  「~~がしたい」 と言おう。

 これは非常に 重要なことだと思います。

 本当はどうなりたいのかを 理解しましょう。

 楽になりたいのか、 苦しい感情から逃れたいのか、 問題を解決したいのか。

 よい方向へ行く 方法を知りたいのか。

・ どうすれば 望むものが得られるか考える

 そのために 何ができるかを考える。

 治療者に相談する, 友だちに相談する, 本などから 役立つ対処法を見つける。

・ 自殺は 一時的な問題の 永久的な解決法だと知る

 自殺してしまったら、 次の曲がり角の先にある 問題の解決に辿り着けない。

 それはばかげたこと。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自殺を考えたときに 踏むステップ (1)

2011年10月24日 22時15分18秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 苦しい問題に対処するために 一番大事なのは、 生き続けることです。

 自殺して 治療やケアができなければ、 治ることはありません。

 死ぬよりは生き続けて、 苦痛を和らげる方法を 学んだ方がましです。

 自殺企図が 人生をもっと苦しく 困難にしているのです。

 自殺をしたいと思ったときに 踏みとどまり、 対処法を使えるように学ぶことです。

 困難なことに直面したとき、 自動的に自殺を考えてしまうとしたら、

 その考えを断ち切るのは 難しいことです。

 でも その思いが浮かんだとき、 どうすればよいかを 学ぶことはできます。

 どんなステップを 踏めばよいかについて述べます。

○ 「自殺できる道具」 から離れる

・ ODをしたくなったら、 家から出て 薬から離れる。

  薬をトイレに流してしまう。

  誰かに 薬を管理してもらう。

  薬をいつも 鍵のかかる所に 保管しておく。

・ 鋭利なもので自傷したいなら、 それらを家から出すか、 自分自身が家から出る。

・ 自分を傷つけるための 物を買わない

・ 刃物や薬が 買える店の前を  「なんとなく」 通らない。

○ 場所を変える

 今の場所から 別の所へ行くだけで、 びっくりするような違いがあります。

 できるだけ 人がいる所 (自殺をしにくい場所) へ行く。

 (レストラン, 喫茶店, ショッピングセンター, 人がいる公園,

 フィットネスセンター, 海岸, 図書館, 動物園, 友だちの家, 近所の家,

 家族や親戚の家など)

 考えないで すぐにどこかへ行く。

 そこに着いたら、 周りの光景, 音, 香り, 味,

 周りの全てのものに 注意を払う。

 別の見方で 世界を見ることができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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腹式呼吸 -- 感情への対処法 (6)

2011年10月22日 18時58分06秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 腹式呼吸

 不安, 怒り, 動揺, 緊張, ストレスを感じているときに 役立つスキルです。

 とても単純で、 ただゆっくり、 意図的に横隔膜を通して 呼吸するのです。

 邪魔されない静かな場所で 練習してください。

 まっすぐ座った状態で、 片手を胸に当て、 もう片方の手を 腹部に当てます。

 いつものように呼吸し、 胸部か腹部か どちらがより動いているか 注意しましょう。

 たいていの人は 胸のほうが動きます。

 今度は 主に横隔膜を通して 肺に空気を送るようにします。

 胸よりも 腹部の方が動くまで 続けます。

 通常よりゆっくり、 そして深く呼吸します。

 緊張が霧のように 口や身体から流れだすのを 想像してみてもよいでしょう。

 胸で呼吸すると、 さらに不安になったり 緊張したりします。

 過呼吸しやすい場合は 特にそうです。

 腹式呼吸をすると、 より深く肺に空気を送れ、 酸素を取り込むことができます。

 動揺したとき、 呼吸にしばらく集中することで、 落ち着く時間ができます。

 それから すべきことを考える ゆとりが出てくるのです。

 ストレスや動揺することがあったら、

 漸進的筋弛緩法や 腹式呼吸をして落ち着きましょう。

○ ゆっくりと呼吸する

 単にゆっくりと 呼吸することに集中するだけで、 不安から落ち着くことができます。

 息を吐くときに 6まで数えればよいだけです。

 深く息を吸い、 同じことを繰り返しましょう。

 落ち着かなければ、 8や10まで数えてもいいでしょう。

 数を数えることに集中し、 問題から注意をそらす 手助けになります。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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漸進的筋弛緩法 -- 感情への対処法 (5)

