憲法審査会が立憲民主党の反対で開催されないことから、今国会における「国民投票法改正案」の成立が困難になったことが報じられた。
今回は、憲法審査会についておさらいすることにした。なお、参院のHPが極めて不適切(見難い)であることから、主として衆院について勉強した。憲法審査会設立の経緯は、平成12(2000)年1月に衆参両院に憲法調査会が設置されたことに始まっている。その後、平成17(2005)年9月に国民投票法制に係る議案の審査・起草権限を有する「日本国憲法に関する調査特別委員会(憲法調査特別委員会)が衆議院に設置。平成19(2007)年1月には参議院にも憲法調査特別委員会が設置され、同年5月「日本国憲法の改正手続に関する法律」が公布され8月には衆参両院に憲法審査会が設置された。憲法審査会の活動は国会法及び衆議院憲法審査会規程によって「憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するものとする」とされ、委員は50名で、各会派への委員配分は議席数によるとされている。しかしながら、審査会は平成23(2011)年までは開催されることもなく、それ以後も幹事会が散発的に開催されるのみで、実質的な憲法論議には至っていないのが現状である。今回のテーマである「国民投票法」は、平成19(2007)年5月に「憲法96条に定める改憲手順の詳細を定める」もので、《憲法改正は,衆議院 100人以上,参議院 50人以上の議員の賛成で原案発議,両院の本会議で3分の2以上の賛成で可決した場合に国会が国民に憲法改正の発議をし,発議の日から 60~180日に行なわれる国民投票で有効投票の過半数の賛成を得て承認される。》ことを骨子としている。今回の改正の焦点は「賛否を広報するCMの在り方」が争点とされているが、「2020年に新憲法を制定するために、憲法改正を参院選の争点とする」とした首相談話に立憲民主党(枝野幸男代表)が強硬に反対しているのが現状であろうと考える。
通常、法案は委員会で審議され、過半数の賛成を得た場合に本会議に上程されるものと思っていたので、「国民投票法改正案」が与党優位の憲法審査会で可決できないのを不審に思っていたが、憲法審査会の規定では委員の過半数で議決すると明記されているにも拘らず、全会一致という慣習があるらしいことを知った。下世話にも「3人寄れば派閥が生まれる」というように、50人の大所帯で全会一致の結論など得られるわけがない。憲法審査会にあって、まずは多数決という民主主義の鉄則にもとる慣例を破ることから始めて、憲法論議を進めてもらいたいものである。