例えば、今の勤め先で定年まで勤め上げたとしても、その後の心配として残るのは「退職金」と「年金」の問題です。それらのお金こそ、老後に働けなくなった時の命綱。20代の方にとってまだまだ先の話とはいえ気になるところですね。自分の将来を理解するために、退職金や年金の仕組みを知ることからはじめてみましょう。
退職金は必ず出るもの?
退職金制度は労働基準法などで明確に決められたものではなく、原則として企業の自由です。就業規則に記載されていることが多いため、確認をしておく必要があります。
退職金には「一時金」と「年金(企業年金)」があります。一時金は退職時にまとめて一括で受け取る方法です。それに対し年金は退職後に定期的に支給される年金払いで受け取る方法となります。
会社によっては年金のみと定めていることもあります。一時金に比べ、年金方式の退職金は年金のように隔月いくらという形で指定口座に振り込まれますので、計画が立てやすいというメリットがあるものの、まとまった資金が必要となったときに不便という面も否定できません。
なお、退職金は「必ず出るもの」とはいいづらくなってきているのが現状です。厚生労働省の調査では、退職給付(一時金・年金)制度があるのは75.5%の企業です(※)。1,000人以上を雇用する大規模な企業で93.6%、一方で30~99人の中小企業では72.0%とその割合は減っていきます。
退職金の準備方法は「社内準備」が64.5%と最も高く、業績と退職者のバランスで見直しを検討している企業も少なくないようです。同調査では、「今後3年間で退職一時金制度の見直しをする」とした企業のうち、21.1%は「算定基礎額の算出方法の変更」を挙げています。
なお、自己都合退職の場合や勤続年数が少ない場合は、退職金が出ないケースもあります。20代のビジネスパーソンは、次の転職先が決まるまでの生活費として無計画にあてにせず、自社の就業規則をよく確認しておきましょう。
国民年金とは?
国民年金は、国民全員で支える仕組みであり、日本国内に在住する20~60歳までの全ての人が加入するもの。会社員として勤めている間はお給料からの天引きという形で払い込みをしています。給与明細に「厚生年金保険料」という項目しかなくても、国民年金の保険料も含まれています。
この国民年金は、ただ単に老後の生活を支えてくれるだけではありません。病気やけがによって障がい者と認定された時に支払われる「障害者年金」、被保険者が死亡した時に残された家族に支払われる「遺族年金」が含まれています。老後だけでなく、人生の一大事にも対応しているのが国民年金です。
会社員であるなら「国民年金+厚生年金」の二階建て
会社員として勤める間は、実は国民年金と厚生年金の二階建てで積み立てを行っています。この厚生年金は、会社と個人の両方で掛け金を拠出している年金のこと。お勤めをしている間は単純計算で二倍の備えをしていることになりますから、将来の不安が軽くなるという仕組みです。
一方、自営業者は国民年金の一階部分のみ。どうしても将来が気になる……という慎重派の方には、小規模企業共済などの制度に加入したり、会社勤めを続けることによって将来のリスクを減らすことが可能です。
企業によっては、二階建て以上に年金を掛けているところもある
先に「会社員は国民年金+厚生年金」の二階建てとご説明しましたが、会社によってはさらに年金額を増やすために、三階部分を上乗せしている企業があります。この三階部分は、厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金(401k)の3種類があり、一般的には総称して「企業年金」と呼ばれています。企業によりどの種類の年金を採用しているかが異なるほか、金額の拠出の仕方も、会社が全額負担の場合や個人が出している場合、半々の場合と企業によりさまざまです。自分の会社がどの制度を採用しているかは人事・総務に聞いてみるといいでしょう。
最近よく聞く「401k」って何?
三階部分を補強する方法として最近多くなっているのが「確定拠出年金」(通称401k)と呼ばれる制度。この401kとは、その名の通り、拠出額(掛金)を確定し、運営管理機関が提示する金融商品の中から運用リスクを理解した上で、個人責任により資産を増やすことをめざすものです。この中でも、企業が資金を提供し、社員が合意したルールに則って運用する企業型と、個人で掛け金を用意する個人型があります。
企業型、個人型いずれにせよ自分の判断で運用するものですから、投資のリスクも自分で負うことになります。ときには元本の保証がないことがあることを覚えておきましょう。
まとめ
今は勤めていることからさほど不安は感じなくても、将来に漠然とした不安を抱かざるを得ない……そんな20代の方も少なくありません。少しでも多く将来の自分への贈り物を残したいのならば、退職金制度や年金、401kの仕組みを知っておくことがとても大切。今後、制度の変更も予測されますので、少しずつでも貯蓄をすると同時に、情報のストックを増やしていきましょう。
2015.11.20 キャリタス転職PRESS (ブログ)