老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

釜はじめ  「 1 」

2016-01-07 23:13:22 | 俳句
 ラジオで偶然聞く。
宇多津の塩田で釜はじめの神事があると。
お天気も良いことだし、吟行にでもと出かけた。       

        

      🐢    寒晴れや塩田に筋目くつきりと   葉       

  わしは讃岐の宇多津の浜師
  雨は降るなよ 子持ちが泣くよ 
  塩田浜師の俺も泣く

(浜ひき唄) として こんな文言の唄が残っている。
宇多津の臨界公園から、見えるのは瀬戸大橋である。
今は、超近代の橋が瀬戸内海に架り、四国と本州を結んでいる。

その昔、宇多津は三百年の歴史を誇る日本一の「塩の町」であった。
宇多津町の海岸線は塩田に埋めつくされていた。

         

 しかし技術の進歩により 昭和46年、塩田をまったく必要としない化学制塩法であるイオン交換膜法の製造がはじまる。
昭和47年の塩田及び製塩業の全面的廃止。
広大な塩田跡地は後に瀬戸大橋プロゼェクトに開発された。

       

浜は照れ照れ 浜子は走れ 日長一日 走れ走れ

江戸時代初期に開発された 入浜式塩田で働く姿の屏風絵。

          

現在の浜の釜屋。
今日は昔のように、釜屋から煙がたち上っていた。
再現された釜屋は昔のような茅葺屋根である。

       🍒   人日や釜屋ひねもす煙立つ



海からポンプで汲み上げた海水を数人の作業員が浜に撒いている。
一日に2~4回、 この作業を3日~4日間続けると塩が砂につく。塩分が濃くなる。
昔はこう云う仕事をしている方を浜子と呼んだそうである。
       
       🍒   寒に入る明日も晴れよと浜子かな

       🍒   寒凪や巨船見る見る橋潜る

       🍒   浜かける母と子凧揚げ日和かな

       🍒   冬日濃し浜子の影と塩の影

       🍒   寒風やじんじんと泣く指の先

   


          




    

           


         
         
コメント
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