何気ない心の隙間に、ふと銀河の気配を感じる。廊下のひんやりとした板の間に、寝転ぶ銀河を視る。網戸の影に隙を伺う銀河。帰宅を待ち焦がれ、窓で蹲る銀河。後になり前に回り、纏いつく銀河がいる。
そのどれもが、生きていた頃そのままに姿を見せる。だが、抱き寄せようとすれば、その姿を通り抜けて虚空を彷徨う。でも確かにいる。出窓に跳びあがり、駆け下り、炬燵に潜る。足をぶらぶらさせると、待っていたとばかりに玉を取る。
時々、外に出て行って、帰れなくなる銀河。家はわかるし、見えているのに、その途中が怖いのだ。娘の姿を見つけると、速を出して玄関に飛び込んできた。そのまま押入れに入り込み、暫くは出てこなかった。
その度に、お風呂に入れられ、賑やかに啼いていた銀河。蚤とダニをくっつけて、何度もシャンプーしたっけ。布団に潜ってきて、仰向けになって寝ていた。横にも器用に向いていた。枇杷葉茶を飲むようになって、臭いが消えて困っていた。
庭の片隅に、今は眠る銀河。漆黒の闇を思わす毛並みで、艶やかな黒が魅力的だった。17年間、一緒に居てくれてありがとう。人間で言えば、百歳くらいだったのかな?寿命だったし、天命でもあったよ。家に来てくれてありがとう、銀河。
近くにある薔薇園にて。まるで白雪姫のような薔薇でした。
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