6回行った「厚生年金基金」に関するセミナーでお話しした内容の一部です。
退職給付制度による企業の負担額に違いです。
どの制度が一番重くなるか?
退職一時金制度です。
どの制度の企業負担額が少なくてすみか?
企業型DC(Defined Contribution=確定拠出年金)です。
退職一時金制度で、勤続40年の退職金を1,000万円とした場合、1,000万円を
準備するのに、いくら必要か?
約1,700万円の利益が必要です。
非課税で社内に退職金を貯めておける「退職給与引当金」は、廃止されています。
ですから、1,000万円を事前に準備するためには、税金を考慮すると、1,700万円
必要になります。(法人税の実効税率を約40%として計算)
もちろん、退職者が出た時に、1,000万円支払い、損金処理することができますが、
その時、企業に利益が出ていないと支払えないことになります。
確実に支払うために、税金を払った後の利益で準備すると、1,700万円必要です。
負担の少ない企業型DCでは、想定利回りを2%とした場合、約650万円の掛金額
で済みます。(毎月13,500の掛金を2%で40年間運用したと仮定して計算)
確定給付企業年金という考え方もありますが、 こちらは5年に一度の財政再計算及び
毎年の財政検証(継続基準・非継続基準)が義務付けられており、積立不足が発生す
ると、それを解消することが必要になります。
積立金の運用は金融機関に委ねることになるので、「事業主が管理」できません。
つまり、AIJ投資顧問の問題でも明らかなように、企業年金の積立金の運用は、事業主
がコントロールできないリスクなのです。
確定給付型の企業年金は、あまりお勧めできません。
特に中小企業には、向かないと思います。