はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

星空を求めて

2006年01月11日 | 国内旅行(旅の記録と話題)

セガトイズ社製家庭用星空投影機(プラネタリウム)
HOMESTAR 直径約13㎝のコンパクトな球体で、
天井や壁に最大直径2.7mの星空を映し出す。


今から20年以上も昔、沖縄・慶良間諸島の渡嘉敷島で見た星空が忘れられない。
街中にある自宅から見る星空とは全然違う、まさに満天の星空に感動した。星の数の多さはもちろんのこと、星ひとつひとつの大きさもいつもより格段に大きく、そしてハッキリと見え、まるで地上にいる私に迫り来るかのような迫力があった。天の川も、薄雲のような白く細長い塊がまさに川の流れのように天空を横切っていた。

昼は透明度の高い海が私を魅了した。船上から間近に見る海は青くないのだ。ペールグリーンに近い。近代に活躍したフランスの画家マルケの描く海の色そのままに、穏やかで清澄な海の色がそこにあった。さらに日差しを浴びて水面はキラキラと輝き、その輝きの隙間からペールグリーンのカーテン越しに、海中の魚や珊瑚などの様々な色が目に飛び込んでくる。その豊かな色彩に思わず息をのんだ。
【参考画像】マルケ作《レ・サーブル・ドロンヌ》(一部)

小舟に乗り島の周囲を回遊したが、透明度の素晴らしさのあまり、手を伸ばせば底に手がすぐ届きそうな錯覚さえ覚えた。しかし実際は水深が5mや10mは下らないのだ。季節によってはホエール・ウォッチングの名所として観光客の目を楽しませている場所。その渡嘉敷島を訪ねたのは、その一度きりだ。

昼間の強い日差しを浴びて火照った肌に、夜の空気は多少ひんやりとして心地良かった。
地面に大の字になって夜空を仰ぐ。満天の星だ。渡嘉敷の豊かな自然は、昼も夜も私を感動で包んでくれた。

星空に魅せられたのは、それよりもっと昔。小学校1年生の頃、忘れもしない1969年7月20日。アポロ11号の月面着陸の様子の一部始終をテレビ中継で見て以来か。いつも見上げているあの月に、うさぎが餅つきをしているかのように見えるあの表面に人類が降り立った。そのことは幼心にも鮮烈な印象を残した。月の背後で瞬く星々にも、いつか人類は到達できるかもしれない。そんな期待で胸が膨らんだ。4年生の時には、理解できるできないは別として、学校図書館の天文学関係の書棚の本を片っ端から読んだ。それらに繰り返し登場するコペルニクスやガリレオ・ガリレイの名を心に刻みながら。それから10年近くが経っての、渡嘉敷島でのあの体験だ。かつての星空への思いが蘇ったようだった。

大学を卒業して就職した年、巷ではハレー彗星最接近の話で持ちきりだった。就職した会社がコンピュータ・メーカだったので、周囲は理系人間ばかり。中には天体望遠鏡を持っている人もいた。いつの間にか同期の男性社員3人と私とで、ハレー彗星を見に行こうという話になり、最接近というその日に、天体望遠鏡を抱えて、サンルーフ装備の車で夜遅くに東京を出発し伊豆方面へと向かった。

海岸沿いをどんどん南下するが空は曇天で、下界は人家やホテルから漏れる灯りで明るく、ハレー彗星どころか星空も拝めない。熱海辺りまで来て、結局諦めて引き返すことに
なった。ちょっと残念な結果には終わったが、皆でハレー彗星を求めてひたすら車を走らせたあのワクワク感は忘れられない思い出だ。

本物の星空は、いまだあの渡嘉敷島を越えるものに出会っていない。あの星空を求めて、
八ヶ岳にも立山にも行った。しかし残念ながら何れも天候に恵まれなかった。プラネタリウムはいまだ再会できぬあの星空の代用品とも言える。夫との初デートの場所もあの、渋谷の五島プラネタリウムだった。程よくリクライニングしたイスの背にもたれ、半球形の天井を仰ぐ。心地よい音楽と、ゆったりとしたナレーション。夢見心地に天体ショーを眺めた。その思い出の五島プラネタリウムも、残念ながらなくなってしまった。


HOMESTAR利用の様子(イメージ図)
詳しくは⇒セガトイズ社HOMESTAR

しかし世の中はよくしたもので、昨年秋には家庭用としては画期的な従来の業務用プラネタリウムに匹敵する数、1万個!の星を投影できるプラネタリウムが登場した。写真のHOMESTARである。これは驚異の500万個の星を投影可能な、「世界で最も先進的なプラネタリウム」とギネスにも認定された「メガスターⅡコスモス」の開発者大平貴之氏とセガトイ社の共同開発で生まれた商品だ。電器量販店で2万円前後で販売されている。私は夫にせがんで買ってもらった。あの渡嘉敷島の星空には遠く及ばないが、自宅から見上げる夜空よりは格段に美しいその星空を、時々リビングの天井に投影して楽しんでいる。もちろん、またいつか、あの時見たような本物の満天の星空を見てみたい。
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