旅行作家・兼高かおるさんが逝去された。拙学生時分には、海外の話題を絡めた TVやラジオ番組などで、少なからずお世話になり 楽しませて頂いた記憶がある。高齢とはいえ、やはり惜しいお一人を亡くした感は大きい。一言の弔意を申し上げる次第であります。
本題です。昨年末来、一週刊誌が女子大生多数に対し、徒に性的対象として意識を煽る様な記事を載せ、これに憤った若い女性各位や複数の大学から、強い反感と不興を買っている様だ。以下、昨日付の某ネット記事を引用して 見て参ろうと思う。
「多くの女性 傷つけた」=週刊SPA!特集でおわびー扶桑社
扶桑社発行「週刊SPA!」が昨年 12/25号で掲載した特集記事に関し、同社はこの 1/9 HP上で「女性の尊厳に対する配慮を欠いた稚拙な記事を掲載し、多くの女性を傷つけた」とする「おわび」のコメントを 犬飼孝司編集長と渡部 超発行人の署名で発表した。
特集は、男性が女性と親密になる方法を紹介し「ヤレる女子大生ランキング」と称した大学名入りの表も記載。インター・ネット交流サイト SNS上で「女性軽視」と批判され、大学からも抗議を受けていた。
コメントは「購読者の皆様に不快な思いをさせ、大学関係者の皆様にご迷惑をおかけしてしまったこと」を謝罪した上で「多種多様なご意見は真摯に受け止め、女性の尊厳に対する配慮を含めて今後の編集方針や誌面づくりに反映させる」としている。(引用ここまで)
「ふぅん、それで終わりかよ?一朝事あった時の 政権の内閣総辞職みたく、編集部全員で連帯責任を取るべきじゃねぇのかよ?」そう思ったのは、拙者一人ではあるまい。扶桑社といえば、保守側言論の牙城たるフジ・サンケイグループの一員である事に留意するとしても、こんな記事は許せない。通り一篇の謝罪に留まらず、読者、ひいては国民市民に分かる様、懲戒含めた厳重な関係者の処分を断行して見せるべきだろう。保守言論の面目の為にも、それ位行うのが筋ではないのか。
随分以前の事だが、随筆家で雑誌社主宰でもあった 今は故人の天野祐吉さんが某ラジオ番組にご出演の折、読書のあり様についての話題になった時の事「私は、週刊誌は読まない」旨をきっぱりと仰っていたのが、今も拙脳裏に突き刺さっている。「なる程、こりゃ一つの大きな見識だ!」と、深い感銘を受けたものだ。拙者の嫌いな質問の一つに「感動を受けた一冊の本」というのがあるが、これは読書の意味を取り違えている様に思えてならないからだ。人々に感動と感銘をもたらすのは、本ではない。人の発する 重い意味の言葉ではないのか。
少し話がそれたが、以前から週刊誌は 総じてそうした「人の言葉」を軽く扱って来た様に 拙視点からは見えて仕方がない。天野さんのお言葉は、週刊誌ジャーナリズムの そうした不良個所を鋭く抉ったものとして、拙脳裏に焼き付いたのである。それに加え、インター・ネットの発達に伴う交流手段 SNSの普及が、国民市民の週刊誌に対する見方を変えたといわれる。つまり、真に受け鵜呑みにする度合いが大きく下がったという事だ。その事実と謙虚に向き合わず、無神経な制作編集を続けた当然の結果として、週刊誌批判の言論が高まったのではないか。
ネット各社から定額制の「雑誌読み放題」サービスが提供されているのは、広く知られる所だろう。月々数百円の投資で、主要雑誌が数十から 100タイトル近く 自由に読める。一部数百円近い紙雑誌に比べ、実に1/100以下の価値下落である。こうした動きに 各誌は目玉記事の削除などで対抗している様だが、その目玉にしても 大した価値のない事が多い様だ。ネット配信のあり様そのものに斬り込まなければ価値の回復は望めない訳だが、各誌の動きからは、その様な気迫が一向に見えて来ない。
今回取り上げた扶桑社「SPA!」の失態もさる事ながら、大御所の「週刊文春」も芳しくない出方が見られる様だ。先日の TV番組で目にした事だが「読者を取材に参加させる」目的で「文春リークス」なる投稿サイトを設けたのは良いが、よくよく考えればこれは 読者による「チクリ」や「タレ込み」を奨励する様なもの。一つ間違えば、言論機関の自殺行為ともなりかねない。自らの不心得で ネット配信に追い詰められた週刊誌ジャーナリズムは博打的な制作編集手法に手を出し、増々自らを追い詰めている印象がある。
渦中の扶桑社は、来週初に 冒頭記事でダメージを被った女子大生グループとの話し合いに臨む由だが、対応を誤れば週刊「SPA!」休廃刊を視野に入れざるを得ない事態に追い込まれる可能性もあろう。そうなったとしても、拙者は事態を冷静に傍観したく思う。考えてもみられよ。今や三権に次ぐ「第四の権力」の座を滑り落ちた週刊誌の一つや二つ消失となった所で、我々国民市民の生活には何の痛痒もないのだから。今回画像は、東京都内・田町駅から臨んだ東海道・山陽新幹線列車の様子を。以下に、関連記事をリンク致します。
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/nation/toyokeizai-259284.html