Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 516 ドラ1・近況報告 ②

2018年01月31日 | 1985 年 



【 大久保博元(西武) 】
 現状自己分析:6月中旬に土井コーチと相談して打撃フォームを変えてみました。連日・連夜、居残りで特打をやっていてクタクタです。その成果がようやく出始めてきたと実感しています。「早く一軍でホームランを打って下さい」とファンレターを多く頂きますがもうちょっと待っていて欲しいですね。その代わりと言っては何ですがジュニアオールスター戦では全打席でホームランを狙います。

 課題:打撃フォーム改造と言うのは少々オーバーで若干の修正と言った方が正しいかな。パワー、センス共に目を見張る逸材だから根本から変えたら彼の特性を殺してしまいかねない。内角球に詰まる事があるのでバットの振り出しを早くする、タメを作る事を勉強させている。将来の四番候補だから一軍が好調なうちにみっちりと基礎を叩き込みますよ(土井二軍打撃コーチ)


【 白井孝幸(阪急) 】
 現状自己分析:春先に痛めた足の故障も完治してやっと出遅れを取り戻せてきました。まだ目に見える程ではありませんが体力面で向上したように感じています。同じ練習をした後の疲労感が少なくなった気がします。でもコーチから言われる事が頭では分かっても体が反応できない事があるのでまだまだです。

 課題:体力的な基礎練習は勿論ですが投げ込みによって強い肩を作る事が必要です。そうすることでコントロールもつきますから。まだ試合で投げるレベルまでなっていません。とりあえず投げてみないと分からないレベルから脱し確実に戦力になると判断できるようになってから一軍へ送り出したい(足立二軍投手コーチ)


【 田口竜二(南海) 】
 現状自己分析:これまで中継ぎで使ってもらいましたが6月14日の阪神戦で初先発しました。結果は月山さんに2ランを浴びるなど4安打・5失点・47球で降板しました。悔しかったです。自分でも力不足を痛感しました。今は1日・120 ~ 150 球の投げ込みをしています。

 課題:スピード・コントロールともに今一つ。現段階では出れば打たれて彼の良い面は見せてもらっていません。体格も素晴らしいんですからもっと勢いのある投球が出来ると思っています。今は細かい点を直すより夏場に向けて走り込み、投げ込みをさせてじっくり育てていきたい(小池二軍監督)


【 嶋田章弘(阪神) 】
 現状自己分析:自主トレやキャンプの時と違って他の選手達と同じ内容の練習をしています。投げ込みは変化球をまじえて1日80球くらい。ウエスタンでは2試合に先発して1敗。これからは四球を少なくしてバックがリズムを持って守れるような信頼される投手を目指したいと思います。先ずは1勝したいです。

 課題:プロとして1年を乗り切れるスタミナをつける事が第一だね。まだ高校生の身体つきだから、これから暑くなる夏場が問題となってくるだろう。これは練習で鍛えていくしかない。投げる事は二の次くらいの考えを持って取り組むのが大事。練習態度は積極的な姿勢が見られるので経験を積んでいけば非常に楽しみな素材です(若生二軍投手コーチ)


【 杉本正志(広島) 】
 現状自己分析:高校(箕島)時代から悪かった右ヒジ(間接離断性骨軟骨症)の軟骨除去手術をしたばかりで広島大学病院に通ってリハビリ中です。今はとてもピッチングが出来る状態ではありません。でもまだ若いしきちんと治した方が良いと考えて手術すると決めました。経過は順調ですし、じっくり焦らずやっていこうと思っています。

 課題:手術をしたばかりで技術的にどうこう言える段階ではない。でも若いし快復も早いと考えています。元々、抜群の速球を投げる事が出来る投手なので怪我さえ治れば大丈夫です。2~3年先を見据えてじっくり鍛えていきたいですね(藤井二軍監督)
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# 515 ドラ1・近況報告 ①

2018年01月24日 | 1985 年 



昨年のドラフト会議で1位指名されキャンプからオープン戦と注目され続けた12人。シーズンが開幕して自分が思い描いていた通り一軍で活躍している広沢(ヤクルト)と河野(日ハム)以外の選手はプロの壁にもがき苦しんでいる。そんな10人の近況報告である。

