各位お早うございます。2007=平成19年6月の最終日。又もや梅雨時とは思えぬ晴天の朝である。明日一杯降雨は望みなし。週明けより梅雨空が戻る様だが、特に山間には程ほどの雨を望みたい。水害も困りものだが、その逆の渇水も又心外だからだ。
さて場面は変わる。山陰の日本海側、夜の境港での会合を終えた今回の読物の変な連中、一応解散と相成って、若蟹が偽!大黒を先導して母蟹の許へと帰って来た所から。
若蟹「母さん、遅くに悪い。只今戻りました。大黒様もお越し下さいましたよ。」
母蟹「ああお帰り。ご苦労様。」 若蟹への返事もそこそこに「これは大国主命様!お越し有難うございます。」
偽!大黒「蟹さん遅くに悪いなあ。まあお構いなく。具合は良いの?」
母蟹「ええ、おかげ様で。鋏は諦めましたが、視力の方は少し戻った様な気がします。」
偽!大黒「そいつは良かった!くれぐれも大事にね。」
若蟹「俺、ちょっと大黒様と話があるんで、座敷借りるね。」
母蟹「それは良いけど。本当にお茶だけで良いんだね。」
若蟹「良いですよ。母さんも無理しちゃいかんし。夜も遅いしね。」
母蟹「じゃ、そう言う事で。後で私も入って良いかい?」
偽!大黒「勿論!母上にも加わって頂きます。そいじゃ俺達でとりあえず始めよか。」
若蟹「はい。お願いします。本題に入って良いですか?」
偽!大黒「ああ、そうしろよ。もう深夜やし、お互い早く終わらせた方がええやろ?」
若蟹「では申し上げます。実は先週辺りから、当家の周りで不審な気配がするんです。屋根に上ってる様な節もありますね。」
偽!大黒「なるほど。そんな事やろうと思った。あのエテ公が、この家の様子を偵察に来てる可能性大と言う事や。」
程なく茶菓が出て、母蟹も会話に加わる。
偽!大黒「なあ蟹さん。特に夜やがこの辺の住民で見回りってやってるかい?」
母蟹「はい。皆必要は感じてる様ですが、何しろ各々忙しいものですから毎晩、と言う訳にも参らない様でして・・・。」
偽!大黒「そうか。現代社会の悩みの内かな。忙しいのは解るが、半分は言い訳って面もあるんだよね。こいつは一度、俺がこの辺の首長と掛け合って、毎晩見回りができる様にせなあかんなー。」
その時だった。蟹家の屋根に、何かが走る様な大音響が響いたのは。
偽!大黒(表へ飛び出しながら)「出て来やがったな糞猿め!待たんかいおんどれェ~!」若蟹も続く。ウキキキ~!と言う悲鳴の様な声が、猿の仕業である事を雄弁に物語っていた。
偽!大黒「畜生!逃げ足の速い奴や。しかし若。お前の報告の証拠を一発で摑めた事は収穫やったぞ。」
親子蟹「有難うございます。お疲れ様でした。今夜は残念やったけど、次こそ・・・ですね。」
偽!大黒「その通りや。捕捉成功なら船で待っとる供の者を呼ぶつもりやったが、又今度やな。実は今夜遅くに訪ねたのは、ひょっとするとエテ公が来るかも知れんと踏んでの事やったんや。」
若蟹「なるほどねー。ちょっと前から気配はあったけど、これではっきりしました。」
偽!大黒「若よ。もう少し時間良いか?もし、ウサ公がまだ起きてたらちと呼ぶわ。」
若蟹「良いでしょう。」それを聞いた偽!大黒は携帯を取り出した。「俺だ。起きとるか?わざわざ出て来るのも何だから、電話で話そや。」
兎「お疲れ様です。良いですよ。若ちゃんとも話せますか?」
偽!大黒「ああ、勿論。ちと前からの若んちの物音な。あれやっぱりエテ公やったわ。」
兎「・・・だろうと思いました。これは警戒を強める必要がありますね。」
偽!大黒「それでな。今夜はもう遅いから、続きは明日言う事にしよや。良いか?」
兎「僕は良いですよ。後は若ちゃん達次第ですが。」
偽!大黒「若。お前明晩ええか?」 若蟹「大丈夫ですよ。」
偽!大黒「よしゃ!それじゃ明晩って事で。亀さんと鮫どんにも宜しく伝えてくれや。」
兎「心得ました。若ちゃん一度だけお願いして良いですか?」 偽!大黒「良いよ。」
若蟹「さっきはお疲れ様です。いよいよ対策を考えなあきまへんな。」
兎「それやそれや!詳しい話は明日やけどな。今夜はとりあえずこれで。」
若蟹「有難うございます。お休みです。」 兎「お休み!又明日。大黒様に宜しく。」
偽!大黒「では邪魔したな。供の者も来た様だ。今夜はこれにてー。」
親子蟹「お疲れ様でした。又明晩宜しくお願いします。」今度こそひとまず解散・・・だ。
以下次回。本稿はフィクションです。