もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ファーウェイ新端末の発売延期に思う

2019年05月23日 | 中国

 auやソフトバンクなどの国内携帯電話会社が、ファーウェイ新型スマホの販売や受付を停止・延期すると発表した。

 理由はアメリカの禁輸措置で新スマホ搭載の基本ソフト「アンドロイド」や関連アプリが使用できない可能性が浮上したためである。アンドロイドを開発したGoogle社は、既に販売された端末に搭載されているソフトに対するサービスは継続するとしているがアップデートやセキュリー対策が打ち切りになる可能性は排除できないと考える。ファーウェイ社はアメリカからの輸入規制措置によって既に滞りを見せているチップ等の電子部品について「国内生産で対処できる」と強気を示しているが、基本ソフトが使用できなければ携帯端末は軽金属の塊に等しく大きな打撃となることは否めない。基本ソフトは何年も掛けて改善されて来たために多くの特許で守られており、それらの特許に抵触しない基本ソフトを新たに開発することは不可能に近いとともに、使用法についてもユーザーに定着しているために、ファーウェイ製品から他社製品に乗り換えるユーザーが急増するのは確実であろう。ファーウェイ(中国政府)は中国国内に対しては、国際特許を無視して海賊版アンドロイドを使用することだろうが、他の国において販売することは不可能である。これまで中国は、中国で活動する海外企業に対して中国企業(中国政府)に技術移転を強要して技術力を蓄え・高めて、中国製造2025に結実させると暗に公言してきたが、今回のアンドロイドの提供中止は同計画にも少なからぬ影響を与えるのではないだろうか。米中の関税協議の土壇場で中国が技術移転強要に代表される知的財産保護を蹴った背景には、今回のgoogle社の決定を事前に察知して知的財産保護で一歩譲っても同様な事象は避けられないので従来の方針に戻ったのかもしれないと考える。

 アメリカは、中国製のドローンが飛行データを無断で製造元に送信する機能を持っており、中国政府と情報が共有されているとも警告した。ドローンは近い将来物流端末での利用拡大が見込まれているが、アメリカの主張するような飛行データを中国に送信できる機能は、中国がドローンの飛行を変更させたり無力化することをも併せ持つと考えるのが当然で、物流テロが警戒される。日本でもドローンに対して航空法改正を始めとする各種規制が見直されているが、メディアが取材用ドローンについて規制の適用除外を求める等、ドローンに起因するテロに対する危機感は薄いようである。中国政府と中国企業の主張には眉に唾する必要があるのでないだろうか。