納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
◆ ヒヤリとさせた男 ・・今井投手は周りが緊張している時に一瞬ヒヤリとさせるが同時に笑いを誘う男。昨年の日本シリーズで打球が直撃しマウンド上で蹲った。ナインが心配して駆け寄ったが球が当たった箇所は股間。痛みを堪える姿に周りは笑いを抑える事が出来なかった。今キャンプでも突然右肩痛を訴え首脳陣をヒヤリとさせたが翌日には何事もなかったかのように100球前後の投げ込みをしてみせたり、胃痛でオープン戦を回避したがこれも直ぐに回復するなど今井投手の言動はどこかユーモラス。今季も周りを少しヒヤリとさせながらも終わってみれば最多勝、なんて事になるかも？ ◆ 怒られ役 ・・文句なしに小林敦投手。３月16日の対西武戦にオープン戦三度目の登板をしたが２回持たずにＫＯされた。「キャンプで一体何をしとんたんや。全く成長しとらん！」と上田監督に大目玉を喰らい、試合後直ぐに二軍落ちを宣告された。キャンプ中からオープン戦にかけて一番多く怒られてきた小林投手。それだけ期待されている事の裏返しだと考えれば寧ろ幸せなのかもしれない。 ◆ 憂鬱男 ・・新助っ人のヒックス選手。キャンプ当初は陽気な性格でチーム内を和ませていたが、本職の評価が徐々に低下していくと共に陽気さが消えていき今では殆ど笑顔は見られない。体重90㌔を超す巨体では外野手は務まらず、かと言って指名打者には水谷・小林晋・石嶺とライバルが多く食い込めない。肝心の打撃の方もサッパリで住友打撃コーチに新人のように腕の使い方を教えられる始末。３月18日現在、打率.176 では陽気な男が暗くなるのも仕方ない。 ◆ ネアカ男 ・・一方でネアカなのが松永選手。上田監督から「アイツは今年が一番ええでぇ。ここで打って欲しいという時に打てるようになってきた」とお褒めの言葉を頂戴した。明るさの原因は好調な打撃ばかりではない。昨年の11月に生まれた長男・啓太くんの存在もある。可愛くて仕方ないようで子供が生まれる前は練習後に麻雀をしたり呑みに行ったりしていたが今では家へ直行。しかも自宅は西宮球場から徒歩３分なので " 帰宅スピード No,１ " でもある。 【 センバツ随想録：森 浩二 】 昭和53年の夏の大会で２年生ながら高知商を準優勝に導いた森投手だが翌年のセンバツは２回戦で敗退した。「あの時の悔しさは忘れない（森）」と今でも悔しさいっぱい。負けた相手は牛島・香川コンビがいた浪商。「浪商は確かに強かったけど僕自身の調子も悪かった。だから余計に悔しくて…」と。実はこの試合の９回に高知商は逆転する好機を迎えていたが浪商守備陣の超美技に阻まれたのだ。森は余りの悔しさで甲子園の土を持ち帰るのを忘れてしまった程。この悔しさをバネにプロでは笑ってほしいものだ。 【 試される男：野中 徹 】 スリムに変身したプロ２年目の " ニュー・野中 " が動き始めた。３月15日のヤクルト戦の７回に初登板して、いきなりの２連続奪三振。六大学出の大物ルーキー・広沢も三ゴロに打ち取った。続く８回も小川に安打を許したが後続を抑えて２回を１安打・１四球の上々のスタートを切った。野中本人は「カーブとフォーク、変化球は良かったけど直球が今一つ。気持ちばかりが先行してフォームはバラバラで修正出来なかったのが反省点」と冷静に振り返った。上田監督は「プレートさばきは２年目とは思えない。さすが甲子園の大舞台を踏んだだけの事はある」と実戦に強い野中に合格点をつけた。 【 投手コーチに聞く、今季の投手陣はどうなる？ 】 聞き手…何と言っても左膝半月板損傷の山田投手の状態をお聞きしたい 梶 本…３月18日に退院して19日からキャンプに合流。状態は正直言って本人しか分からない 聞き手…開幕は無理ですよね？ 梶 本…調整は本人に任せるが無理はさせない 聞き手…山田投手の不在は大きいし不安では？ 梶 本…そりゃ先発ローテーションの一人が欠けたら痛いよ。しかも精神的支柱である山田なら尚更。でも当初の 聞き手…不安材料は山田投手の他にも。去年の反動で今井投手と佐藤投手の疲労を懸念する声がチラホラ 梶 本…２人で38勝の大車輪でしたからね。特に今井に今年も20勝を期待するのは難しいかな。でも別に20勝に 聞き手…佐藤投手は？ 梶 本…今井に比べたら若いし昨季はこれまでの力任せの投球から脱皮できたので疲労はさほど残ってないのではないか 聞き手…期待の若手陣がオープン戦で苦戦していますが 梶 本…いかにブルペンでの力を実戦で発揮できるか、それが課題。言うのは簡単ですけど、これがなかなか難しい。 聞き手…総括として今季の布陣は？ 梶 本…主力５人（山田・今井・佐藤・宮本・永本）に小林敦、小島。が基本。そこに２年目の野中と新人の古溝が
