人間の嗅覚はネズミやイヌ並みに鋭いとする研究結果がScienceに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。100年ほど前から唱えられてきた正反対の「俗説」を覆す内容。人間は約1万種類のにおいを嗅ぎ分けられると長年考えられてきたそうですが、その数は実際には1兆種類近いというのです。人間の嗅覚は貧弱だとする「俗説」の出どころは、19世紀フランスの脳外科医で人類学者のPaul Brocaだそうです。Brocaは1879年の論文の中で、人間の脳の中で嗅覚野の容積が他の部位に比べて小さいことに言及。このことは人間が自由意志を持ち、イヌや他の哺乳類のように生き残るために嗅覚に依存する必要がないことを意味すると、Brocaは主張したそうです。Brocaの説は、精神分析学を確立したオーストリアの神経科医Sigmund Freudにも影響を与えたそうです。Freudは、嗅覚が欠落すると精神疾患にかかりやすくなると考えていたそうです。嗅覚情報を処理する脳組織の嗅球が脳全体の容積に占める比率をみると、人間のわずか0.01%に対し、ネズミでは2%。だが、人間の嗅球は実サイズがかなり大きく、成人で約60ミリに達することもあり、他の哺乳類の嗅球と比べてほぼ同数の神経細胞を持っているというのです。嗅覚に関する人間とイヌとネズミの間の違いは、特定のにおいに対する感受性の差に帰する可能性があるそうです。人間にはにおいの痕跡をたどる能力があり、人間の行動状態と感情状態はともに嗅覚に影響されると。
http://www.afpbb.com/articles/-/3127980
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