2011年10月21日 22時30分38秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. リラックスする方法

 不安, 怒り, 緊張, 動揺などの感情を取り扱うのに、

 リラックスのスキルが効果的です。

 「漸進的筋弛緩法 (ぜんしんてききんしかんほう)」 と

 「腹式呼吸」 があります。

 この練習をする間は、 何かを心配するのはやめましょう。

 不安やストレスを感じていると、 もっと不安になります。

 現在身体が感じていることに 集中しましょう。

○ 漸進的筋弛緩法

 緊張, 不安, 怒りを減少させます。

 静かで邪魔をされない場所で、 横になっても 座っても 立ってもできます。

 (横になるのが 一番いいでしょう。)

 筋肉に力を入れたり 抜いたりして行ないます。

 意識的に 筋肉に力を入れることで、 リラックスしやすくなるのです。

(1)まず 身体のどこから 始めるかを決める。 どこからでもよい。

   ここでは つま先から始めるとする。

(2)つま先に集中する。 脳が全部 つま先に引き下ろされることを 想像する。

   つま先を 足の底に向けて 内側に曲げ、 つま先に緊張を 感じるまで続ける。

   5~10秒間、 7~8割方の力を入れ続ける。

(3)力をゆるめ、 筋肉をリラックスさせる。

   力を入れたときと、 抜いたときの違いに 着目する。

   温かさなど、 感じる感覚に注目する。

(4)意識を足首に持ってきて、 力を入れる。

   5~10秒間、 力を入れ続けてから ゆるめ、 足と足首をリラックスさせる。

   力を入れたときと リラックスさせたときの違いに 注目する。

(5)これを徐々に 身体の上の部分へ移していき、

   頭に到達するまで 同じことを行なう。

   空いている時間で 5~25分行なう。

 漸進的筋弛緩法によって、 やる前より50%以上 リラックスできると言います。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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注意をそらす (2) -- 感情への対処法 (4)

2011年10月20日 22時52分20秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 想像力を働かせる

 穏やかで好きな場所や、 お気に入りのことを 空想をする (自傷行為を含まない)。

 問題が解決したことを想像する。

 想像しているところの 光景, 音, 香り, 感触を思い浮かべる。

○ 音楽を聴く

 悲しいときや落ち込んでいるときは エネルギッシュな音楽。

 不安や緊張や怒りを 感じているときは、 柔らかい和やかな音楽。

 (反対の感情を 引き起こすスキル。)

○ テレビや映画を観る

 感じていることと 反対のムードのものを選ぶ。

 悲しいときは 興奮したり面白い番組を観る。

 怒り、 動揺、 緊張、 ストレスを感じているときは 落ち着くものを観る。

○ 外に出て何かをする

 アクティブになり、 友だちに電話したりする。

 外に出て、 問題から注意をそらせることをする。

○ 五感のどれか (または全部) を刺激する

・ 味 -- 強いシナモン味、 酸っぱいレモン味、 強いミント味の飴など。

・ 感触 -- 水やお湯を手に流す。 ひとかけらの氷を 溶けるまで握る。

  熱いシャワーを浴びる。

  周りにある色々な物を触り、 肌触りに注目する。 どんな感覚かに注意する。

・ におい -- 玉ねぎを切って においを吸い込む。 香辛料のにおいをかぐ

  お香を焚く。 アロマの香りをかぐ。

・ 音 -- 騒がしい音楽を聴く。 ブザーを鳴らす。 笛を吹く。

・ 光景 -- 好みの画像に見入る。 美しい自然を眺める。

  好きな人の写真や、 好きな絵などを観る。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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注意をそらす (1) -- 感情への対処法 (3)

