もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

台湾総統選挙に国民投票法を考える

2020年01月12日 | 野党

 台湾総統選挙で、現職で民進党の蔡英文総統が再選され今後4年間台湾を率いることとなった。

 総統選挙は、台湾独立派に近い民進党と1国2制度容認派に近い国民党の一騎打ちとなったが、香港の反中デモの進展・影響を受けて両党ともに直截的に独立や1国2制度に言及することなく、投開票を迎えたと認識している。しかしながらが、蔡英文氏は昨年の当初までは中国に配慮した姿勢であったものが、統一地方選の敗北や習近平氏の台湾武力統一発言を受けて旗幟を鮮明にしたものであり、国民党が主張する「決められない・ぶれる政治家」という評価も単なるネガティブキャンペーン以上の真実を持っているのかも知れない。ともあれ、アメリカの台湾擁護の姿勢もあって、4年間は台湾海峡で武力衝突が起きる可能性は低くなったものと思っている。また、総統選挙と同時に行われた立法院の選挙でも民進党が改選前に比べて議席数を減らしたものの過半数を制したことから、台湾の政治情勢は当面安泰と観ている。一方、各選挙に対して中国が露骨な干渉を行ったことも報道されている。選挙期間中の台湾の電脳空間は中国に乗っ取られたという意見もみられるほど、民進党や民進党候補者に対する攻撃・中傷は熾烈であったらしく、公式アカウントの乗っ取り、HPの改ざん、発信IPの秘匿、金太郎飴的表現等、高い技術を持った大組織で無ければ不可能であり、工作者は中国軍であるとされている。このため蔡政権は「反浸透法案」の成立を目指し、政治家に対する中国からの資金援助やロビー活動を禁止するとともに選挙干渉を予防し得る法整備を目指さざるえなくなった。

 日本では憲法改正の前段階とも目される「国民投票法改正案」が野党の反対で廃案に追い込まれた。立民の枝野代表は、国民投票法の改正よりも政党の資金量に応じてCMの量に偏りが生じる」ことを防ぐための政党CM規制を先に議論すべきとしているが、台湾選挙に対する中国の干渉、アメリカ大統領選に対するロシアの干渉、イギリスのEU離脱に果たした国外勢力の干渉等を考えれば、政党の公式CM量を規制することよりも、外国の影響を防止する法整備の方が緊急・重大であると思う。現状で憲法改正の国民投票が行われたケースを考えれば、資金量をバックとした自民党のCMが立民を圧倒するかもしれないが、改憲に反対する中国・韓国からの電脳攻撃は凄まじいものと考えられる。枝野氏は、CMの量を均等にすれば、外国からの働きかけによって国民投票結果を有利に運べると考えているのではなかろうかと邪推するところである。