もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

カシミールサファイヤを知る

2020年01月08日 | 社会・政治問題

 昨日の「お宝鑑定団」でカシミールサファイヤの存在を知った。

 番組内で宝飾品鑑定士が、カシミールサファイヤはダイヤモンドを超える価値があると述べていたので調べてみた。1881(明治14)年カシミール地方のインドとパキスタン国境付近にあるバッダール渓谷で大規模な地滑りが発生し、崩れた地層から高品質のサファイヤ発見され、今に至るまで「カシミールサファイア」と呼ばれて市場で珍重されているらしい。地滑り現場には1883年にカシミールのマハラジャが軍隊を派遣して村人を締め出し鉱山を運営・採掘に当たったが、1887年までの4年間で最上質の大型結晶の大半が採取され資源は枯渇したとされている。その後、近傍でもサファイヤの鉱脈が発見されたものの価値の高いものでは無かったために、4年間に掘り出された高品質のサファイヤが、その美しさと再び採れないという希少性から宝飾の世界では「カシミールサファイヤ」として現在でも高い価値を保ち続けているそうである。自分は、一見不毛の地と思われるカシミール帰属に関する印・中・パの確執は、宗教上の対立と国防上の地勢的な理由と考えていたが、地下資源という側面もあることを初めて知った。明治初年に掘り尽くしたとされる鉱脈についても、最新技術を駆使した探鉱と採掘によっては新たな鉱脈を発見できる可能性が有るのかも知れない。かって携わった艦艇機関の運用には、艦のおかれた状態を勘案して機関の運転継続の可否を即断する必要があったために、培われた拙速(直感的な判断力)は自分の長所と思っていたが、今回の「カシミールサファイア」に見られるように、一般社会では表に現れた事実以外にも大きなファクターが存在することから、即断は短所ではないだろうかと今更ながら考え込んでいる。

 昨日のブログで、”「事実を見極めて」が手遅れを招くことも多いので、政府要人や企業トップも拙速を可能とする直観力や判断力をもう少し磨け”と書いた手前では面映ゆいことであるが、即断・即決と熟慮の両方が等しく要求されるのが正解かと、些かの反省と自重を感じている。今夕にはゴーン被告が記者会見するそうであるが、”引かれ者の小唄”とするのではなく、虚心に耳を傾けなければならないのかも知れない。