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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 678 ニューフェイス ②

2021年03月10日 | 1977 年 



パ・リーグ ➋:虎視眈々とAクラス入りを狙う3チーム
◆近鉄:新人久保に大器の芽
【新人】…投 手:久保康夫、山本和範
     内野手:石原修治
【移籍】…内野手:益川満育
     外野手:白滝政孝

少々寂しい話だが新加入した選手で今シーズン一軍の試合に出場できそうなのはヤクルトから移籍した益川ぐらいだろう。中日とのオープン戦ではマルチ安打を放ち目立っていた。課題の守備面も西本監督のシゴキで克服しつつある。守備は元々センスがあり、ヤクルト時代に当時の広岡守備コーチから「守りのコツを知っている。鍛えれば必ず上手くなる」とお墨付きを得ていただけのことはある。投手では高卒ルーキー・久保の評価が高い。10日のクラウン戦に早くも登板し、2回を無安打に抑えた。普段あまり選手を褒めない西本監督が珍しく褒めたルーキーで将来有望である。


◆日本ハム:効率高い補強ぶり
【新人】…投 手:岡部憲章、下田充利、石井博明
     捕 手:大宮龍男、坂神隆広
     外野手:島田誠、大西正裕
【移籍】…投 手:宮本幸信、谷山高明、佐伯和司
     内野手:久保俊己、山下司

最大の補強は広島から移籍した佐伯。確実に10勝は計算できる投手だ。「間違いなく働いてくれるだろう。両高橋、野村と共に4本柱として計算している。これでパ・リーグに旋風を起こしてみせるぜ」と大沢監督は怪気炎を上げる。佐伯の初登板は6日の広島戦で古巣を相手に3回・被安打3・無失点に抑えた。二度目は12日の中日戦で先発して5回・被安打2・自責点1と安定した投球を見せて首脳陣を喜ばせた。「調整は順調だ。なんとか日ハムを優勝させたい(佐伯)」と力強い。広島時代の昭和50年に赤ヘル投手陣の主力としてリーグ初優勝を経験しているのも心強い。

同じ広島から来たリリーフ役の宮本もいい。佐伯と同様に初優勝の時は右の抑え役で活躍し、昨年は4勝3敗7Sと一昨年を下回ったが持ち味の速球の威力は健在で日ハムでも活躍は期待できる。内野手の山下は自分から巨人に自由契約を申し出て移籍して来ただけに意気込みは凄い。ルーキーで目立っているのは捕手の大宮。オープン戦でも数多く起用されて8日の阪神戦では12球団のルーキーで第1号となる本塁打を放った。大学時代(駒大)には全日本にも選抜された逸材で球団としても即戦力として期待している。



◆クラウン:移籍組にヒット
【新人】…投 手:吉田隆史、池田弘、米沢馨
     外野手:徳山文宗、立花義家、山村勝彦
【移籍】…投 手:高垣義広、竹田和史、山下律夫、倉持明
     外野手:長谷川一夫、島津佳一

移籍組が充実していて、ほとんどが戦力として計算できる。なかでも大洋から来た山下への期待は大きく、鬼頭監督は「先発はもちろんリリーフ役もやってもらう」と惚れ込んでいる。その山下は10日の近鉄戦に先発して5回を被安打4・無失点と好投し首脳陣を喜ばせた。「チームの勝利により多く貢献できるように頑張る(山下)」とプロ11年目のベテランは静かに燃えている。中日から来た左腕の竹田は球威があり、ロッテから来た倉持はクセ球が持ち味で両者ともにリリーフ役に適した投手だ。

打撃陣では長谷川の加入が大きく、今年の補強では最大のヒットである。長谷川はロッテでも打つことにかけては五本の指に入る巧打者で有藤や弘田にも引けを取らない。ライオンズでは指名打者や左の代打の切り札として期待している。ドラフト1位指名の立花には大きな期待が寄せられているが、一軍の戦力としてはまだまだ時間を要する。それでも浪商から東映に入団した張本の育ての親でもある松木臨時打撃コーチが「張本が入団した時より上」と断言するほどだから間違いなく将来有望なルーキーである。
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