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川勝平太知事の肝いりで始まった事業仕分けが、今年も9月4、5日に始まる。昨年の第1回仕分けについて、川勝知事は「成功した」と自画自賛するが、「不要」とされた事業が名前を変えて生き延びたケースもあり、劇的な成果はなかなか見えていない。(後藤遼太、馬場由美子)
◆「不要」でも延命
昨年は101事業約532億円を対象に行われ、12事業が「不要」とされたほか、大半が改善を要するとされた。その結果、今年度の当初予算編成で県は約31億円を削減したとしている。
「発行コストがかかる紙媒体の必要はない」を理由に、「不要」と仕分けられ、廃止された「県庁新聞」(約838万円)。予算ゼロとなった今年度からは、県職員専用のネットワークで配信中だ。
「編集委員」の県職員が通常業務の傍ら編集にあたる。「パソコン画面で長文を読んでくれるか」と心配する声もあるが、新スタイルは軌道に乗っているという。
しかし、「不要」に仕分けられた12事業のうち、実際に廃止されたのは県庁新聞だけ。茶業振興総合対策事業費助成(5800万円)など6事業は表向き廃止されたが、事業名を変えただけで新規事業として同規模の予算がついた。仕分け結果を事実上無視したことについて、県は「不要とされても、究極の行政目的が否定されたわけでない」と説明している。
◆「改善」の中身、様々
仕分け結果で最も多かったのが「要改善」で、対象事業の半数を超える53事業、約327億円に上った。しかし、実際に取り組まれた「改善」の中身は様々だ。
費用対効果が厳しく追及された県ソウル事務所運営事業費。通信費やおみやげ郵送費などを地道に切りつめ、予算額が4分の3以下になった。一方、医師確保対策は「重要な事業。むしろ拡充を」との声も上がり、かえって2億円以上増額された。
目立つのが現状維持だ。生活排水改善対策推進事業費助成は「市町の申請に合わせて助成するだけでは県の主体性がない」として「要改善」と判断されたが、同額の2億1千万円が計上された。県生活排水課は「そもそも市町が助成したものと同額を県が助成するシステム。主体性を出しようがない」として、事業内容も全く変えていないという。私立学校の経常費助成など、多くの助成事業で同様の結果になった。
◆「数字・効率」のものさしに不満
仕分け結果に、現場から「数字や効率だけで測らないで欲しい」と異論が出ているケースもある。
NPOなどの活動拠点となってきた県西部地域交流プラザパレット(浜松市)。市中心部のショッピングセンター内に、障害者マルチメディア情報センターや喫茶スペース、自習室などがそろう。
一等地とあって、年間家賃は約2800万円。「要改善」と仕分けられ、県は面積が3分の1以下の県浜松総合庁舎に移転する案を提示した。「近くに市のまちづくり推進センターがあり、役割分担が可能」という。
これに対し、利用者は「様々な人が気軽に出入りできる」と反論。視覚障害者を支援するNPO法人「六星ウイズ半田」の斯波千秋施設長は「仕切りだらけで狭い官庁では、団体のネットワーキングという機能は保てない」と移転に反対する。
利用者らは、現状維持を求める署名活動を始めており、29日には利用者連絡会が総意を採択する予定だ。
川勝平太知事の肝いりで始まった事業仕分けが、今年も9月4、5日に始まる。昨年の第1回仕分けについて、川勝知事は「成功した」と自画自賛するが、「不要」とされた事業が名前を変えて生き延びたケースもあり、劇的な成果はなかなか見えていない。(後藤遼太、馬場由美子)
◆「不要」でも延命
昨年は101事業約532億円を対象に行われ、12事業が「不要」とされたほか、大半が改善を要するとされた。その結果、今年度の当初予算編成で県は約31億円を削減したとしている。
「発行コストがかかる紙媒体の必要はない」を理由に、「不要」と仕分けられ、廃止された「県庁新聞」(約838万円)。予算ゼロとなった今年度からは、県職員専用のネットワークで配信中だ。
「編集委員」の県職員が通常業務の傍ら編集にあたる。「パソコン画面で長文を読んでくれるか」と心配する声もあるが、新スタイルは軌道に乗っているという。
しかし、「不要」に仕分けられた12事業のうち、実際に廃止されたのは県庁新聞だけ。茶業振興総合対策事業費助成(5800万円)など6事業は表向き廃止されたが、事業名を変えただけで新規事業として同規模の予算がついた。仕分け結果を事実上無視したことについて、県は「不要とされても、究極の行政目的が否定されたわけでない」と説明している。
◆「改善」の中身、様々
仕分け結果で最も多かったのが「要改善」で、対象事業の半数を超える53事業、約327億円に上った。しかし、実際に取り組まれた「改善」の中身は様々だ。
費用対効果が厳しく追及された県ソウル事務所運営事業費。通信費やおみやげ郵送費などを地道に切りつめ、予算額が4分の3以下になった。一方、医師確保対策は「重要な事業。むしろ拡充を」との声も上がり、かえって2億円以上増額された。
目立つのが現状維持だ。生活排水改善対策推進事業費助成は「市町の申請に合わせて助成するだけでは県の主体性がない」として「要改善」と判断されたが、同額の2億1千万円が計上された。県生活排水課は「そもそも市町が助成したものと同額を県が助成するシステム。主体性を出しようがない」として、事業内容も全く変えていないという。私立学校の経常費助成など、多くの助成事業で同様の結果になった。
◆「数字・効率」のものさしに不満
仕分け結果に、現場から「数字や効率だけで測らないで欲しい」と異論が出ているケースもある。
NPOなどの活動拠点となってきた県西部地域交流プラザパレット(浜松市)。市中心部のショッピングセンター内に、障害者マルチメディア情報センターや喫茶スペース、自習室などがそろう。
一等地とあって、年間家賃は約2800万円。「要改善」と仕分けられ、県は面積が3分の1以下の県浜松総合庁舎に移転する案を提示した。「近くに市のまちづくり推進センターがあり、役割分担が可能」という。
これに対し、利用者は「様々な人が気軽に出入りできる」と反論。視覚障害者を支援するNPO法人「六星ウイズ半田」の斯波千秋施設長は「仕切りだらけで狭い官庁では、団体のネットワーキングという機能は保てない」と移転に反対する。
利用者らは、現状維持を求める署名活動を始めており、29日には利用者連絡会が総意を採択する予定だ。