横浜美術館(横浜市西区)で、障害のある人をはじめ、より多くの人たちに美術館を楽しんでもらうための事業「様々な人に開かれた美術館を目指して」が、スタートした。本年度は視覚障害者のための鑑賞プログラム作りがテーマで、文化庁の美術館・歴史博物館活動基盤整備支援事業として行われる。7月31日には、「見えない人」と「見える人」が一緒に展覧会を回り、課題などを考えるワークショップも開かれた。
ワークショップには、県ライトセンター(同市旭区)から紹介された30代から70代の視覚障害者6人と、10代から70代の市民36人が参加。6グループに分かれ、同美術館の収蔵品を展示した「コレクション展」を鑑賞した。
視力の全くない人、作品の説明文は読める人など、参加者の障害の程度はさまざま。「見える人」が絵画のモチーフや色を説明したり、彫刻の質感を表現しながら楽しそうに作品を見て回った。鑑賞後は、グループごとに「作品説明が読みにくい」「照明の反射でケース内の作品がよく見えない」など、気づいた点を発表。さらに、デジタル機器の活用、触れて鑑賞できる彫刻のレプリカ作成などが提案された。
「美術鑑賞から比較的遠い存在である視覚障害者を対象に始めることで、何か分かることがあるのではないか」。この事業を担当する同美術館の関淳一さんは、こう説明する。視覚障害者のニーズを考えることは、同時に、高齢者や日本語をあまり理解していない人などに対する”気づき”にもつながるのではないかと考えているという。
ワークショップに参加した視覚障害者からは「美術には縁が遠かったが、とても楽しく誘導してもらった」など、好意的な感想が多かった。また、一般参加者からは「視覚障害者と対話をすることで、作品を『見る』のではなく『味わう』ことができた」という発見の声もあった。関さんは「個人の経験や考え方によって、求めることはそれぞれ異なる。複合的な観点から考えていかなければならないと気づかされた」と話す。
同美術館では、今回の結果を活用した視覚障害者向けの鑑賞会を10月に実施。本年度末までにこの事業の報告書を作成する予定だ。
カナロコ(神奈川新聞)
ワークショップには、県ライトセンター(同市旭区)から紹介された30代から70代の視覚障害者6人と、10代から70代の市民36人が参加。6グループに分かれ、同美術館の収蔵品を展示した「コレクション展」を鑑賞した。
視力の全くない人、作品の説明文は読める人など、参加者の障害の程度はさまざま。「見える人」が絵画のモチーフや色を説明したり、彫刻の質感を表現しながら楽しそうに作品を見て回った。鑑賞後は、グループごとに「作品説明が読みにくい」「照明の反射でケース内の作品がよく見えない」など、気づいた点を発表。さらに、デジタル機器の活用、触れて鑑賞できる彫刻のレプリカ作成などが提案された。
「美術鑑賞から比較的遠い存在である視覚障害者を対象に始めることで、何か分かることがあるのではないか」。この事業を担当する同美術館の関淳一さんは、こう説明する。視覚障害者のニーズを考えることは、同時に、高齢者や日本語をあまり理解していない人などに対する”気づき”にもつながるのではないかと考えているという。
ワークショップに参加した視覚障害者からは「美術には縁が遠かったが、とても楽しく誘導してもらった」など、好意的な感想が多かった。また、一般参加者からは「視覚障害者と対話をすることで、作品を『見る』のではなく『味わう』ことができた」という発見の声もあった。関さんは「個人の経験や考え方によって、求めることはそれぞれ異なる。複合的な観点から考えていかなければならないと気づかされた」と話す。
同美術館では、今回の結果を活用した視覚障害者向けの鑑賞会を10月に実施。本年度末までにこの事業の報告書を作成する予定だ。
カナロコ(神奈川新聞)