テレビを点けたら、『徹子の部屋』に裏千家15代目大宗匠、千玄室氏が出演されていました。
4月19日に100歳になられたばかりだそうですが、今も茶道家として一線で指導されているばかりでなく、ハワイ大学で教授も務められ、今年の2月にもハワイへ渡航し、講義をされたばかりだなんだとか。
コロナ禍も一段落して、来月はオーストラリア、その翌月には学生20人を引き連れて中国へ行かれる予定とかで、これまで70カ国、多い時には月に3〜4カ国を訪れ、茶道を通して世界平和の実現を訴えて来られたそうです。
その原点は、同志社大学2年次の時に学徒動員で海軍航空隊14期生として招集され、多くの戦友を特攻で失った辛い経験があったからとのこと。
「特攻では9機に1機しか成功しなかったそうですね。」と言う徹子さんの言葉に、千玄室氏は遠い昔に思いを馳せるような眼差しで「生き残り、今こうして生かされている自分には、戦争のない平和を訴える役目があるのだ」と言われます。
同期には俳優の西村晃氏もおられ、生涯の友であられたそうです(同期で戦後生き残っていたのは千玄室氏と西村晃氏のみ…残されたお二人にとってはあまりにも重い結末ですね)。
番組では国連でお茶を点てられた時の映像も紹介されました。人種も国籍も異なる人々が、皆さん笑顔でお茶を飲んでおられる姿が映し出されていました。「Smell good!」と言う声も聞こえました☺️。
「お茶の前では皆が対等」「自然共生」を旨とする千玄室氏。
100歳でありながら国内外で精力的に活動を続ける為の健康の秘訣は「規則正しい生活を送ること」。
どこにおられようが夜の8時には就寝し、翌朝の4時に起床され、80年間続けておられると言う「海軍体操」で身体の柔軟性を保ち、神仏に祈りを捧げ、お茶を点てた後に朝食を取る、と言うルーティンを長年守り続けておられるそうです。
もちろん本業のお茶の効能のアピールもお忘れになりません。
お茶🍵にはカテキンをはじめ身体に良い栄養素が豊富に含まれており、その自然で美しい色合いの緑色は心を落ち着かせ、お茶をいただくことで精神統一も図れる、と良いこと尽くめである、と☺️。そしてお茶の師匠は長命な方が多いとも。
日本では今年で100歳人口が10万人を超えると言われますが、その大半が施設に入所されていたり、寝たきり状態に近く、介護なしでは生活も難しい中、背筋を伸ばして腰掛けられる千玄室氏の、淀みのないお話しぶりとかくしゃくとしたお姿は驚異的です。
正に「超人を見た」驚き😵を持って、この記事を書いています。
【蛇足】
1世紀を生きて来られただけあって、その人脈も華麗です。
壮年期には故エリザベス女王ご夫妻の訪問も受けられ、直接お点前を披露しただけでなく、その翌年には英国の宮殿に招待され、千玄室氏はお点前を、エリザベス女王はイングリッシュ・ティーを振る舞われると言う、日英のお茶文化の交流があったとのこと。正に日本の文化を海外に伝える文化大使ですね。
さらに若き日の森光子さんが、縁あって千玄室氏のお母様の秘書を一時期務められたとかで、仕事帰りには氏自らが自転車の2人乗りで森さんをご自宅まで送り届けたほど近しい間柄であったのだとか。
私は海外駐在の頃、一時帰国休暇を終えてロンドン経由で赴任地に戻る際に、JAL機で森さんと一度乗り合わせたことがあります。
森さんはファーストクラス、私は子連れでビジネスクラス、降機途中のエスカレーターでは、たまたま森さんのひとり置いて後ろでした。
間近に見る森さんの横顔は、当時70代とは思えないシミひとつない美肌が印象的でした。
若き日に裏千家とも深い関わりがあったと言う森さん、そう言う「ご縁」を持って生まれた人だったのでしょう。
普通なら、千利休の子孫と出会うことすら、あり得ませんもの。
(了)