はぶて虫のささやき

日々の出来事について、雑感を書いてます。
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(旧:はぶて日記)

読書感想文②「眼球堂の殺人」

2021-05-29 | 日記
続く3本は、いずれも風変りな建物を題材とした殺人事件ものです。

② 周木律「眼球堂の殺人」

放浪の天才数学者が主人公として、狂気の天才建築学者が建てた「眼球堂」が舞台となっているのだけど、建物を利用したトリックについては、特に言うことはない。

途中でわかったという人も多いみたいだけど、壮大な仕掛けとなっている。

ただ、それ以前の問題として、この建築学者が各界の天才たちを殺そうとしたその動機というのが、まったく理解できなかった。

この建築学者は、「建築学こそ学問の頂点に立つ」と断言しているが、確かに建築学は数学や物理学の他に芸術の才能も必要とされるので、それらの集大成とも言えるが、それは基本に数学や物理学があるから成り立つ学問であって、それらよりも上であるという理屈がわからない。

しかも「だから、他の分野の天才たちを殺す」という結論に至るようになったプロセスは、まったくもって理解不能だ。

だいたい、眼球堂に招待したのは、各分野(と言ってもごく一部)の中の天才の中から一人ずつだ。

いろんな分野に天才と呼ばれる人たちはいるだろうが、それが「その分野にたった一人しかいない」なんてことはないだろうし、呼んだのは数人だけ。

だいたい「政治の天才」って何だ?

作者が、ただただ雄弁な人物を描きたいがために、「それは政治家だ」という単細胞的な発想で設定したとしか思えない。

「精神医学の天才」というのも、よくわからないが・・・

つまり、この犯人(実際には、もう一人いるが・・・)の人物設定自体にまったく納得できないので、せっかくの大仕掛けも、どうでもよくなってきてしまう。

どうして、こんな人物設定にしたんだろうか。

主人公も含めて、天才たちの主張していることが難しすぎてついていけない、というのも難点だと思う。

とても残念な作品でした。

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