もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

タケノコ 考

2022年04月21日 | 歴史

 新筍が出回って、エンゲル係数の高い我が家でも食べられる季節になった。

 現在スーパーで売られている筍は、癖のない「孟宗竹(モウソウチク)であると思うが、子供の頃に食べた「ちょっと苦みのある筍」の味を懐かしく思い出したものの、在所での呼び名は覚えているが果たして全国的に通用するのかと思い、竹(筍)について調べてみた。
 以下は、竹専門店の「竹虎」さんのHPからの抜き書きであるが、
・孟宗竹(モウソウチク):中国原産で、雪の寒い日に年老いた母親のために筍を掘りにいった孟宗という人物にちなんで付けられた竹で、江戸時代に日本に輸入され京都または鹿児島に植えられたものが全国に広まった。高さは10~20m、直径は8~20cm。
・ 真竹・苦竹(マダケ):竹製品、竹細工などの竹材料として最適で一番使用されている。筍には少し苦みがある事から苦竹(まだけ)と書く事もある。高さは10~20m、直径5~15cm。
・ 淡竹(ハチク):大きさは真竹とほぼ同じで稈全体が粉をふいているように白味を帯びて見える事から、ハチクの名前は白竹からではないかとも言われる。高さ10~15m、直径は3~10cm
・ 布袋竹(ホテイチク):真竹の変種で節間が布袋様のお腹を連祖させる事から布袋竹と呼ばれているが、呉竹(クレタケ)、五三竹(ゴサンチク)とも呼ばれる。
  しなりがあり、折れにくいという特徴があるので釣竿等に多用される。高さは3~5m、直径3~4cm
・ 黒竹(クロタケ):竹林に生えている時から渋い黒色をしているところから黒竹と呼ばれ、植え込み等で目にする。高さは3~5m、直径2~3cm。
とされていた。

 子供の頃に食べた懐かしの筍の呼び名は、ハチクとゴサンチクであったが、ハチクは「真竹」と「淡竹」を同一視したもので、ゴサンチクは「布袋竹」であることが分かった。竹虎さんの説明にはなかったが、筍の苦みの低い方から順位を付けると、孟宗竹<真竹・淡竹<布袋竹で、自分としては布袋竹の苦みがが一番好きであった。
 布袋竹は集落に1個所にしか生えてなく、大人の世界では持ち主に対する遠慮があったのだろうが、子供が採ることにはお咎めもなかった。また、根本の節くれによるゴツゴツ感は釣り竿としては最高であったが、稈(幹?)の節々も折れ曲がっているのが難点で、焚火で油を抜く傍ら真直ぐに伸ばすのに四苦八苦した。今では子供が焚火を作ることなど思いも寄らないであろうが、おおらかな世相であった。油抜きと矯正は失敗することが多く、無断で頂戴した10数本のゴサンチクで成功するのは1・2本であったように思っているが、1年でダメにするので竿作りは夏休みの恒例行事であった。

 故郷を離れて数十年。ゴサンチクの苦みも朧気となったが、布袋竹の筍は通販などで手に入るのだろうか。