もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

解散・衆参同日選挙について

2019年05月22日 | 社会・政治問題

 菅官房長官は記者からの質問に対して「内閣不信任案の提出は解散の大義になる」と述べて、衆参同日選挙の可能性に含みを持たせた。

 質問の背景には、野党が国会会期末に内閣不信任案を提出することが慣例となっていることが挙げられる。毎回のことであるが、重要法案の廃案を狙ったりポイントを稼ぐために、否決されることが明らかな内閣不信任案が出されることに飽き飽きしていたが、今回は些か趣が違うようである。モリ・カケやデータ改ざんの傷も癒え、安倍政権の支持率が高値安定しているとともに、参院選においてさえ野党共闘が頓挫しそうな現状から、与党内からは衆院を解散して衆参同日選挙を望む声が聴かれたが、我田引水的な解散は政権与党横暴の誹りを免れないために指導部は解散には口をつぐんでいた。しかしながら、慣例的な内閣不信任案を提出した場合にも内閣が”渡りに船”と解散することを明言したため、野党は安易な恒例行事すら打てなくなってしまった。更には、現在の政局では大向こうを唸らせるような不信任理由を見出せないとも思う。今、政府を糾弾して欲しいのは、韓国に対する弱腰であり、中国伸長の対応策であるが、中韓の薬籠中に取り込まれた感がある野党が不信任理由とすることは考えられない。憲法改正問題を理由とすることも考えられるが、野党自身が憲法審査会の議論はおろか開催にまで反対していることから強烈なブーメランを浴びることは確実であろうし、政府与党が改正案を明示していない状況では理由たり得ないと思う。

 内閣不信任案と内閣解散は、それぞれに”伝家の宝刀”と呼ばれるが、伝家の宝刀であればこその絶妙の抜刀タイミングと鋭い切れ味が要求される。今回の官房長官談話を契機として、会期末に内閣不信任案を提出するような慣例は終わりにして欲しいものである。