2011年10月19日 22時26分18秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

2. 注意をそらす

 ひどく動揺しているとき、 別のものに注意をそらすことが よい場合があります。

 ただし、 絶えずこのテクニックを使っていると、 それは回避になってしまいます。

 すると苦しみが増し、 問題を解決できなくなってしまいます。

 苦しい時間をやり過ごすため、 適度にこのスキルを 使うようにしましょう。

 嵐や危機が通りすぎたら、 注意をそらすことをやめ、

 自分の問題や感情に 向き合うようにします。

 以下に、 注意をそらす方法を いくつか挙げてみます。

○ 別のことを考える

 100から0まで 逆に数える。

 115を3になるまで 7を引き算し続ける。

 アルファベット順に 動物や街の名前を考える、 など。

○ 頭を使うことをする

 クロスワードパズル、 数学の問題、 言葉遊び、 コンピューターゲームなど。

○ 何か仕事をする

 家の掃除、 皿洗い、 食品の買い物、 庭仕事、 洗濯など。

 できる限り そのことだけに集中する。

○ 楽しく 夢中になれることをする

 絵を描いたり、 手先を使って 物を作ったりする。

 散歩や運動、 レストランへ行ったり、 親しい人と話をする。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自分の感情を受け入れる (2) -- 感情への対処法 (2)

2011年10月18日 20時42分17秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 例えば、 大雨が降っていて 気分が良くないとします。

 雨を受け入れるには、 窓の外を眺めて、 こんなことを言ってみればよいでしょう。

 「雨が降っている。

 雨は嫌いだけど 降っている。

 それが 今日の天気なんだ」

 「受け入れる」 とは  「好きになる」 ことではありません。

 でも受け入れれば、 穏やかな気持ちになれることに 気付くでしょう。

 過去に起こったこと (変えられないこと) や、

 たった今起こっていることと 闘わないことです。

 思い悩んでいることを 受け入れてしまえば、

 現状を変えるために 努力することができます。

 不安だと感じたら、 不安を和らげる方法を 探すことができます。

 気持ちや人生を 受け入れる方法を、 リストアップしてみましょう。

○ 感情が起こり、 去っていくのを観察する

 感情によって 体の変化 (動悸や胃の痛みなど) が起こり、 引いていくのを見る。

 ただ見るだけで、 去るのを待つ。

 変えようとせず、 評価もしない。 (悪い、 ひどいなどの ラベルを付けない)

○ 今感じていることを受け入れる、 と自分自身に言う。

 「私は今、 ~~と感じている」 と言う。

○ 動揺させることを受け入れる、 と自分自身に言う。

 例えば パートナーを失ったこと、 虐待された過去、

 日々のイライラを 受け入れる努力をしてみる。

○ 苦しいことに気付いたら、 それを大きな声で言う。

 「クビになった」 「恋人にふられた」 「体重が増えた」 など。

 混乱したら、 それを口に出して言ってみる。

○ 何を感じているかを 書き出す。

 そして、 書いたことを読み直す。

○ 息を吸って、  「受け入れる」 と 頭の中で自分に言う。

 息を吐いて、 また 「受け入れる」 と言う。

 ただ 自分の感情を、 吸って、 吐く。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自分の感情を受け入れる (1) -- 感情への対処法 (1)

2011年10月17日 21時29分42秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 今回から、 境界性パーソナリティ障害のために できることを連載していきます。

