老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

心の師の句 つるうめもどき

2016-12-02 12:53:56 | 俳句
         ☆    うめもどき蔓うめもどきうめもどき    武田秀喜

          

散歩をしていて見つけた蔓梅擬の紅い実。
葉が枯れていて、辺りには蜘蛛の巣があって余り近くまでは寄れなかった。
場所が悪いということ。

梅擬はモチノキ科の落葉低木である。紅い実に視線がゆく。
葉が梅に似ているが (非なるもの)という意味である。
六月ころ、葉の付け根に3、4ミリの淡い紫の花がかたまって咲く。
白梅擬もあり、花も実も白い。

蔓梅擬はニシキギ科の落葉低木で、幹は蔓になっていて他の木の幹に絡んだりその返を這いまわっていたりする。大さも実の色も梅擬とそっくりである。

秀喜さんのこの句の ウメモドキ のリフレインが良く効いていて 舌にころがすと紅い実が踊りだしそうである。
歳時記に載っているどの句よりも、私は愛誦をしている。
彼はもう亡くなっていない。
彼の残したブログは今も読み続けている。

     ☆    栄もなく林窶るるつるもどき    篠原悌二朗

紅い実だけでなく全体像を詠うとこのような句に。
林の中を草むらを我が居る場所をさ迷っている蔓の先がねぐらを探しているような落ち着きのなさをを感じるのかな。

     ☆    蔓もどき情はもつれ易きかな    高浜虚子

     ☆    墓に入る径のつづきのつるもどき    木附沢麦青

     ☆    娘を一人なしてはかなし蔓もどき    渡辺純枝    

なんとも淋しい句ばかりである。表舞台に出られない実であろうが誰かが詠んだ句のイメージがどうも先行をしている感がしてならない。



「壺中日月」
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コメント
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