浜田屋遼太

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機内食

2019-06-04 | 小さな旅

久しぶりに機内食というものを食べた。

数ある食事形式の中でも、機内食はかなり特殊である。

とにもかくにも飛行機に乗らなければならない。

駅弁なんかは、デパートの「全国駅弁祭り」などで買ってきて、家のコタツで食べてもそれなりの気分は出るが、機内食のほうはどうだろう。

「全国機内食祭り」なんてイベントがあるだろうか。

アメリカ西海岸行き、飛行時間10時間などという便に乗って1回目に出る食事は嬉しい。

ワーイ、きたきた、と嬉しい。

最初に「和食か洋食か」と聞かれける。

大いに悩んで洋食に決定するのだが、どちらを選んでも結局後悔することになる。

通路側の人が洋食で、洋食が配られる          

チラリと見て、「うんうん美味しそう、正解正解」と嬉しい。

すぐ右の人が和食で、これがなかなかのものだ          

海苔巻きがあり、蕎麦があり、厚い卵焼き、それに小さいながらもステーキ風のものもついている。

「しまった」と必ず思う。

隣のトレイの内容が実によく見えるんですね。

機内は狭いから、隣の食事があまりにも近接していてよく見える。

こんなに隣の食事内容がはっきりわかる食事はめったにない。

多少の落胆と共に我が食事にとりかかる。

こんなに食卓がお腹にくっついた食事もめったにない。

お腹にくっついているがゆえに、全食事内容を真上から見下ろすことになる。

こんなにも真上から見下ろしながらする食事もめったにない。

機内食はおびえつつする食事でもある。

飛行機は時に大きく揺れる。

揺れて蕎麦を頭からかぶることもある。

こぼさない、はずさない、倒さない(ビン類)、たらさない、ということに精力の70%を費やし、残りの30%の余力でする食事。

それが機内食なのだ。

航空会社の機内食担当は、客がシートベルトで縛りつけられて身動きできないのをいいことに、客を短時間でなんとか大きく太らせようとしている。

20㎡に10人の客では採算がとれないので、ウチの会社でのエコノミークラスは40人です。

などと養鶏場並みに詰め込んで、次から次へとエサを運んでくる。

到着前の軽食とフルーツ          

まだフライト半ばの軽食として、ハーゲンダッツのバニラアイスも登場した。

食事が終わってしばらくたつと、窓を全部閉めて機内を真っ暗にする。

すると客は一人眠り、二人眠り、ついに全員が眠りにつく。

そういう中を、スチュワーデスがゆっくりと見回っている。

スチュワーデスのおねえさんは何故かニンマリしていて、「よしよし、そうやって早く大きく太るんだよ」

なんて思っているに違いない。

コメント
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