この間、退職給付会計に関するお問い合わせを何件かいただきました。
1) 退職給付債務を原則法で計算している会社からです。
「適格退職年金から中退共へ移行で、適年の資産を中退共へ移換した場合、
継続、終了のどちらになるのか?」
⇒ 適格退職年金を解約して、中小企業退職金共済への移行では、「終了」の
会計処理をすることになります。中退共への移行は、確定拠出年金への
移行と同じです。
2)退職給付債務を簡便法で計算している場合についてです。
「退職金制度の一部を中退共にしていしていますが、引当金※への負担が
多くなっています。税金への負担を考えて、退職一時金の部分をDBに
することを検討していますが、どうでしょうか?」
⇒ 税金の負担や退職給付会計の企業決算書への影響を考えると、退職一時金
制度は、企業年金制度に変更した方がいいでしょう。しかし、DB=確定
給付企業年金は、運用次第で積立不足が発生します。簡便法の場合、積立
不足は、退職給付引当金として即時に企業決算書に反映することになりま
す。導入するのは、DBではなくDC=確定拠出年金のほうがいいのでは
ないでしょうか。確定拠出年金は、中小企業退職金共済と同じく、退職
給付債務の認識がいらない制度です。
※退職給付債務-年金資産(確定給付型の企業年金)=退職給付引当金
この退職給付引当金には非課税措置はありませんので、税引き後利益
から引き当てることになります。
退職給付債務の計算は、原則法の場合は、企業年金を委託している金融機関に
頼んで、有料で計算してもらうことになります。簡便法の場合は、自社で行うか
顧問契約をしている税理士や公認会計士に依頼しています。