◆ 期待度 ・・若手投手陣はメキメキ頭角を現し始めているが打撃陣の若手の評判は芳しくない。そんな中、石橋選手の打棒が目立っている。３月19日現在、放った３安打のうち２本が特大の本塁打。しかも代打や守備固めに入った後の数少ない打席で打っただけに評価も高い。石橋選手と言って先ず思い出されるのが、かの有名な " 阪神２コーチによる審判暴行事件 " 。あの騒動は石橋選手がサードフライを捕り損ねたのがきっかけで起きた。一時は内野フライ恐怖症に陥ったが今は外野手に転向して活躍している。 ◆ ハッスル ・・ベテランの高木由選手が元気だ。オープン戦は打率５割をキープしている。「何事も刺激が大事。この歳になっても刺激は大切」と話す。刺激とは新助っ人・ホワイトの加入。テスト生として入団した高木にとって高給取りの外人さんは格好の刺激剤なのだ。３月16日の誕生日、昨年は阪急戦に代打で登場し見事バースデーアーチを放ったが今年は残念ながら広島戦で三邪飛に倒れた。「欲を出して力んじゃったね」と話す顔は歳よりも若く見えた。 ◆ ズッコケ ・・銚子選手がやってくれました。３月10日、長崎でのオープン戦が終わり翌日は大阪への移動日。用具類は10日のうちに別便で搬送される事になっていた。銚子選手はその荷物の中に入れる筈だったアップ用のシューズの代わりに革靴を間違えて入れてしまった。移動の際はスーツにネクタイと決められており、足元が運動靴では様にならない。移動前に市内のスーパーで革靴を調達して事なきを得たが「お恥ずかしい限りで…」と頭をポリポリ。 ◆ 思いやり ・・他球団の話になるが広沢（ヤクルト）がプロの壁に早くもぶち当たっている。明治大学で４年間、同じ釜の飯を喰ってきた竹田投手が「気持ちで勝負するタイプが多い明治の選手というのはリーグ戦が始まる前の春先は良くないんですよ。プロとアマチュアを比べるのは失礼かもしれませんが、開幕すれば奴も実力を発揮すると思います」と悩める元学友に熱きメッセージを送った。もっとも竹田投手自身もフォーム改造に苦労しており、それは自分への叱咤激励でもあるのかもしれない。 【 センバツ随想録：高浦己佐緒 】 僕は昭和45年の第42回大会に千葉商の五番・捕手で出場しました。当時は千葉県代表と言ったら銚子商が有名で千葉商は無名の存在でした。準々決勝で広島の広陵高に０対１で負けて甲子園を去りましたが、僕が印象に残っているのは２回戦で対戦した大分の津久見高戦です。小島さんという有名な監督さん率いる津久見が勝つと予想されていましたが１対１で迎えた８回、先頭打者の僕が左中間へ二塁打を放ったのを足がかりに決勝点をあげて勝ちました。あの時のバットの感触は忘れられません。 【 試される男 】 ３月16日の広島戦に先発した金沢投手だったが４回・２失点。「コントロールが悪すぎた。話にならない」と滅多な事では選手を責めない近藤監督が珍しく切り捨てた。２回まで打者８人に４四球。遠藤投手に次ぐ二番手ローテーション投手としては不合格な投球内容にさすがの近藤監督も冷静でいられなかった。だが金沢投手本人は「あの内容で２失点に収まったのを良しとしなければ、なんて言ったらまた怒られるかな。でもこの時期にしては直球も走っていたし、それなりの収獲はありました」と涼しい顔。 【 投手コーチに聞く、今季の投手陣はどうなる？ 】 聞き手…先ずはゴールデンルーキー・竹田投手のフォーム改造について 小 谷…実はキャンプ中からシャドーピッチングはしていた。例のノーワインドアップ投法をね。ただ頭ごなしにやれ、と 聞き手…エース・遠藤投手の仕上がり具合は？ 小 谷…全く心配していない。２年連続最多勝、もうリーグを代表する投手ですから本人に任せています 聞き手…抑えの斎藤投手は？ 小 谷…遠藤同様に本人に任せている。新しくナックルボールを覚えようと意欲的だよ 聞き手…不安な点は？ 小 谷…金沢かな。２年連続で二桁勝利して実績は申し分ないけど、彼の性格からして「なんとかなるさ」みたいな考えを 聞き手…若手投手の評判が良いですね 小 谷…マスコミの皆さんが欠端・大畑・堀井らを持ち上げるので本人たちが勘違いしないか心配。正直、一軍レベルは欠端
