コナサン、ミンバンワ!とうとう今年2006=平成18年も8月へと突入してしまった。
梅雨明けとは言え、今の所は曇り勝ちで凌ぎ易い空模様だが、これもいつ猛暑に吹き飛ばされるか解らない。夜は不快な熱帯夜、更に昼夜を分かたぬ蝉の大合唱にて当地の酷暑は最高潮となる。と言う所で梅雨限定のはずだったアホ読み物、今度と言う今度こそは締めくくりとしたい。勿論「感動の最終回」とは到底参らないが・・・苦笑。
統一軍「桃ヶ島軍」発足式の乱痴気騒ぎより数日後の晴れた早朝、2名の武士が陣地を見回る。志願して夜番に回った偽!桃太郎と、彼の誘いにすぐ応じ、これも夜番の赤鬼であった。赤鬼は先般の戦闘での「名誉の負傷」もあって、地位は偽!桃太郎に次ぐ副頭領に推挙されている。
偽!桃「例の怪物、ただ者やない。抜本的に防御を見直さんなあかん。夜番を2名態勢にしたのもそのせいや。」
赤鬼「桃殿のお言葉通りやね。今まで夜番1名で何事もなかったのが奇跡かもね。それでは深夜の見回りもできんしなあ。」
偽!桃「そう言う事や。2名おれば見回れるし、何かあれば手分けしての行動もできるからな。」そう言いながら「ブウゥ~ッ」と得意の?船の霧笛の様な放屁一発!
「叶わん!」と嘆きながらも赤鬼は「ひょっとすると、怪物に一番利くのは、桃殿の屁かも知れん」とふと思ったりした。そして・・・。
赤鬼「余談は承知やが、これに関してはエテ殿と青どんは、ちと組み合わせん方が良い・・・かな?苦笑。」
偽!桃「ハハ・・・やっぱりそのご心配か。解るな。あの2名は夜放っておくと、何をするやら・・・心配。」
赤鬼「先日の発足式も、その後の2次会であろう事か、親御様の2階間にノートPCを持ち込み、変な番組にてひとしきり盛り上がっておりましたな。」
偽!桃「そうか、やっぱり・・・やると思ったんだ。」
赤鬼「例の迷台詞<死ぬまでやるぞ!>も飛び出してたし、青どんは酔った勢いで<エテ殿は、あの発射液が天井まで届いた事ござるか?>などとつまらぬ挑発をしておりましたぞ!」
偽!桃「青殿もそちら方面は好きやからなあ~。話をちと聞いたが、エテ公を遥かに上回る情報量だな。ただ、既婚女性を標的にするのはやめた方がええ。危険過ぎるで。」
赤鬼「ああ、仰る通り。折に良く注意しておきましょうぞ。」
かなり品性不良な雑談をしつつ、2名は蠅と便所虫が群舞する本陣の残飯置場に差し掛かった・・・その時。
偽!桃「ん・・・誰かいるな。」
赤鬼「どうも雉殿みたいに見えるね。早番は解るが、まだ時間があり過ぎる。」 更に近づく。やはり雉だった。
偽!桃「雉助お早う。ひょっとして、漁る病でも出たんか?」
雉「あ、これはお舘、そして赤殿、お早うです。いや何、残飯の様子を眺めてただけでさあ。」
赤鬼「うーん、どうも怪しい。ちと質問を・・・これ!」 雉「米!」 赤鬼「これ!」 雉「味噌!」 赤鬼「これ!」 雉「醤油!」 赤鬼「これ!」 雉「胡麻!」 赤鬼「これ!」 雉「やめて!」
偽!桃「雉助。その<やめて!>は何だよ?」
雉「これは・・・つまり個人秘密であります!」
赤鬼(見かねて)「桃殿、ここはまあ、グレイ・ゾーンにて幕引きとしますか。」
偽!桃「まあ、仕様がねえなー。しかしよ雉助。あの挙動では残飯漁りと思われても仕方ないど~!」
雉「いやー、どうも恐れ入ります。」(・・・って事は、本当に漁っていたと言う事だ)。
釈然とせず、2名は本陣の建物へと近づく。すると今度は・・・「右や左の旦那様~!」と詩吟の様な大声が!
偽!桃「ワン公も負けずにバカやりよって!又ぞろ乞食根性が露出しとるわ~!」
赤鬼「やれやれ、どっちも持病・・・か。小物や若衆の教育にも悪影響やな、これは・・・。」
雉も加わって3名、客間に入る。そして・・・。
偽!桃「各位、早くからようこそ。我が部下が失礼に及び、大変申し訳ありませなんだ!」
そして乞食行為に及ぼうとしていた犬を呼びつけて一喝!
偽!桃「朝も早よから、お客に向かって何さらしとんじゃ!このタコ!」
犬「お舘、大変申し訳ありませなんだ!現場を見られた以上、弁解は致しませぬ。」
赤鬼「ワン殿。ああ言うのを恥と言うのです。以後心せられよ!」
犬「副頭領殿も恐れ入ってございます!」
雉「貴様やっぱり、乞食してるじゃんか~?」
犬「雉助にも見られたか~・・・。今度ばかりは言い訳できんわ~!」平身低頭の犬であった。
そして・・・あ~あ、真打登場である。朝食準備に勤しむ義理の両親の邪魔にならぬ様、犬と雉を加えた4名は母屋の2階へと向かった。そこは折々、作戦司令室を締め出された猿と青鬼が新しい遊び場にしている場所だった。んでもって状況は・・・。
4名「なる程、上には上があるわな~・・・。」最早二の句も継げない有様である。
変な雑誌や写真などが盛大に散らかったその部屋で、猿と青鬼は折り重なって居眠っていた。下半身ははだけ、PCの画面は猥褻番組がセットされたまま。粗相の跡は天井にまで達し、噂の信憑性を裏付けていた。
偽!桃「ホンマにこいつら、常識とか理性とかが全く通じんのやな・・・困った!」
赤鬼「これから大戦(おおいくさ)があるかも知れんこの期に及んで、全く自覚しとらんのと違いますか?」
犬と雉「こいつらの取り得は嘘のない事だけ。後は全部あかんわ~!」
赤鬼「そうは言っても、自慰死させる訳にも行かんし~・・・泣。」
偽!桃「赤殿、泣くな。俺には自信がある。まあ、ここは1つ深呼吸して希望を持とうぞ。バカと鋏は使い様・・・なんてな!笑。」
赤鬼「ハハ、それもそうだ。ま、修羅場を見てこそ奮起ってのも良くありますし。」
犬と雉「ならば我々も前向きに捉えやしょう。こらエテ公、起きて片付けんかい、この~!」
赤鬼「それに、へたるまで付き合う青どんも不見識やぞ~!」
蹴りを入れられた猿と青鬼、ようやく起き上がってゆるりと片付け開始。それを義理の両親が見に来る。
義父「一同お早う。やれやれ、又やりやがったな。目途がつくまで朝食はないぞ~!」
義母「お早う。ホント・・・仕方がないね~。待ってるから片付けはちゃんとする様に!」
一同「心得ました!」 まるで小学生の合宿である。
「さて、この軍勢をまとめて、又新たな敵に立ち向かわねばならぬ。いやいや、頭の痛い事だわい。」と片付けに加勢しつつ偽!桃太郎と赤鬼は、かように思うのであった。