はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

文は人なり?

2014年05月16日 | はなこのMEMO
今回企画に携わったワークショップが、なかなか好評のようで嬉しい。

美術館スタッフから適時、助言を得ながら、ボランティア4人で創り上げたプログラムである。さまざまな制約がある中での企画作業は、トライアル間際での内容の一部変更を余儀なくされたりと、実施に至るまでには困難も少なくなかった。それだけに参加者から高い評価を得たことは、企画担当者として達成感を覚えるものだし、今後の自信にも繋がるように思う。

さて、今回、共に企画に参加した2期生のAさんとは、何度もミーティングを重ねるうちに、互いの人となりが分かり親しくなった。

Aさんはひとことで言うなら「剛胆な人」だ。何より行動力があり、武勇伝に事欠かない(笑)。ご主人の度重なる出張で溜まった航空会社のマイレージを使い、単身、日本からドイツへ飛び、そこから鉄道で、生まれて初めてのパリに乗り込んだそうだ。

宿泊先のホテル周辺は何やら怪しげな雰囲気で、とても女性ひとりでは夕刻の外出もままならない場所だったらしいが、到着して初めて、そのことに気付いたらしい。治安が悪いとされるモンマルトルにも女1人で出かけ、アフリカ系の押し売りの男達に絡まれた時には、得意のイタリア語で切り返したと笑う。

聞いている方はヒヤヒヤする話である。しかし、当の彼女はいかにも楽しそうである。

彼女は努力の人でもある。父親を早くに亡くし、高校を卒業後に就職。結婚後は3人の子供を育てながら25年間勤め上げた。

子供達も成長して、さて今度は自分の為に生きる番だと、大学の通信教育学部で学び始たのを皮切りに、美術館でボランティア活動、さらにイタリア語、銅版画、書道と、多彩な活動を始める。既に数年で、銅版画は画廊でグループ展を開き、書道はコンクールに出品するまでの上達ぶりだ。イタリア語も、語学学校の斡旋で1カ月の短期留学で磨きをかけるなど、そのバイタリティには舌を巻く。

25年間、母、妻、嫁、会社員と、ひとりで何役もこなして来たことで、自ずと時間の遣り繰りも上手くなり、目前の作業への集中力も冴え、さまざまなことを同時並行に行えるようになったのだろうか?これは、長年の努力の賜物と言えるだろう。

さらに彼女には、常に柔らかな雰囲気を湛え、相手を包み込むような大らかさがある。そんな彼女の存在に、今回の企画作業でも、どれだけ助けられたことか。侃々諤々の議論の中で、彼女には一歩ひいて全体を見渡す冷静さがあり、ややもすれば険悪な雰囲気になりそうなところを、棘のない物言いで場を和ませたり…いやはや聡明な女性だと思う。

そんな彼女に、同僚ながら、私は尊敬の念を抱いている。


ジャーナリストの櫻井よしこさんの著書『迷わない。』(文春文庫、2013)を読んでいたら、ふとAさんの顔が思い浮かんだ。彼女の声が聞こえたような気がし(そう言えば、少しハスキーがかった声質も似ている)、メールの文言まで思い出された。

櫻井よしこさんの文体のリズムが、Aさんを思い起こさせるのだ。もしかしたら、櫻井さんとAさんの思考のリズムが一致しているのかもしれない、と思った。どちらも聡明と言う点では一致している。

文は人なり、と言うのは、そういうことなのか…な?

私自身は、姫野カオルコさんのエッセイを読んだ時に、(畏れ多くも)その文体のリズムに親しみを覚えたことがある。もしかしたら…以下省略(笑)。
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