蕎麦屋に入って、釜揚げとか鴨南ばんとかの汁ものの蕎麦を注文する。
箸をバキッと割って蕎麦を七、八本すくい上げ、二回ほどフーフーしてからズズズーッとすすりこむ。
ズズズーッしながら横目で何気なく卓上を見ると、七味唐辛子の缶が置いてある。
「オッ、そうだった、七味、七味」と七味缶が目に入った人は、迷わず缶に手を伸ばす。
そして七味をポイポイする。
七味缶さえ目に入らなければ、七味無しで食べ終えてしまうはずの人も、ひとたび七味缶が目に入ったらもうダメだ。
使わなきゃ損、というのとは少し違うような気がする。
もう本能的というか、身体が言うことをきかないというか、本人が自覚する前に手が出てしまう。
七味唐辛子は刺激が強いから、ポイポイしたとたん汁の味が変わる。
唐辛子がはっきり舌を刺す。
ポイポイしてよかったような、よくなかったような、かえって状況が悪化したような、悪化してないような、釈然としない暗い気持ちでズズズーッを続行していく人がかなり多いような気がする。
七味唐辛子をポイポイした人は、肯定したような後悔したような、満足したような不満を覚えたような複雑な心境になるのであった。
平田「そば処・喜多縁」の七味はオシャレな容器
ちなみにアタクシは、蕎麦には薬味をポイポイしない主義です。
2月3日から5日まで限定の節分そば
年越しそばは大晦日の12月31日に食べる習慣ですが、本来は年の変わり目である節分にそばを食べる文化があったそうな。
ということで超短期季節限定、春を感じさせる蕎麦を鰯や大豆、プラス稲荷寿司ならぬ稲荷蕎麦やコンニャクを頂戴し、おめでたく立春を迎えるのでした。