はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

もうひとつの再会

2008年04月04日 | 日々のよしなしごと

国立西洋美術館前庭に咲く桜 ひとつの木に色違いの花

 今日は美大時代の友人と卒業以来の再会。彼女が18、9歳の時から知っていることになるが、10年近く経っても全然変わっていないのにはビックリ!本人は「一応、はなこさんに会わない間に10㎏くらいの体重の増減はありました」と言うけれど…。ものの見事に、髪の長さ、スタイルまで変わっていない。でも、カワイイから許す(笑)。
 彼女は神奈川県西部在住で、滅多に東京には出て来ないらしい。せっかくだから展覧会のハシゴをしようと、上野の国立西洋美術館で待ち合わせ「ヴィーナス展」を見て、駅最寄りのバンブーガーデンビルの韓国料理店「土古里(とこり)」で昼食後、地下鉄で移動して乃木坂の国立新美術館で「モディリアーニ展」を見て来た。

ティツィアーノ《ウルビーノのヴィーナス》
評判に違わぬ美女です。もちろん実物の方がこの画像より断然美しい。

 国立西洋美術館では常設展も見学。私が知る限りの作品解説をした。卒業後彼女は美術教師を目指すも狭き門で、現在は神奈川県内の中学校や高校で臨任教師をしているが、現在の職場環境では美術について語り合う機会が殆どないと言う。「久しぶりに美術の話ができて、とても嬉しい」と彼女は手放しで喜んでくれた。また、生徒達への鑑賞教育に役立ちそうな本があれば紹介して欲しいと言われたので、私が最近気に入って参考にしている本を薦めたら、彼女は美術館の売店で即決で買い求めたのだった。

 教師は自律することが難しい職業だと思う。着任した時から「先生」と尊称で呼ばれる。たとえ人生経験の浅い大学卒業したての若者であっても。下手すると、ずっと人に頭を下げる機会もなく社会人経験を積むことになるのではないか?また、一般企業ほど上下関係は明確でなく、教師ひとりひとりが独立自営な意識を持っているらしい。だから例えば教科指導能力について他の教師があれこれ言及することもない。これは一般企業勤務を経て教師になった別の友人から聞いた話である。よほどの強い精神力がなければ、謙虚さを保ち、自らを客観視し、向上心を持ち続けることは困難なのではないか?

 同様のことを今日再会した友人も危惧していた。長年の教師生活のうちに初期の高い志を失ってしまった人を、経験の浅い彼女でさえ数多く見てしまっている。教師という職業に失望して去った若手も少なくないらしい。「そういう人の諦念に惑わされずに、高い志を持った人の後について行けば大丈夫だよ。あなたはこれからの人なんだから」と私は彼女を励ました。教師を取り巻く状況には厳しいものがあるのかもしれないが(と言うより職業全般において働き手に厳しい状況で、多くの人が疲弊していると言えるだろうか?) 、後に続く若い教師の為にも、中堅、ベテラン教師達には踏ん張って欲しいと思う(特に自らの”引き出し”を増やす努力を忘れないで欲しい) 。

 私は私で、友人の若く伸びやかな感性と素直な心持ちに、元気を貰ったような気がした。次回の展覧会での再会を約束して、私たちは別れたのだった。

 今日の上野は葉桜が大分目立つようになっていた。花の盛りの過ぎ行くのを惜しむかのような桜吹雪が公園のそこここで見られ美しかった。陽気に誘われて、相変わらず人波は途切れることがない。みんな上野が好きなんだねえ…

「土古里」の石焼きビビンバ。1000円以下でお腹いっぱいになります♪
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