先週20日(水)、日本経済新聞の[経済1]面に、適格退職年金の移行に
関する記事が載りました。
「他制度移行いまだ6割、負担重く、中小及び腰」というタイトルです。
さて、この記事には、二つほど問題点があります。
一つは、下から2段目の5行目、「日本生命は、払った保険料の一部が
損金扱いになる法人保険への移行などで、ピーク時に1万6千弱あった
契約を6千まで削減」というところです。
日生は、ほとんどの適年を養老保険ハーフタックスにしてしまった、とい
うことになります。まさか!ということで、この記事を鵜呑みにすることは
できませんが、適年の移行プランとして、養老保険ハーフタックスプラン
をかなり使っているということです。
「適年の移行を保険商品で」、という提案は、外資系の保険会社のものが
目に付きますが、実は、日本社が一番やっているのではないかと思ってい
ました。やはり、そうか、です。但し、これは日経の記事が、事態を正確に
報道していればの上での話です。
このブログで、何度も繰り返し書いてきましたが、適年の移行に、使って
はいけない商品は、保険商品です。
退職給付会計上、保険商品の積立金は年金資産とはなりませんので、
企業にとっては引当金(退職給付引当金)と保険料と二重にコスト負担を
することになります。
「中小企業は退職給付会計など関係ないからいいんだ」、と言うご意見も
おありと思いますが、そうもいっていられないようです。
金融庁の銀行などの金融機関に対する調査では、お金を貸している企業
に対して、退職給付債務を把握して決算書を見ているかどうかを指摘される
ようです。つまり、企業としては退職給付会計を採用していなくても、銀行は
企業にお金を貸す時、退職給付債務の計算をして決算書を評価しているの
です。
退職給付債務の計算をして、年金資産として積み立てているお金が全然な
いと、債務はそのまま引当金となります。この引当金(退職給付引当金)は
有税での引き当てで、固定負債に計上されます。そうしたら、債務超過!
ということもあります。
でも、うちは養老保険で退職金を準備しているので、といってもダメです。
保険商品は、退職金の支払いのための積立金=年金資産とはなりません。
→続く