もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

東京都市大学教授の覚せい剤事件

2019年06月25日 | 芸能

 東京都市大学の大野和男教授が、覚醒剤所持の現行犯で逮捕された。

 不思議に思うのは、同教授が昨年4月の着任直後にも覚醒剤所持で実刑判決を受け、執行猶予中の再犯と報じられていることである。記事では、昨年の事件後に教授が容疑者は大学側に一切報告していなかったため大学側も事実を知ることができず講義やゼミを続けさせていたとされている。今回は警視庁から逮捕の連絡があり、本人からも昨年の事件で執行猶予中だったことが明かされた。大学は、「昨年4月に(犯罪と有罪が)判明していれば懲戒解雇などの処分は免れなかった」としているが、昨年も今回と同様の身元照会等の連絡はあったであろうことから、どこかで見過されたものであろう。大学教授といえば、学識は豊かで、教育者に相応しい高潔な人格の持ち主と思っていたが、現実は一般社会と同様の玉石混交の世界であるらしく、本来なら薬物に手を染めた、逮捕された、実刑判決受けた、どこかの時点で自発的に身を引かなければならないことと思う。さらには、メディアの扱いにも疑問を持たざるを得ない。ピエール滝氏の薬物犯罪では、新聞は2~3段抜きの大見出しで、ワイドショーは連日・連夜にわたり報道したが、大野教授の犯罪については、新聞は読み飛ばされる程度のベタ記事、テレビでは見ることもなっかった。知名度においてピエール滝氏は大野教授とは比べられないものであると思うが、職業に求められる倫理観において教授は、俳優・ミュージシャとは比較できない高みにあると思う。芸術家・芸能人・スポーツ選手等の特異な分野に生きる人間が、自分の能力を極限まで高め、時には能力以上の感性を作品や記録に投影させようとして薬物の誘惑に負けることはまだ理解できるが、学究者や教育者が薬物の誘惑に負けることはあってはならないことで、社会的責任と影響は後者の方が遥かに大きいと思う。

 例によって都市大は「事実関係が明らかになった場合、厳正に対処する」と紋切型コメントを出しているが、知識階級の堕落が国威を損う端緒となる例は歴史上にも数多く存在する。正邪はともかく、知識・学説の相克・論争が科学の発展には不可欠であると考えるが、それは正常な判断力のもとに行われるべきで、薬物の助けを借りたり、権力を借りる魔女狩り・異端裁判であってはならない。教授の例を見る限り、刑法犯になった時点、刑法犯の疑いをかけられた時点で、大学を追われて当然と思うが。推定無罪の原則を守る本ブログであるが、教育者については埒外と考えるところである。


イラン攻撃30分前

2019年06月23日 | アメリカ

 トランプ大統領が、イラン攻撃の10分前に攻撃を中止したと述べた。

 攻撃は30分前に決定したが、10分前の攻撃機発進直前に中止したというもので、中止の理由は「攻撃によるイラン側予想被害(150人)と撃墜された無人機損失が釣り合わない」と云うトランプ流ビジネスマン的な表現で、これまでアメリカ(他の国も同じであるが)が主用していた「国益と自由を守る」ためでないことが注目される。勿論、1国の武力行使がこのような安易な理由で決定される筈もなく、真意はイランに「航空機や船舶に対する攻撃で人的被害が生じた場合は、即座に攻撃する。部隊は30分以内で攻撃に移れる即応態勢にある」というメッセージを送ったものと思う。また、数日前にトランプ大統領が「無人機の撃墜は軍(又は革命防衛隊)将官の独断か」とも述べていることから、イランに対して政治が武力をコントロールすることを求めているものとも考えられる。本日は、イランの政体と軍事組織について勉強した。1979年のイラン革命後、イランは「法学者による統治」を国是として、国家元首に相当する最高指導者はシーア派の最高解釈者(法学者・終身制)が務め、神の意思に従って国家を指導している。イランには大統領制も敷かれているが、大統領は国家元首ではなく行政府の長であり他国における首相と同等の地位を与えられているに過ぎない。軍事組織としては、大統領・国防省が指揮する正規軍の他に、革命防衛隊省の統制下にある「革命防衛隊」がある革命防衛隊省も形式的には大統領の指揮監督下に置かれているが、独自の評議会によって部隊運用がなされていることから、大統領のコントロールが及ばない組織となっている。革命防衛隊は、旧帝政への忠誠心が未だ残っているとの疑念を持たれた正規軍への対抗として、ホメイニ師の命令で1979年に創設され、当初は国民の道徳監視を行ってホメイニ師を援助(秘密警察的活動)とされていたが、現在では正規軍とは別に独自の陸海空軍、情報部、特殊部隊、弾道ミサイル部隊等を持ち、戦時には最大百万人を動員できる民兵部隊も管轄し、さらには多数の系列企業(建設・不動産・石油事業)をも所有している。このようにイランは、 三権はおろか軍権まで最高解釈者(法学者)であるハメネイ師に集中しており、彼の意思・見解で開戦まで決定できる国である。