【 上田和明(巨人) 】
 現状自己分析:5月末に一軍に上がった時はいい勉強になりました。特にバッティングで腰の使い方、回転で打つように指導されバットを最短距離で振る事を心がけています。守りの方は足の運び方、両腕の使い方に硬さがあって思うようにいきません。この辺を克服して再度の一軍昇格をモノにしたいと思っています。

 課題:今、彼にアドバイスしているのは守備で一連の動作の中でいかに力を抜くか、です。特に捕球の際に両腕が鉄板でも入っているかのように突っ張ってしまう癖がなかなか直らない。もっとリラックスできればもう1ランク上の選手になれる。課題と言われている打撃は格段に進歩しているし意外と早く一軍に上がれると考えています(上田二軍守備コーチ)


【 竹田光訓(横浜大洋) 】
 現状自己分析:だいぶ良くなってきました。ファームの生活というのは何しろ朝が早くてキツイ。8時にはもう出発しなくてはならない。広沢(ヤクルト)も一軍でボチボチ打ち始めたし僕も頑張らないと忘れられてしまいそうです。何とかオールスター明けには一軍へ上がれるように調整しています。そのうちアッと言わせてやりますよ、慌てない慌てない(笑)。

 課題:オールスター戦前に一軍へ、を目標に練習させているが本人は「オールスター後には」と少々のんびりし過ぎている。その辺がちょっと心配かな。投球フォームは変えないけど連日の走り込みでヒザの使い方が柔らかくなった。球威も増してきているので楽しみなのは間違いない(鈴木二軍投手コーチ)


【 中村武志(中日) 】
 現状自己分析:最近やっとプロの水に慣れてきました。でも打つ方でも守りの方でも毎日プロとアマのスピードの違いに戸惑っています。僕は捕手ですから先ず守る方からやっていこうと考えています。全てにまだ勉強の段階ですけど、守りをしっかりやれば試合に出るチャンスはあると思っています。 " 習うより慣れろ " の精神で頑張ります。

 課題:まだまだ身体がプロのレベルには程遠い。先ずはプロのスピードに付いていける体力作りから始めないと。スローイングひとつをとっても投げ方が悪いからせっかくの強肩を生かしていない。今は水沼コーチとマンツーマンで鍛えている段階。ただ自分から進んで練習をするタイプなので今年中にはシャープな動きが出来るようになるのではないか(高木二軍監督)


【 佐々木 修(近鉄) 】
 現状自己分析:開幕一軍に選ばれましたが僅か10日で二軍落ち。首脳陣の期待に応える事が出来ず申し訳なかったです。大学では力だけの投球で通用しましたがプロではそうはいかないと痛感しました。コンビネーション、緩急、クイックモーションなど細かい面でまだまだ基礎的な事が疎かだったと反省しています。

 課題:横手からのカーブとシンカーは見るべきモノがある。しかしプロではそれだけでは通用しない。カーブも今以上にキレが必要で打者の手元で変化しないと見極められてしまう。投球フォームなどまだ基本的な部分で未熟な面があったが、だいぶ改善できてきました。あとは出来るだけ多くの実戦を経験する必要があります(野口二軍監督)


【 笠原栄一(ロッテ) 】
 現状自己分析:自分から練習をやるのがプロだと思っていたけど、こんなに厳しく練習をやらされるとは思わなかった。今は体力作りが中心でピッチングは捕手を立たせたままのキャッチボール程度。もっと思い切り投げたくて少しストレスが溜まっています。力を入れて投げるとシュート回転する癖があるので、今の段階から矯正するのに必死な毎日です。バッティング投手も含めてまだプロの打者と対戦した事がないので早く自分の力を試してみたいです。

 課題:キャンプで痛めた両足ヒザを治す段階でランニング量も控え目ですが、この期間を使って上半身を鍛えています。彼の特徴でもある長い腕を利用した日本人離れした投法と伸びのある球に磨きをかける為に今は体力アップが目標。秋の教育リーグには逞しくなった笠原をお見せ出来ますよ(木樽二軍投手コーチ)



