もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

辻元清美議員の年女決意を読んで

2020年01月25日 | 野党

 辻元清美立民幹事長代行の年女としての決意インタビューを読んだ。

 氏は、当面の政治活動目標として、「ジェンダー平等」「防災庁と即応部隊を新設して災害対応体制の刷新」「公文書管理庁を新設して公文書管理の厳格化」の3点を挙げておられる。いずれも成程と思われる項目であるが、特に災害対応体制の刷新について興味を持った。限られた紙面であるので構想の詳細は語られていないが、なかなかに実現困難なものではないだろうかというのが実感である。氏は、「世界各国で起こる災害救助に行けるように新組織を立ち上げ、災害救助船も備えたい」と続けており、いかにも「ピースボート」設立者に相応しいグローバルな視点に立った展望かと思う反面、効率的な小さな政府が求められている現状に逆行するかのような庁の新設や専用艦船の保有と派遣部隊の運用経費の確保に目算はあるのだろうかと危惧するところである。真に人道上の措置で政治的には無色の行動と表明しても、国が他国に行う災害救助や復旧援助は外交の一翼若しくはその延長上にあると観るのが国際常識であることを考えれば、被災国が受け入れを拒否するケースもあるだろう。被災国の速やかな同意が得られたとしても、支援機材の積み込みや被災地までの進出所要時間を考えれば、現地到着までには最低でも10日間程度は必要であることから、艦船による緊急対処の有効性は疑問である。また被災地が海岸であれば港湾施設が使用できないこと、内陸部であれば現地までの輸送手段が必要となることを考えれば、有効性はさらに低下するものと思える。また、これらの諸条件が揃っている国や地域に対する支援機会に国内での救援活動を加えても、出動は年間1・2回であろうことを思えば、費用対効果からも疑問符を付けざるを得ない。それ故、日本を含めて諸外国も、大規模災害に対しては人員・輸送・警備・通信等の殆どの機能に自己完結能力を持つ軍隊を使用し、災害対策に特化した組織を保有しないのではないだろうか。防災庁の新設については、防衛省・警察庁・海上保安庁・消防庁と分かれている指揮系統をスリムにしスピードアップを図ることには有効であるが、実働部隊を持つことには現状に対して屋上屋を重ねる結果が目に見えるように感じる。

提起された政策・方針に対しては、その適合性を優先しつつ受容性・可能性をも考慮すべきであるが、自分としては氏の提案は可能性はあるものの、適合性や受容性は著しく劣るものとせざるを得ない。提案は立民としての主張ではなく、個人的な目標としているので制度設計まで踏み込んだものでは無かろうと思うが、市井の愚人でも多くの疑問点が湧く提言であるように感じられた。