 治療法や対処の仕方です。

 最初に、 感情への対処法を書いてみます。

 辛いときを切り抜けるために 役立つ方法です。

 BPDの人は 感情的な性格が問題なのではありません。

 感情への対処法に 問題があるです。

 例えば、 自傷行為は少しの間は 気が紛れるかもしれませんが、

 自尊心を傷つけ、 傷の跡を残し、 自傷行為が慢性的な対処法になってしまいます。


 回避行動も、 常に感情を避けていると もっと具合が悪くなります。

 そして、 感情を引き起こしている問題の 解決を停止させてしまいます。
 

1. 自分の感情を 受け入れる練習

 感情を扱う方法で、 最も単純で、 しかし最も難しいのは、

 感じていることを受け入れる練習をし、 辛い状況を受け入れることです。

 練習とは、 常に努力し続けることで、

 一度受け入れても それを繰り返さないといけません。

 受け入れるとは、 感情や困難な状況を あるがまましておくということです。

 感情を変えようと必死になったり、 感情から逃げ出そうとしたり、

 感情を抑圧しようとするのを やめる過程のことです。

 感情を通り過ごさせてみるのです。

 感情に対して 特別な反応をする 必要はありません。

 感情をなくそうとしたり、 逃げようとすると、

 さらに苦しむような 問題を引き起こす原因になります。

 感情に相対してもがくのは、 巨大な怪獣と 綱引きをするようなものです。

 受け入れるとは、 綱引きの綱を放し、 怪獣が怪獣であると 認めることです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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なぜ 自傷や自殺企図をするのか (3)

2011年10月16日 21時44分37秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

4. 周りの人の 精神的苦痛を減らすこと

 BPDの人は 周りの人の 重荷になっているのではないかと感じて、

 周りの人の 負担感を減らすために

 自分を傷つける (とりわけ自殺企図) ことがあります。

 自分がこんなに 問題を抱えていなければ、

 他の人は楽になるだろうと 思うでしょう。

 しかし自殺によって 周りの人は もっと悪い状況に追い込まれます。

 残された人は とても落胆し、 立ち直れないことだってあります。

 遺族や子供は 自殺を図る危険性が 極めて高くなります。

5. 他の人に伝えること

 誰でも 無視されたり、 感情が認められなかったり、

 どんなに苦しいか 伝わらないことがあるでしょう。

 BPDの人は 自己主張が苦手で、 自分が何を求めているか うまく伝えられません。

 感情を伝えるためには どんな手段でも使ってしまう、

 自傷または 自殺企図をするかもしれません。

 ただし大半の場合は 他の理由もあり、

 人に伝えるためだけで 自傷をしているわけではありません。

○ 自傷に対して何ができるか

 自傷の理由を知っていれば、 それを防ぐ 第一歩につながります。

 自傷や自殺企図をしたくなったら、 思い止まってみてください。

 そこから何を期待しているのか、 自傷や自殺企図をする 理由を考えてください。

 本当は何をしたいのか、 自分を傷つけないで 何ができるか、

 自分を傷つける以外の 方法を思い浮かべ、 全部書き出し、 実行してみてください。

 何度も繰り返すうち、 自分の要求を満たせるようになるでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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なぜ 自傷や自殺企図をするのか (2)

2011年10月15日 20時02分18秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. 自己罰

 BPDの人が 自分を傷つける もうひとつの理由は、

 悪いことをしたと思い込んで、 自らを罰するためです。

 自己罰は、 自殺企図の理由としても あり得ますが、

 意図的な自傷の理由のほうが 一般的です。

 なぜ 自己罰をするために 自傷 (自殺企図ではなく) を行なうのか、

 明らかではありませんが、 こう考えられます。

 怒りは とても活発な感情で、 怒りを感じると興奮し、 力がわき出るでしょう。

 怒りは人を奮い立たせ、 問題に対して 何か行動を起こさせます。

 一方、 自殺は 自分からの完全な逃避になります。

 自分が存在しなくなったら 自己罰も受けられず、

 自分を苦しめる機会も 失ってしまうのです。

 しかし 自己罰の問題点は、 問題解決に何も進展がないことです。

 罰を受けて当然だと 証明するために 自分を罰することになり、

 最終的には気分は さらに悪くなるだけです。

 なぜBPDの人にとって 自己罰が必要なのでしょうか。

 非承認的環境で育った人なら、

 自分の感情に苦しんでいるときに 叱られたり、 見捨てられたりしたでしょう。

 親からこういう仕打ちを受けると、

 自分に対しても 同じような扱いをしてしまうことがあります。

 また、 自分で自分に罰を与えれば、 親たちに放っておいてもらえたのでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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なぜ 自傷や自殺企図をするのか (1)