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# 514 ジュニア・オールスター戦

2018年01月17日 | 1985 年 

















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# 513 ハム番地獄耳

2018年01月10日 | 1985 年 



19歳で開幕投手を務め見事勝利したり、チームの9連敗を阻止したりと好調だった4月が嘘のように5月になると上半身と下半身のバランスを崩して制球を乱して打ち込まれ、好投しても打線の援護がなかったりして6連続KOを喫するなど今度は自身が5連敗中の津野投手。6月に入ると調子が徐々に上向きになり20日の南海戦で45日ぶりに勝利を手にした。「知らず知らずのうちに右ヒジが下がっていたんです。それでグラブを持つ手を上げたらしっくり投げられるようになりました。長かったなぁ…(津野)」と安堵の表情を浮かべた。

同期入団の河野投手には負けない、とドラフト3位入団の早川選手が6月19日に一軍昇格を果たした。二軍で打率.359・1本塁打をマーク。キャンプから悩んでいたタイミングの取り方をマスターし「お待たせしました。1日でも早くドラ1の河野に追いつけるよう頑張ります」とプロ野球選手としての第一声。早速22日の阪急戦の6回に白井選手の代打で出場し今井投手から中前にプロ初打席・初安打を記録した。「マグレです。目をつぶって振りました(早川)」と照れ隠しの本人だが、同じくプロ初打席・初安打だった高田監督は「どんどん使う」と頼もしい新人の出現に目を細めた。

6月23日の阪急戦に先発した河野投手が1回 2/3 でKOされると岡部、間柴、田中幸、松浦、木田、川原を投入し計7人の投手リレーとなった。「明日(24日)は大阪への移動日で試合もないし最近は雨で登板予定が流れる投手もいて試合感覚を保つ為にも投げさせた(高田監督)」そうだ。だが暫く後に改めて高田監督にこの件を聞くと「これまで我慢して続投させると悪い結果しか出なかったから試しに早めに交代させてみたんだ。結果も良かったしこれからは早めの継投も有りかなと思ってる」と本音をポロリ。

俺はコレしか乗らん!という頑固な方も多いのがカーマニア。ウォーリー与那嶺コーチもその一人。トヨタのクラウンが発売されて以来ずっとクラウン一筋。しかも車の色にはこだわっていて渋い濃紺色ばかり。実はこの濃紺色はジェーン夫人が東京・六本木で経営している「ヨナミネ真珠」のイメージカラーなのである。「店の内装が濃紺色でとても落ち着くんだ。お客さんにも好評でね。だから車も濃紺色にしている訳ではないけど自然とね」と車の色まで奥様好みにするとは、さすが愛妻家だけの事はある。


打線はいきなり梅雨入り。投手陣の嘆き節が聞こえてきそう
とにかく打てない。チーム防御率はリーグ2位(4.04 )と踏ん張っているが、いかんせん12球団最低のチーム打率(.239 )では5位の南海に3ゲーム差の最下位に低迷するのも致し方ない。オープン戦終了後に高田監督は「ウチはポカスカ打ちまくるチームじゃない。少ないチャンスをいかにモノにするか。1点を大事にするチームを目指す」と言っていたが、今やそのチャンスを作る事さえ大仕事になっている。53試合を消化して完封負けは5度。6月4日の西武戦ではノーヒット・ノーランの屈辱を味わった。また6月11日の阪急戦から3試合連続で最終回の9回に得点をあげたが大量失点の負け試合だったので " 焼石に水打線 " " 無駄な抵抗打線 " と揶揄される始末。

大きな要因の一つが主砲・柏原の不振。開幕戦で今季第1号を放ち、今年こそやってくれるだろうの周囲の声に反して低空飛行を続けて5月10日の西武戦で連続試合出場も「717」でストップ。左親指付け根の痛みもあってその後は守備固め要員に甘んじる事に。5月26日にスタメン復帰したが四番ではなく七番。代わりの四番をクルーズ、岡持、古屋と日替わり状態では打線は機能しない。また二村やクルーズの不振も大きい。二村は高田監督がクリーンアップを期待していたが左翼のポジションを岡持に奪われベンチ要員に。昨季打率.348 でブーマー(阪急)に次ぐ2位だったクルーズも今季は元気がない。
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# 512 タカ番地獄耳

2018年01月03日 | 1985 年 



出たぁ、定岡選手のビックリ箱アーチ。定岡と言えば昨季までの九番打者で思いがけない場面で一発を放ち、付いたあだ名が「ビックリ箱のサダ」。ただ昨季のアキレス腱断裂からの回復具合が思わしくなく遊撃のレギュラーを小川選手に明け渡し、今一つ精彩を欠いている。そんな定岡が本領を発揮したのが6月22日のロッテ戦。ロッテ先発の仁科投手を打ちあぐねていた7回表、左翼席へ逆転の3ラン本塁打を放ち4対3で逆転勝利した。試合後の定岡は「真ん中からややインコース寄りの真っ直ぐ、いやカーブ。どちらにしても打ち易い球だった」と訳の分からぬ解説。理路整然と話を並べ立てるよりこの方が定岡らしい?

