高齢や病気などによって、 口から食事を 食べられなくなってしまった場合、
点滴で栄養を補給するか、 胃に直接 チューブで栄養剤を注入します。
後者には、
鼻から管を入れて 胃まで通す経鼻胃管チューブ (マーゲンチューブ) と、
腹部に穴を開けて 胃に管を通す 「胃瘻 (いろう)」 があります。
僕は約10~20年前、 ターミナルケアなどの勉強をしていました。
その当時、 胃ろうというと 僕は、
延命のための 最後の手段、 食事介助の手間を省くための 本人無視の手段という、
ネガティブなイメージを持っていました。
ところが、 この10年ほどの間に 技術は進歩し、
今は ペグ (PEG〔*注〕) と言って、
本人にとっても 非常に快適なものになってきたのです。
〔*注 : Percutaneous (経皮的)
Endoscopic (内視鏡的)
Gastrostomy (胃瘻造設術) の 頭文字をとったもの。〕
PEGを利用する人は、 02年に14万人、 09年には40万人と急増しています。
5~10年 生存している人が、 60%以上だといいます。
以前は 胃ろうの手術 (造設) は、 全身麻酔で開腹手術をしていました。
しかし現在は 局部麻酔による内視鏡手術で、 5~15分で終わるといいます。
本人の負担は 非常に軽くなり、 術後の管理も とても簡単で、
ピアスの穴を開ける感覚だと 言う人もいます。
経鼻胃管は、 常に鼻から 管を入れているため、 本人にとっては 大変不快で、
管を取ってしまう人も多く、 1~2週間ごとのチューブの交換も 苦しいものです。
それに対して PEGは、 そういう苦痛がありませんし、
4ヶ月~半年に1度の 交換で済みます。
清潔にしていれば 消毒やガーゼを 当てる必要もなく、
PEGを着けたまま 入浴もできますし、 外見も 普通の人と変わりません。
何より、 栄養が取れることによって 全身状態が改善し、 肌つやも良くなって、
QOL (クオリティー・オブ・ライフ = 生活の質,生命の質) が高まるのです。
PEGを着けたまま、 ゴルフができるようになった という人もいるそうです。
(次の記事に続く)
〔参考資料 : PEGドクターズネットワーク 他〕
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