2011年10月13日 20時38分53秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
1. 精神的苦痛の軽減、 または回避

 自傷をする 一番共通の理由は、 精神的苦痛からの 逃避または回避です。

 特に BPDの人に当てはまります。

 BPDの女性の大半が、

 感情を抑えるために 意図的な自傷や自殺企図を 起こしています。

 BPDの人は 耐えられない 激しい感情に襲われ、

 どうしようもなく苦悩しています。

 感情を抑える方法を 学んでおらず、

 何でもよいから 少しでも解消できる方法を 求めるでしょう。

 人によっては 意図的な自傷が解消法になります。

 BPDの人は 一般の人よりも、 自傷による解放感が 強いという調査もあります。

 過去に自傷を行なっている人が、

 自傷を想像するだけで 感情の高まりが低下するというのです。

 自傷による 短期間の利点よりも、 悪影響のほうが 遥かに大きいのですが、

 解放感が さらに自傷を促し、 自傷に頼ってしまいます。

 自殺企図は何故、 精神的苦痛から助けてくれるのでしょう。

 人は 苛立ちを鎮めることに執着するあまり、 他のことが手に付かず、

 あげくに気力が低下し、 最後には諦めてしまいます。

 将来に絶望を感じたら、

 苦痛を抑える 最後の手段として 自殺を考えてしまうでしょう。

2. 感覚を呼び覚ますこと

 BPDの中には、 空虚感や無感覚に 苦しんでいる人もいます。

 周りの環境を遮断したり 解離する人もいます。

 何かを感じたいという理由で、 意図的な自傷や自殺企図を する人もいるのです。

 虚無よりは痛みのほうがましだ ということです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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自殺行動と自傷行動とは? (3)

2011年10月12日 19時42分52秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. 人を操作する

 誰かのことを 「操作的」 と言うと、

 その人に対して 同情したり共感したりできなくなります。

 その人の苦悩に 関心が持てなくなり、

 操られることに対して 自分を守ろうとするでしょう。

 また 「操作的」 と言うと、

 その人の行動の理由が 分かっているような言い方です。

 人の気を引こうと、 わざと自分を 傷つけていることになってしまいます。

 けれども何故 このような行動を取るのか、

 自分でも全く気付かないことが よくあります。

 例えばある女性が 自傷をするのは、 気分を良くするからだとします。

 結果的に 周りの人が 彼女に注目してくれて、

 彼女の気分が よくなっているのだとすればどうでしょう。

 彼女は 気分がよくなる理由を 知っているわけではありませんし、

 操作をしているわけでもありません。

 彼女は次に困ったとき、 また同じ行動をするでしょう。

 行動療法では、 その行動に利点があれば 同じ行動に没頭すると言われます。

 これを 「正の強化」 と言います。

 また、 「操作的」 という レッテルを貼ると、

 問題はその人の中にある ということなります。

 しかし 自傷行為によって 周りの人がその人に注目し、

 結果的に 本人の行動を促していることになるのです。

( 「イネイブリング」
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61844059.html )

 自傷をしたとき、 周りの人は 気にかけないようにしないといけません。

 そうすれば 苦しくて助けてほしいとき、

 他の方法で 気付いてもらうようにするでしょう。

 自傷行為の一番の理由は、

 精神的苦痛から逃れるためだ ということを知っておいてください。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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