先日崩御の、エリザベス英女王には 改めての弔意を申したい。「君臨すれど統治せず」の大切さは分かるも、我皇室を含む各国王室や首脳との文化的繋がりは深く、一方で 平和外交の教科書の様な存在であらせられたと思う。これから暫く 首都ロンドンにて英国民各位他の弔問を受けた後、現地 9/19の国葬に臨まれる由。我国からは天皇・皇后両陛下が参列される予定。お揃いの外国行程は初めてとかで、帰国までのつつがなきを祈念したい。
本題です。対話を重んじる平和外交の一方、その後ろ盾ともいえる 防衛力増強と質的深化は重い命題たるは、 多くが認める所だろう。我国行政「縦割りの弊害」は各分野で指摘される所だが、防衛分野のそれも改善への取り組みを促されている様だ。昨今いよいよ強く囁かれる 台湾有事の可能性を踏まえ、各省庁連携の必要性も強まっている様だ。以下 今日の日本経済新聞ネット記事を引用して、みて参りたい。
「省庁横断で『国防関係予算』政府検討、台湾有事に備え」
[この記事のポイント]
◦ 政府は 2023(令和 5)年度から省庁全体で安全保障関係費の予算枠を作る
◦ 台湾有事などに備えた防衛力強化の取り組み、米国の要求にも応える
◦ 港湾やサイバー関連など想定、欧米型の国防費の作り方に近づける
政府は 2023(令和 5)年度から 各府省庁の安全保障に関係する費用を合算する「国防関係予算」の枠組みをつくる検討に入った。防衛省以外が所管するインフラ整備や 宇宙・サイバーの関連費、科学技術研究費といった項目の参入を念頭に置く。台湾有事などで想定される事態に 省庁横断で備える体制にする。
日本は中国(大陸)やロシア、北朝鮮に囲まれ 安保環境の厳しさかせ増す。米国からも防衛費の強化を求められている。防衛装備の整備に偏りがちだった予算を 国防ら関する概念を広くとる米欧型に近づけ、縦割りを排した省庁横断の仕組みで安保政策の実効性を高める。
日本の防衛費は 防衛省が所管する予算を指し、他省庁の費用を含まない。1976(昭和 51)年に国民総生産(GNP)比 1%を超えないと閣議決定し、米欧よりも狭い範囲にとどめてきた経緯がある。1987(同 62)年度予算で制限を撤廃した後も変わっていない。
台湾有事では 民間の空港・港湾を自衛隊や米軍が使う可能性がある。邦人退避の拠点としても活用し得る。こうした重要インフラを整備する予算は 国土交通省の公共事業費などでまかなうが、安保とは関係が薄い扱だ。
現代戦で不可欠なドローンやサイバーは 軍民両用(デュアルユース)技術として研究を支援する必要がある。経済産業省や内閣府が持つ助成予算も 安保に結びつくことは少ない。政府は新たな予算枠を通して 全府省庁が防衛力強化に取り組みやすくなると期待する。
岸田文雄首相は 5月、バイデン米大統領に 防衛費の「相当な増額」を約束した。自民党は 5年以内に国内総生産(GDP) 比 2%以上も念頭に増やすよう要求する。2022(令和 4)年度当初予算は GDP比 1%の 5.4 兆円で、2%にするには 単純計算で年に 1兆円ずつ増やさなければならない。
政府内には防衛省単独の予算を積み上げるよりも 他省庁の経費も含めて計算した方が予算傍聴を防げるとの狙いがある。一方で自民党には 枠組みを他省庁に広げると防衛省の必要予算が抑制されかねないとの懸念がある。
各省庁が 安保名目なら予算を確保できると便乗した要求をする恐れもある。政府は 年末に国家安保戦略などを改定するのに併せ、国防関係予算の項目と位置づけるにふさわしい範囲を詰める。インフラや科学技術研究のほか 海上保安庁の経費などを入れる案がある。
米欧は 安保関係の予算に幅広い項目を入れている。米国の国防予算は 国防総省が計上する経費以外にエネルギー省の核兵器関連費などを含む。このうち 軍の運用に直接関係しにくい研究開発費の割合が 15%に上る。
北大西洋条約機構(NATO) は 沿岸警備隊や国連平和維持活動(PKO) 関係費を国防費と定める。日本は 海保は国交省、PKOは外務省や内閣府の予算で 防衛費に入れていない。政府は 9月下旬に初会合を開く防衛費増や財源に関する有識者会議で 新たな予算枠組みについて議論する方針だ。安保に関わる項目を洗い出し、所轄省庁では変えないまま関係予算を足し合わせる方法を検討する。(引用ここまで)
我国の 特に霞が関各省庁は、特に横の連携の悪さが指摘されてきた。特にこの 21世紀、そして令和の世に 昭和期の「平時脳だけ思考」では対応できなくなるのは当然だろう。今回の引用記事で 改善への強い姿勢は分かったが、今秋以降の実行度合で その信頼性が試される事だろう。勿論実行のハードルは高いと申さざるを得ない。利害を伴なう 関係各省庁間の摩擦もそれなりだろうし、科学技術の民間との共有は 防衛利用を良しとしない日本学術会議の反発や妨害も予想される所だ。しかし事は緊急を要する様になりつつあるのではないか。
台湾危機との向き合いは、あらゆるマイナスの可能性を排除せず受け止める事だろう。各省庁がどれだけ危機感を共有できるかで、この防衛予算の省庁横断化成否が決まるだろう。引き続き政府の影響下に置く事が決まった 日本学術会議の協力を促す努力も勿論必要で、その為に反戦的な特定野党の影響力を排除する心がけも必要ではないか。南方の台湾危機対応に留まらず、かねて指摘される 北方の対露脅威も引き続き重視を願いたい。拙者がこれからも主張し続ける JR函館本線南部の、貨物便向け存続も その一環のつもりだ。今回画像は 先日 JR名古屋駅にて見かけた 三重県下の石油基地へ製品積み込みに向かう、長野県下からの中央線燃料列車編成の様子を。