最近のプロ野球はスポンサーがやたらと多く試合後のベンチ裏は景品が山積みされている。勝利投手や猛打賞なら話は簡単だが例えば併殺を1つ完成させると金5千円也が進呈されるのだが、これが厄介だった。6月22日・23日のロッテ戦は3併殺で計1万5千円がチャリン!問題はこれをどう分配するかで喧々諤々。「やっぱり併殺プレーに関与した野手で分けるべき」「いや併殺打を打たせたバッテリーに」「悪送球に備えてバックアップに走る者にも」などなど。結局は永山マネージャーが預かって後日、選手会で決めるとし一件落着した。

ハムはもう食べ飽きた?プロ2年目の昨季から日ハム戦は負けなしの5連勝中だった藤本修投手。6月2日の対戦で初めて負けたが " ハムキラー " の称号は揺るがないと思われたが6月20日の試合でその看板もぐらつき始めた。「カーブが全然ダメでストライクが取れませんでした(藤本)」仕方なく直球主体の投球を余儀なくされたが、一本調子の投球には滅法強い日ハム打線に捕まり初回5失点。結局、3回 2/3 イニング・6失点KO。愛称が " ニャンコ " だけにハムは大好物の筈がどうしたのか?「奴はカーブが決まらないと一・ニ・三で投げるただの投手。悪いなりの投球はまだ無理」と河村投手コーチはバッサリ。

チームきってのカーキチは山内和投手。いま乗っているソアラはフルチューンアップでタイヤも高価な代物。「そろそろ買い換えようかなと。次は外車がいいっスね」と。そんな山内が入団1年目に実家のある静岡から大阪の合宿所まで乗りつけたのが大型の国産車。トラック野郎ばりに内装は派手で、床には絨毯が敷き詰められていた。取材する記者に冗談ではなく本気で「車に乗る時は靴を脱いで下さい」と言うくらいカーキチの山内が昔から憧れているのがドイツの高級車・BMW。次の車が国産車かBMWかは今季の頑張り次第?


低迷の原因は投手力でも打力でもない。活きのいいリーダー不在が元凶
南海の弱点は投手?打線?守り?はたまた首脳陣?挙げればキリがない。昨季まで7年連続Bクラスの原因をひと口で言い表すのは無理。そこで今回は日頃あまり指摘されない事を紹介しよう。「ウチはなぁ、守勢になると弱いんや」と穴吹監督が言っていた。「勝っている時はよく声も出るんだが劣勢になると、とたんにシュンとしてしまう。元気がいいのはワシ(穴吹監督)と広報部長(永井氏)とマネージャー(永山氏)だけや。もっとベンチをワッと盛り上げる奴がおらんかなぁ」とチームの先頭に立って牽引するチームリーダー不在を嘆いた。なるほど試合中のベンチを観察すると監督らが絶えず大声を張り上げている傍らで選手はジッと戦況を見つめているだけだ。

昔の南海には口うるさい連中が数多くいた。例えば森下(現解説者)は三塁を守っている最中も1球毎に大声を張り上げていた。終盤に入ってリードされていると誰かれとなく「さぁ行こうか!」と声をかけ反撃に出た。今はそんな掛け声を発する選手は見当たらない。「なるべく声を出すようにしているんですが…。ウチの選手は大人しいんですかね」と選手会長の池之上は小首を傾げる。巨人の中畑を筆頭に各チームにはムードメーカーがいる。どんなに苦境に陥ってもその選手がベンチを活気づけ暗いムードを一掃する、そんな選手が南海には必要なのだ。「南海さんはウチみたいなポッと出のチームとは違って伝統が有りスマートで都会的なチームだからお上品なのさ」と西武・広岡監督は皮肉を込めてチクリ。
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