 イランの政体と軍事組織を整理してホルムズ海峡を眺めると、同海峡の安全と日本の石油事情が終身独裁者ハメネイ師の手中にあることが理解できた。今回、安倍首相がハメネイ師と会見したが、師の嫌米・自立(イスラム自律)の意思は固く、米国との対話すら頑なに拒否する姿勢が再確認されただけである。イランの他にも、主体思想で極東の安全を弄ぶ金正恩氏(師)、中華思想の野望を隠さない習近平氏(師)がおり、思想・宗教の終身指導者ほど厄介なものは無いと思わざるえ終えない。

 


対中外交で久々の快挙?

2019年06月22日 | 中国

 中国の習近平国家主席の来日(G20)に合わせて訪日を計画している亡命ウイグル人活動家に、政府がビザを発給したことが報じられた。

 ビザが発給されたのはウイグル民族指導者ラビア・カーディル氏(米国亡命中)で、「自由インド太平洋連盟」会長とされている。自由インド太平洋連盟は昨年10月に発足し、本部は東京に置かれていると思っていたので、改めて同連盟を勉強した。連盟のHPでは、一般社団法人として東京都文京区に登録されており、会長はカーディル氏、構成員の出自はチベット、ウイグル、南モンゴル、インド、台湾等とされており、日本人も参加し事務局長をも務めていることを知った。活動内容や幹部以外の構成員数を知ることはできなかったが、各種団体と協調してG20開催に合わせて大阪で抗議集会を行うことが告知されていた。カーディル氏へのビザ発給については、中国大使館から発給反対の働きかけがあったとされているが、日本はG20議長国として人権保護の姿勢を示すためにも発給を決定したとされている。この決定は、対中外交としては久々の快挙であると「事なかれ外務省」にエールを送るものであるが、G20という虎の威がなければ果たしてどうなっていたのだろうか。連盟会長であるカーディル氏は、安倍首相の提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」について、「中国の拡張主義に対する明確な答えだ」と高く評価していると伝えられているが、会長でありながら亡命先である米国在住のまま活動拠点の東京に居を移していないことの事情は不明であり、滞在ビザの発給を政府が躊躇している可能性も捨てきれないのだが。現在中国は、人権や経済で西側の白眼視に耐えている状態と思う。人権では100万人規模のウイグル人を教化施設(政治犯収容所)送りしている疑惑、天安門事件30年で再燃した反体制派弾圧、犯罪人引渡条例で引き起こされた香港の大規模デモ等々であり、経済的には、借金漬による膨張政策が露わになったことで反中とまではいかぬものの中国と距離を置こうとする周辺国の出現で一帯一路構想は鈍化し、対米関税戦争では局面打開のためにアメリカの保護主義を攻撃しようにもブーメランになることは必至で有効な反撃ができない状態である。

 四面楚歌にも等しい中国であるが、国際的に唯一存在感と発言力を維持できるのが北朝鮮カードで、訪朝を終えた習近平主席が「北体制を断固支持する」と表明し国連決議による経済制裁破りも辞さない姿勢を見せている。また、中国には、中国人嫌いも、新植民地主義反発も、人権問題も、小さな実績を積み重ねつつ時間をかけて野望を達成すれば良しとする「百年河清を俟つ外交」の伝統があるので、今後起こるであろう中国の媚笑に騙されないことが肝心と思う。外務省も褌の紐を一層引き締めるよう望むところである。


