主に境界性パーソナリティ障害と 診断された人の中に、
その背景に 高機能発達障害を持っている人の存在が 注目されています。
衣笠隆幸氏は、 これを 「重ね着症候群」 と呼んでいます。
青年期に 種々のBPD様の精神症状を 訴えて受診し、
問診していくうち 高機能発達障害が発見されるといいます。
発達障害は軽度で、 高機能 (知能が平均以上) の人なので、
物事の達成能力があり、 それまで見過ごされてきてしまったのです。
高機能発達障害には 精神分析的精神療法が適用されますが、
BPDはそれはかえって 患者の衝動性を刺激し、 自己感が混乱してしまうので、
支持的なアプローチや 薬物療法が適切です。
小児・ 児童期に、 不登校や神経症が 見られることがありますが、
発達障害を疑われたことはありません。
思春期・ 青年期には、 様々な精神症状を呈します。
対人恐怖, 強迫, 摂食障害, 人格障害, 抑うつ, 反社会的な逸脱行為など,
統合失調症, 躁うつ病, 摂食障害, 神経症,
パーソナリティー障害などの 症状をきたします。
精神科を受診し、 自己理解を促進する (精神分析的) 治療を受けると、
かえって悪化してしまいます。
治療者が混乱すれば、 治療困難事例になってしまうでしょう。
支持的・ 療育的な関わりをすると、 安定していきます。
面接場面では、 情緒的交流の困難さ, 激しい感情の変化や平板化,
自己感の喪失を訴えます。
いじめや孤立など コミュニケーションの問題や、
攻撃性・ 衝動性・ 性衝動の問題が 浮き彫りになってきます。
家族からは、 発達の異常 (早熟・遅滞) の存在, 言語障害の存在,
協調運動障害の存在, 強い拘りの存在が聞かれます。
いずれにしても、 発達障害のために 周りと合わなくて、 理解されず、
不安や無力感, 反抗や攻撃, 自暴自棄などに陥り、
BPDのような行動化を してしまうというものです。
〔「outlandos d’amour」:
http://outlandos.blog.eonet.jp/outlandos_damour/2009/04/layered-cloths-.html
他より〕