◆ ダメ男 ・・浪曲師の広沢虎造さんから取って " トラさん " とナインから呼ばれているルーキーの広沢。すっかりチームに溶け込んでいるがバットの方はオープン戦６試合で22打数４安打・打率.182 ・８三振と湿ったまま。そこで付けられた新たな愛称が " ダメトラ " 。キャンプ前は今季のルーキー No,１と呼ばれていたが今ではその称号を熊野（阪急）に奪われてしまった。「僕は三振も大飛球の外野フライも同じアウトだと思っているけどマスコミの皆さんが騒ぐので萎縮してしまって…」とションボリ。 ◆ 怒られた男 ・・土橋監督にテレンコ軍団と命名された宮城、酒井、黒田の面々。「悔しい、返上だ！」と宿舎と球場間（往復７ km ）を走る事を自らに課し頑張った宮城投手。だが３月15日の阪急戦で松永・熊野に本塁打を浴びてＫＯ。試合後に土橋監督から二軍落ちを宣告された。キャンプ中も土橋監督に「トロだマグロだ」と叱責されて一番怒られた宮城だったが結局の所、怒られ損に終わってしまった。 ◆ 子煩悩 ・・２年前に右膝の半月板の除去手術をした尾花投手。その右膝用に米国製のプロテクターを特注した。お値段は15万円と高額だが「子供も生まれたし膝への負担を軽くして１年でも長く投げられるようにしようと思ってね。まぁ子供の為に買ったようなもんですよ」とニコニコ顔。美人と誉れ高い元スチュワーデスの敬子夫人似の早保ちゃん（生後４ヶ月）が可愛くて仕方ない様子。昨オフには運転免許証を取得して「もしも急病になった時の為に（尾花）」と車も購入した。 ◆ 動物 ・・ヤクルトは動物園？「おい、クマ！しっかり投げろ」投球練習中の鈴木投手をナインがからかう。鈴木は毛深いのでチームメイトからは「クマ」と呼ばれている。ヤクルトには他にもトラ（広沢）もいれば、ハチ（八重樫）やブーちゃん（杉浦）、ゴリラ（青島）もいる。選手ばかりではなく安田コーチのニックネームはペンギンだ。「こりゃまるで動物園だわ」とは土橋監督。ちなみに強面の土橋監督に動物のニックネームをつける猛者は今の所いない。 【 センバツ随想録：小川淳司 】 僕がセンバツに出場したのは昭和51年。当時はエースで " 習志野に小川あり " と言われてました。１回戦は沖縄の豊見城高、後に巨人入りした赤嶺君に抑えられて０対３で負けました。その時の悔しさが夏の全国制覇に繋がったと思っています。期待されたセンバツで初戦敗退した屈辱を晴らせて嬉しかったですね。ただ肩を酷使して痛めてしまい投手を断念する事になりましたけど…。 【 試される男：荒木大輔 】 ローテーション入りを賭けて二度目の先発に挑んだ荒木投手だったがロッテ打線に捕まり５回・７安打・２四球・５失点で負け投手となった。初登板だった巨人戦（５回・４安打・１失点）とは別人で山本選手とリー選手に本塁打を浴び「球が高目に浮いてしまい修正できませんでした」と反省しきり。土橋監督も期待が大きかっただけに「低目に集めろと言っているのに直す能力が無い。打たれて当然の投球」と試合後は御機嫌ななめだった。 【 投手コーチに聞く、今季の投手陣はどうなる？ 】 聞き手…もうすぐ開幕ですが仕上がり具合は？ 安 田…例年と変わりないですね。尾花の状態も100％に近いし、特に宮本が良いね。10勝いけるかも 聞き手…先発ローテーションは？ 安 田…尾花・梶間・高野・宮本・松岡を軸に回していく。心配なのは肩の状態が万全でない高野と松岡。 聞き手…若手の名前が出ませんが 安 田…宮城と荒木に期待しているんだけど今一つ。ただ阿井は球威も増してきて良いよ 聞き手…中本投手を抑えで起用する案があるようですが 安 田…今、中本は調整が遅れて下（二軍）にいるけど状態が良くなれば抑えで使いたい 聞き手…昨季はチーム防御率、被本塁打数ともにリーグ最悪でしたが 安 田…救世主でも現れない限り急に良くなると考えるのは甘い。ただヤクルトをお得意さんにしていた田尾（西武）が 聞き手…これだけは他球団に負けない、というセールスポイントは？ 安 田…キャンプ中のランニング量かな。去年と比べて倍の15km は毎日走ってます。スタミナ強化の成果は公式戦中
