世に名高いラーメンライス。
ラーメンライスを実行するには何が必要か。
勇気である。
世間の誹謗、中傷、蔑みをものともしない猛勇である。
いざラーメン屋のカウンターに座って、「ラーメンライス」と声に出すのはかなりの勇気が要る。
何度かの躊躇いののち、「ラーメン‥」と言ったとしても、そのあとの「ライス」がなかなか出てこない。
黙り込んでしまって、それっきりになってしまって、結局ラーメンを食べて帰ってくるという結果になる。
「ラーメンとライス」と、「と」をつけるといくらか言いやすくなるのではないか。
そう思って、「ラーメン」まで言ってよどみ、「餃子」と言ってしまって、結局ラーメンと餃子を食べて帰ってくる、ということになる。
つまり「ライス」が言いにくいわけだから、最初に「ライス」と言ってしまう、というのはどうか。
最初に「ライス」と言ってしまったからには、もうあとには引けない。
あとはもうゆっくり落ち着いて「とラーメン」と言うばかりだ。
うまく「ライスとラーメン」と言うことができた。
ラーメンとライスが着丼 
と、これですべてがうまくいったことにはならない。
この二つの丼を横に並べて食べることになるわけだがどう並べるか。
ご飯とみそ汁の場合は、ご飯が左でみそ汁が右と決まっているが、ラーメンライスの場合はどう並べるか。
普通考えられるのは、ラーメンを左に置き、ラーメンを主体にして食べながらときどき右側のご飯も口にする、という食べ方。
確かにこの方法は食べやすいかもしれないが、日本の食の伝統という立場から考えるとこれは邪道である。
日本に於いては、お米はどこでどう出されても常に主役でなければならない。
お米の顔を立てなければならない。
たとえラーメン店であってもそれは守らなければならない。
日本の礼法を守り、伝え、教示する立場の小笠原家はこのラーメンライスの問題にどう答えるか。
一度電話でいいから聞いてみる必要があるのではないか(無視されると思うが)
いっそこうしたらどうだろう。
ライスは左手で持ったきりにする。
そうして右手はラーメン専用とする。
ときどき左手に持ったご飯を食べる。
このようにラーメンライスにまつわる話題は尽きることがない。
ラーメンライスの最大の問題は次の一言に尽きる。
そうまでしてラーメンライスを食べたいのか。