もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

メーガン妃と欧州の人種差別に思う

2020年01月20日 | 社会・政治問題

 ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱が決定したことが報じられた。

 離脱の条件は、公費の受給辞退と王族としての敬称を返納することであるらしいが、個人としてのサセックス公爵という資格は引き続き保有するものと観られる。ヘンリー王子夫妻が王室からの離脱を決意した背景はいろいろと取り沙汰されているが、最も大きな要因は、メーガン妃がイギリス王室に馴染めなかった・溶け込めなかったことではないだろうかと勝手に推測している。マスコミの過熱取材が最大の要因とする報道もあるが、ハリウッドでの成功を目指していたメーガン妃にとってパパラッチの襲来は、むしろ自己顕示欲が満たされるもので期待していた展開ではないだろうか。アメリカには、爵位制度(公に若しくは国民のコンセンサスを得ている権威の世襲と世界)が存在しないので、そこにおける習慣は結婚前の予備知識とはかけ離れたものであったことは想像に難くない。日本の上皇后陛下が皇太子妃として皇室入りされたのは、爵位制度が廃止され四民平等とされて30数年が経過していたものの、皇族・華族と士族・平民の区別意識は想像を超えるものであったものと推測する。上皇后陛下の生い立ちと学歴は平民の自分とは比べ物にならないほど上流階級と呼べる高位であったが、それほどの女性でも華族以上の閉鎖的社会から受け入れられるためには国民の支持と長い時間と努力が必要であったと漏れ聞いている。メーガン妃の生い立ちは、実の父親が結婚式にも参列できなかったように、決して恵まれたものでは無く上流社会とは無縁であったものと思うし、アフリカ系という致命的な要因を持っている。公民権運動が激しかった時代にあっても、黒人の知識階層や富裕層は、人種差別意識が顕在しない国、特にヨーロッパには逃げ出さなかった。人種差別の激しいアメリカ国内に留まる理由を聞かれた黒人の知識人は「成程アメリカは人種で差別する。しかしながらヨーロッパでは人種で区別するから」と答えている。いうまでもなく、差別は人としての上下を主張するものであるが努力によっては上下を逆転できる可能性を残しているのに対し、区別は人とは別の存在とするもので努力しても決して越えられるものでは無いことを示している。現在、移民に対して比較的寛容であったヨーロッパが一転して彼等に厳しい目を向けている背景には、区別していたはずの異物が社会で侮れない人(ヒト)に成長していることへの恐怖の表れとも観ることもできる。メーガン妃は決して触れることは無いだろうが、イギリス爵位社会における人種の蔑視・白眼視は、アメリカの比ではないだろうと推測するものである。

 婚姻の継続に対する認識や民族性の違いもあるだろうが、上皇后陛下が逃げなかった、留まって周囲を変化されたことに改めて敬服するとともに、アメリカ人の堪え性の無さを窺い知った出来事である。しかしながら、女房に引きずられる、振り回されるのは洋の東西を問わないようで、ヘンリー王子には深い同情を禁じ得ない。