◆ ハッピ～度 ・・吉田監督の発案で打撃投手から現役に返り咲いた益山投手は只今幸せの真っ只中にいる。「夢を見ているみたい。ただ本当に喜ぶのは一軍に残ってからですけど（益山）」とキャンプ、オープン戦を経て正式にカムバックを果たした。打撃投手を務めたのは１年間だけだったが「本当にキツイ仕事。あと２～３年で体力的に限界が来ると思って他の仕事を探していた（益山）」そうだ。黒子の存在からマウンドでスポットライトを浴びる存在に戻って来られた事を心底感謝している益山だった。 ◆ お忙が氏 ・・オープン戦も始まり球場内外を忙しく走り回っているのは若手選手。渡真利、東、月山選手らは一軍の試合に出つつ二軍の教育リーグも始まったので一軍の試合は休みでも二軍戦に出場している。「僕ら若手に休みは無いですよ（渡真利）」と首脳陣を泣かせる台詞をはいて頑張っている。そんな若手に混じって一軍クラスの吉竹選手も二軍の試合にも出場している。何故なら一軍の試合で絶不調で首脳陣から「一桁の背番号『８』が泣いているぞ」とハッパを掛けられて休日返上で二軍戦に出ているのだ。 【 センバツ随想録：平田勝男 】 センバツの季節になるとあの時を思い出して今でもドキドキします。昭和52年、長崎海星高の主将として出場しました。甲子園には前年の夏の大会に出場していました。１年先輩の酒井さん（ヤクルト）が " 怪物・サッシー " と注目された大会です。ですから甲子園自体には緊張しなかったのですが組み合わせ抽選で「１番」を引いて選手宣誓の大役をする事に。前の日から練習そっちのけで宣誓文の暗記に四苦八苦していました。お蔭さまでミスなく出来ました。 【 試される男：吉竹春樹 】 センターの定位置争いをしていた北村が右肩の怪我でリタイアし黙っていてもレギュラー獲得となりそうだが打撃の方が一向に良くならない。３月16日の南海戦から一番・中堅で先発出場しているが無安打が続いていた。首脳陣の間では「新人の大野の方が使える」とか「一軍当確と安心しているのでは？」と酷評される始末。二軍の広島戦で本塁打を放った後、ようやく一軍の４試合目で適時打を放ち一息ついた。 【 投手コーチに聞く、今季の投手陣はどうなる？ 】 聞き手…さっそくですがゲイル投手の状態は？ 米 田…調整遅れは避けられない。でも今の時期だったのは幸い。開幕まで時間はあるので心配していない 聞き手…肝心の実力の程は？ 米 田…驚くような速球はないけどコントロールが良いので大崩せず計算出来るタイプだね 聞き手…一部ではゲイル投手が開幕投手なのでは、と言われていますが？ 米 田…一番頼れる、力のある投手に開幕を任せる。それだけ 聞き手…池田投手の調整遅れが気になりますが 米 田…池田はしっかりとした考えの持ち主で心配していない。新人であれだけ（９勝）の実績を残せたのは大したヤツだ 聞き手…じゃ２年目のジンクスは大丈夫？ 米 田…そんなモンは迷信。本当に実力があればジンクスなんて関係ない 聞き手…キャンプの話題を独り占めした仲田投手が肩痛でリタイアしてしまいました 米 田…あれだけ注目されたら手を抜けないから無理をしたのかな。焦る必要は無い。しっかり治して戻って来ればいい 聞き手…一方で毎年期待されながら一本立ち出来ない工藤投手や伊藤投手は？ 米 田…いい球を投げるのに使い方が悪く歯痒い思いをしている。南海戦の伊藤は論外！ 聞き手…広島や巨人に対抗するには北別府や江川と互角に投げ合える投手が必要なのでは？ 米 田…阪神にはいない？我々はそうは思っていない。同じプロ野球の投手、技術はそんなに差はない。確かに江川君のように
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