選挙公約という微笑作戦

2019年06月21日 | 野党

 参院選に向けた各政党の選挙公約が出され始めた。

 日常の国会活動や政治活動からは程遠いものも挿まれた選挙公約。それはそれで面白く眺めているが、参院選ということもあるが、野党第1党である立憲民主党ですら政権公約と呼ばないことから、選挙限定の微笑作戦に違いない。政党の公約は、党の綱領や規約に盛り込まれているもので十分だと思うのだが、現状の問題に的を絞ったものの方が有権者の共感を得られ易いということがあるのだろう。それだからこそ、選対本部長の巧拙が問われ、選挙に強い小沢一郎氏などの活躍の場が生まれるのだろう。一般的に憲法・外交・防衛は得票に結び付かないとされているので、各野党の公約は景気対策や年金問題等の生着密着型の公約に偏重してしまう。立憲民主党も経済政策が中心で、内需拡大のために最低賃金(全国一律/5年以内)を時給1300円に引き上げ、福祉関係従事者の給与引き上げ、正規雇用者の拡大を柱とすることになるらしい。流石に財源に顧慮することなく子供手当でを提唱した民主党政権の失敗に懲りて、必要な財源は法人税や所得税の累進課税強化によるとして金持ち企業・富裕層の富が貧乏人に流れるという構図を掲げているが、政策が実現した場合に当然起こるであろう人件費高騰による生産・物流コストの上昇や企業の収益性の低下による雇用機会の減少、所謂「皆が貧しくなるスパイラル」からは目を背けているように感じられる。幸福実現党は、憲法9条改正、自衛力強化、核武装推進、原発維持を掲げたものの、消費税率5%(将来的には廃止)を掲げており、意気や良しとするものの中途半端の感を否めない。維新と社民党の選挙公約は未だ伝えられていないが、社民党の選挙公約については注目している。公職選挙法では政党要件を「議員数5名以上もしくは国政選挙での得票率2%以上」と」規定している。社民党の国会議員は現在4名(衆院2名、参院2名)であるものの2016年参院選で得票率2.74%を獲得していることから2022年までは政党としての優遇措置を得ているが、又市党首の立候補取り止めにより3名以上の当選は不可能と思うので、2022年以降も政党としての発言力を維持するためには得票率2%確保は至上命題である。我々世代には社会党連立の芦田・村山・鳩山・菅内閣の悪政・失政がトラウマになっているとともに、硬直した護憲・日米安保破棄・天皇制反対では新たな支持者を獲得することは不可能と思われるので、どのような選挙公約を掲げても党の退潮~消滅の道を辿ることは確実ではないだろうか。

 今後も、各政党から耳に心地よい選挙公約が垂れ流されることになるのだろうが、飴だけの政策など存在せず飴には付随するムチが隠されているという自覚のもとに、それを読み解かなければならない。党首討論で蒸し返された年金2000万円不足問題でも、責任追及に終始して制度設計に対する提言もなければ、法改正の提案もない。これでは、野党に政権を渡しても解決・改善の方策を持っているのかと思わざるを得ない。

 


警察官襲撃犯と松本人志氏に思う

2019年06月19日 | 芸能

 吹田市の警官襲撃・拳銃強奪犯人の実像が明らかとなりつつある。

 自分から見れば、犯人は世間並以上に恵まれた環境に育ち、高等教育も受けているので、なぜ彼がドロップアウトしたのか理解に苦しむものである。一部、暴力的な性向が伝えられているが、まァ若年者特有のツッパリ的行動の範囲内であるように思え、幻覚症状を周囲に漏らしていたことから、ある種の精神疾患に起因するものであったのかもしれない。先の川崎市の小学生襲撃事件でダウンタウンの松本人志氏が番組で、「精巧なシステムのプラントからでも、何万個かに1個は不良品が出るので、犯人のような存在と犯行はあり得る」と発言されたらしい。この発言に対しては、犯人(人間)を『不良品扱いする』との批判が、炎上と呼ぶほどではない程度には寄せられたらしいが、発言は真理を述べているものと思う。ヒトゲノムの解読がほぼ完了しいることから、暴力的性向や集団行動ができない性向の因子は解明されているのであろうが、現在は彼等も社会の中で生活しており、自分も彼等と同様なDNA構造であるかもしれない。SFの世界では、危険なDNAを持つ人間を監視したり排除するストーリーがあるが現実的には不可能で、そう考えれば、松本人志氏の発言のように、世の中には”不良品”が存在するとの諦観をもって生きていくしか方法はないのではないだろうか。前述のヒトゲノムの解読に加え、出生前診断を容認する気運が高まっていることから、将来、彼等と似たDNAを持つ胎児は忌避或いは排除の憂き目に合うことすら予想されるが、かって我々は優生保護法という制度で先天性疾患者に断種や避妊処置を強制したという過ちを犯した。出生前診断が新たな優生保護に結び付いてはならず、世間もそうなることは望まないだろうと思うので、松本人志氏の理論を受け入れざるを得ないのではないだろうか。

 最後に、犯人は元海上自衛官という肩書で報じられている。これまで「元自衛官」の呼称について複数回述べたが、犯人の海自在職期間はわずか半年であり、在職期間内に受けた教育が彼の行動と倫理観に決定的な影響を与えたとは考えられない。もしそうであるならば、6・3・3・4と受けた全ての教育を半年で覆し得る手法を自衛隊が持っていることになる。昨日のブログで書いたフランスの徴兵制復活には、社会生活不適合者の発見・教化の企ても隠されているのかも・・・。