ウクライナ事変は、多くの国に国防・軍事・通称に関する政策の変更を促しているようで、これまでNATO加盟に慎重であったフィンランドとスウェーデンが、相次いでNATOへの加盟を検討すると表明した。
スウェーデンは国連中心・非軍事同盟中立・福祉重視を貫いているとして、日本では「スウェーデンを見習え」との評価が高いが、第二次世界大戦でドイツ・ソ連の双方から攻撃された教訓から、国防意識は極めて高いとされている。そのため、一時は核開発を目指したことにも示されるように独自の兵器開発を進めており、特に戦闘機に関しては日本の次期戦闘機(FX)選定候補に挙げられる性能を持ち、通常型潜水艦でも領海侵犯したソ連潜水艦を釘付けにした等、高く評価されている。海上自衛隊でも対潜前投兵器として4次防で米国製のASROCが装備される以前はスウェーデン製のボフォースランチャーが装備されていた。
また、非加盟ながらNATOとのパートナーシップ協定に基づいて1995年にはNATOの指揮下でボスニアに部隊を派遣、2017年にはフィンランドとともにNATOや国際連合に協力する合同派遣軍への参加を決めており、北欧・EU諸国が攻撃された場合には「受動的な態度をとらない」とも宣言している。記憶に新しいところでは、2010年に廃止した徴兵制度を2018年に男女対象の徴兵制を復活させている。
東部でロシアと国境を接するフィンランドは歴史的にカレリア地方の帰属をめぐってロシアと確執があるが、強国に対峙する小国の常として過度にロシア(ソ連)を刺激しない「フィンランド外交」に徹していたが、ロシアの脅威が高まったこともありニーニスト大統領が本年1月に《「NATOへの加盟申請を含む「あらゆる選択の自由を留保する」》と演説している。
この他にも、
「紛争地域には武器を渡さない」としてウクライナにも対戦車砲などぼ防御兵器供与に限定していたドイツで、連立第2党の緑の党が攻撃兵器までの供与拡大を主張する一方で、「ノルドストリーム2」構築に前のめりであったメルケル親ロ政策に抗議するかのようにウクライナが独大統領の来訪を拒絶したことも報じられている。
フランス大統領選では圧倒的に有利とされていたマクロン大統領が、EUの難民・移民政策に不満を持ちNATO脱退すら視野に入れたルペン氏に決選投票にまで肉薄され、再選されたとしても何等かの路線変更を余儀なくされるのは確実で、ルペン氏勝利ともなればプーチンの目指す「NATO・EUの弱体化」が前進し、一時的にはプーチン勝利と見られるかもしれないように思える。