もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

オーストラリア総選挙結果に思う

2019年05月20日 | 社会・政治問題

 オーストラリアの総選挙で与党の自由党が過半数を制し、中国とは一定の距離を保つ政策が継続されることとなった。

 選挙戦当初は、自由党内の政争・混乱から野党である労働党への政権交代も取りざたされていたが、労働党敗北の原因は同党議員が在豪中国人富豪から多額の政治献金を受けて中国擁護の活動をしていたことが公になったことが大きいのではないかと考える。オーストラリアでは中国系国民は全人口の6%弱を占めており、彼等のネットワークを利用した中国政府の活動は活発で、政財界はもとより教育現場においても豪州全土41大学のうち14校に孔子学院が設立されている。オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国であるにも拘らず、有権者が与党の反中国政策を選択したのは、対中関係の停滞による経済の減速よりも自国文化の中国化を懸念した結果ではないだろうか。現在、中国の一帯一路回廊下にある東アジア各国、中東のイラン・イラクや欧州のハンガリー、イタリアとアメリカ封じ込めの環太平洋諸国(オーストラリア、カナダ、メキシコ)の政局は、いずれも米中選択の如何を軸に動いているように感じられる。おひざ元のアメリカ大統領候補の指名選挙戦でも、対中軟化の旗振り役を務めた民主党オバマ政権の副大統領であったハイデン氏が復権しそうな形勢と伝えられる等、アメリカ大統領選ですら対中国が争点とされている。オーストラリアの識者からは「現在オーストラリアで顕在化している中国の活動は、日本でも確実に進行している」とかねがね警告されている。中国政治の根幹は、改革解放を唱えて中国路線の基を築いた鄧小平氏の口癖「黒い猫でも白い猫でも構わない。ネズミを捕る猫が良い猫」に尽きる思いがする。漢民族のために利用できるものは国際社会からの糾弾に慮ることなく利用する手法は中国のお家芸であり、チベット、内モンゴル、香港で成果を挙げ、現在は魔手をさらに広げようとしている。

 オーストラリア識者の警鐘が真実であれば、日本の政治家にも中国マネーの余慶を受けて活動している鳩山由紀夫氏のような隠れ信者がいるかもしれない。中国経済圏への参加を望む連合を始めとする諸団体も中国の使嗾を受けての活動かとも疑えるし、観光や居住に適さない地方都市の水源地帯や原発・自衛隊基地周辺の土地取得を容認・看過する行政も疑惑の対象である。なにより、中国の国家戦略を政治の基本と綱領に謳う共産党の資金源と活動に対しては、もっと監視が注がれても良いのではと思うものである。