
バルトークに「中国の不思議な役人」という作品があります。
この作品のあらすじをまとめると:
悪党が少女に客を取るよう強要したが金のありそうな客がつかまらない。
そこへ裕福そうな中国の役人がやってきた。
役人は少女を見つめ追いかけまわす。
悪党たちは役人から金や宝石を奪って役人を殺そうとしたがなかなか死なず、役人はしつこく少女を追いかけまわす。
以下ネタバレになるので省略…。
中国の役人の異様さを描いたこの作品が作られたのは20世紀初頭でした。
それまで中国をなめてかかっていた西欧列強が中国の特異さに気づき、距離をとり始めた時期とほぼ重なります。
細かく言えば義和団事件あたりで、腐敗した政府は別として民衆は何をやるか分からないと警戒し始め、第一次大戦後は民族自決などを口実に中国を敬して遠ざける姿勢に。
対して日本は逆行して大陸に深入りしたのでした。
それも条約で認められた満州くらいならまだしも、西欧列強からのアジアの解放を目指しともに立ち上がろうと手を差し伸べるのもいた。
戦後になっても懲りず、特にいわゆる日中国交回復後は一衣帯水だの同文同種だのと接近する始末です。
しかし「中国の不思議な役人」の根の部分は変わっていない。
日本の選択肢は福沢諭吉の時代も今も「脱亜」しかないのでは?