今年2009=平成21年の正月三が日も過ぎました。各地帰省地よりは、都市部への交通混雑が生じている所もある様ですが、大過なきをお祈りします。お陰様で、拙方のそれは穏やかな内に過ごす事ができました。
その一方で、世界経済は昨秋より低迷しています。これについて、全国紙Y新聞の昨日の社説を引用しながら、少し見て参りたく思います。
「急変する世界 カギ握る米国経済の再生 深刻な世界同時不況の中で」
米国発の金融危機の直撃を受けた世界経済は、急坂を転げ落ちるように悪化している。
2009=平成21年も、厳しい試練の時が続くのは避けられまい。
昨年は米国、欧州、日本の先進国が景気後退局面に入り、中国、インドなど新興4か国の景気も急減速した。
国際通貨基金IMFの予想では、今年は景気が一段と落ち込み、世界全体で実質2%程度の成長にとどまる。日米欧がそろってマイナス成長に陥るのは戦後初めてだ。中国も2年連続で1ケタ成長となる見通しである。
先進国経済が低迷しても、新興国の高成長が補うという「デカップリング(非連動)論」はもろくも崩れた。牽引役が不在で、世界経済は同時不況から抜け出す道筋が見えない。
世界経済は、いつになったら回復するのか。楽観的な見方でも2010=平成22年半ば以降とされる。
カギを握るのは米国経済だ。
米国では住宅市況の悪化が続き、失業が急増している。国内総生産GDPの7割を占める個人消費も冷え込んだままだ。
こうした状況を受け、米連邦準備制度理事会FRBは昨年末、ゼロ金利政策を導入した。長期国債などを買い入れる量的緩和政策にも踏み込んだ。
「米の大規模な財政出動」
異例の危機対応を取ることで景気悪化を食い止め、デフレを阻止する決意を示した。しかし、FRBの金融政策だけでは不十分だ。連邦政府の財政政策と連携した両面作戦が重要になる。
今月20日に就任するB・オバマ次期大統領は、道路や橋の補修などの公共投資と、減税を柱にした$8000億=約\72兆超の大型景気対策を実施する考えだ。雇用対策では、2年間で300万人の雇用創出を目標に掲げる。
同次期大統領は、F・ルーズベルト元大統領が1930年代の大恐慌時に実施したニュー・ディール政策を意識しているとされる。米国経済を再生させることができるか、就任早々その手腕が問われることになろう。
同次期大統領が最初に直面するのは、米自動車大手3社、ビッグ3の再建問題だ。
ブッシュ現大統領は、GMとクライスラーへの巨額のつなぎ融資を決め、当面の経営破綻を回避した。
両社は3月末までにリストラ策を提出するが、それが不十分であれば連邦破産法による破綻処理の可能性が出てくる。
実際に破綻すれば、世界の金融市場や景気に及ぼす影響は甚大だ。オバマ次期政権は極めて難しい判断を迫られよう。
自動車業界への支援を含む金融危機対策と、大型の景気対策により、2009年度の米財政赤字は$1兆超に膨らむ見通しだ。これも米国経済に重しとなってのしかかることになる。
世界経済を立て直すには、主要国が米国と連携を強め、迅速に行動することが肝要だ。
すでに欧州、日本や、中国などの新興国が財政・金融政策の発動で足並みをそろえつつある。昨秋に開かれた世界20か国&地域G20の金融サミットの合意に沿ったものだ。
4月に英国で開催される第2回金融サミットでは、国際的に活動する金融機関の規制強化など、より具体的な成果が求められる。
ドル基軸体制の在り方も焦点の一つになろう。米国の財政赤字の急拡大で、ドルの信認が揺らぐとの見方が強まっているからだ。
しかし、ドルに代わる通貨が見当たらないのが現実だ。誕生から10年を迎えた欧州単一通貨ユーロも存在感を増したが、ドルほどの力はない。サミットでは、ドルをいかに支えるかが焦点となるのではないか。
「保護主義の台頭を防げ」
世界経済が動揺するなか、保護貿易主義の高まりが要警戒段階に入ってきた。
米国政府によるビッグ3救済に対抗するかのように、ロシアが自動車輸入関税を引き上げ、欧州や中国なども自動車業界の支援に乗り出した。このままでは、自国産業の保護合戦に発展しかねないとの懸念もある。
こうした時こそ必要なのが、自由貿易の促進だ。世界貿易機関WTOの新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は、日米欧と途上国の対立が解けず、目標だった昨年末の大枠合意を達成することができなかった。
大恐慌は、世界各国が保護主義に走ったために、事態が深刻化した苦い教訓がある。
各国は、新ラウンドの早期合意を目指すべきだ。日本も率先して責任を果たさねばならない。
この文面より、米合衆国の経済情勢の凄惨さが伝わって来る様な気がします。中でも自動車大手3社の不振は世界的に見ても好ましいものではありません。経済性、環境適応性に優れた小型車の開発を怠り、利幅優先の大型高級路線に頼りきった結果でしょうが、同時に同国の自動車労働組合の、厳しい情勢への無理解も指摘されています。
合衆国メーカーの自動車製造コストは我国のそれを明らかに上回り、特に労務コストに引き下げ余地があるとされます。労組の理解協力をいかに取り付けて費用を下げ、同時に時代に合った新車開発を行えるかが同国メーカー再建の重要なポイントでしょう。
次に、大幅な利食い目的での投資で悪名高い所謂ヘッジ・ファンドを初めとする国際金融機関への活動規制も急務でしょう。
市場経済それ自体は良いが、他国の経済混乱をもたらす様な野放図な国際金融のあり方は何らかの規制をされるべき、とは欧米の著名な有識者各位のご指摘でもあり、先進国以外の利益をも考えると、早急な対応を願いたい所です。
最後に保護貿易主義の風潮・・・これは是非その火を消し止めたい所。
特にロシアのそれは、歴史的に見ても露骨な姿勢が目立つ様で、国際社会によって糾されるべきだと思います。
一つ間違えば戦争にも繋がりかねず、平和路線・そして国際協調路線を掲げる我国は、こうした動きを注視して方策を打ち出す必要がありますね。又、事ある毎に平和とか反戦を口にする空想主義勢力は、少しは現実の社会経済の事共を学習し、地に足をつけた主張をしなければ、いつまで経っても国民的理解を得る事は不可能でしょう。
今この時にも、収入や住居の事で困窮していらす各位は少なくありません。確かに、安易に非正規の道を選んだ向きもあるのは事実ですが、多くの真面目に生きている困窮者各位の事も考え、我々自身をも含めた適切な対応が求められる所だと思います。*(日本)*