はなこのアンテナ@無知の知

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やっぱり深刻らしいカードローン問題

2017年04月16日 | はなこのMEMO
 つい最近、当ブログでも気になることとして取り上げた「カードローン問題」だが、先日、NHKの「クローズアップ現代」でも、その深刻な状況のレポートがあった。

 興味深い内容だったので、ここにメモっておこうと思う。


1.カードローンの何が問題なのか?

利用者に対する過剰融資→多重債務者、自己破産者の増加

 カードローンの金利は年利10~15%と高金利な上に、月々の支払額を一定にするリボルビング払い方式を勧める為、雪だるま式に借金が増える結果となっている。
 
 例1)50万円を年利14%、6年で返済する場合、
    総返済額は754,720円(借入額の1.5倍!)となる。
    毎月の支払額のほぼ半分は利息なので、
    返済してもなかなか借金は減らない。

 例2)離婚をきっかけに生活に困窮したAさんは年収200万円で
    複数の銀行から合計250万円を借り入れ
    (←なぜ返済能力をチェックする審査に通ってしまうのか?)
    結局7年後に返済に行き詰まり自己破産した。

 Q.なぜ、銀行は過剰融資をするのか?

 A.消費者金融業者と手を組むことで、リスクを避けつつ大きな利益を上げており、銀行にとっては正にローリスク・ハイリターンの事業だから(→消費者がどうなろうが知ったこっちゃない)
 
  [そのからくり]

 消費者金融業者は銀行に代わって消費者の貸付審査を行い、さらに銀行に対して債務保証も行い(つまり、滞納者への督促も肩代わりする)、その見返りとして銀行から手数料収入を得る。 

 銀行は手数料を支払うことで消費者金融に消費者の貸付審査を丸投げし、債務保証も得て、リスクをとることなく、消費者に融資をすることで貸付利益を上げる。

 消費者は運転免許証等の身分証明書の提示と年収の自己申告で、いとも簡単にカードローンのカードを取得することが出来る。←悪質なケースとして、銀行から保証会社の社員に対して、個別に審査を通すよう圧力がかかることもあると言う。 (→つまり本来なら返済能力に問題のある消費者が審査に通ってしまう可能性がある→やっぱり銀行にとっては消費者がどうなろうか知ったことではなく、自分達が利益を上げさえすれば良いと言うこと。)

銀行経営の不健全化

 例えば地方銀行では、地場産業の育成と言う役割を担っているにも関わらず、日銀のマイナス金利政策により悪化した収益の穴埋めとして、リスクのある企業向け融資を渋る一方で、個人向けカードローンに注力するケースが増えている。中には今やカードローンが収益の中核となっている銀行もあり、そこの若手行員はカードローンの取り扱い件数で業績が評価されると言う。

 2000年代に消費者金融業者への消費者の多重債務が社会問題化し、その解決を図るため2006年には貸金業法が改正されたが、その対象は消費者金融業者のみであった。2010年には総量規制が導入され、現在では消費者金融ローン取り扱い高は10兆円減少したのに対し、銀行のカードローンは2兆円増加している(つまり、借り入れ先が消費者金融から銀行に代わっただけ。ならば、なぜ銀行は法規制の対象外なんだろう?法律が現状に追いついていないだけなのか?それとも、監督官庁は銀行の倒産を避ける為、わざと見て見ぬフリをしているのか?)


2.この問題にどう対処すべきなのか?

 専門家も不測の出費に対応するケースも少なくない消費者ローン自体を全否定するわけではないが(利用目的としては娯楽、生活費…トラブル、教育費の順に多い。1位が娯楽と言うのが意外。そんな安易な理由で借金しているのか?娯楽の中には当然ながらギャンブルも含まれるのか?)、昨今の問題を踏まえて金融業者の在り方として、リスクを適正に審査すべきだと警鐘を鳴らす→結局将来的には、銀行の本来の在り方を貫く"地域経済に貢献できる"銀行だけが生き残れるのではないか?

 消費者救済に奔走する弁護士は、銀行カードローンに頼る前に、地域の社会福祉協議会などが窓口となっている「生活福祉資金貸付制度(←この制度の存在自体、あまり知られていないのではないか?)の利用を呼び掛けている。

 さらにカードローン問題で困った場合は弁護士会、司法書士会、消費生活センターへ相談して欲しいと呼び掛けた。


 今回のレポートで、アベノミクスの援護射撃としての日銀のゼロ金利政策が銀行の収益を悪化させ、銀行にカードローン事業への注力を促す結果となっていることに愕然とした(後々、「アベノミクスって一体何だったんだろうね」となりかねない雲行き…)

 風が吹けば桶屋が儲かるとばかりに、ある政策が思わぬ波及効果をもたらすことは往々にしてあるように思う。今回はどう見てもマイナスに作用した形だろう。

 銀行は「お金を儲けてナンボ」の企業なのかもしれないが、同時に社会の血液とも言えるお金を円滑に循環させる重責(使命)を担う自身の"公器としての立場"を忘れてはならないoni

 銀行はかつての金融危機で、公的資金を投入して救済されたことを忘れたのだろうか?
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