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昨夜、「公開前夜祭」と銘打った上映後トークショー付の試写会を、日比谷のワーナーブラザーズ試写会室で見て来た。
言わずと知れた鬼才?クリストファー・ノーラン監督の最新作。
タイトルの"INTERSTELLAR"とは、「星と星の間の、星間の」と言う意味の形容詞。名詞じゃないんだなあ…その後に続く言葉、名詞を、作品を見終わった後に、各々が、それぞれの解釈で付ければ良いのだろうか?
上映時間は169分と、最近見た『6才のボクが、大人になるまで』に負けず劣らずの長尺だったが、見ている最中は、先の読めない展開と、次から次へと繰り出される壮大で美しい映像に釘付けで、長さは全然気にならなかった。正に「相対性理論」だな、これは
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時代設定は近未来。いよいよ気候変動などで地上の砂漠化が進み、農作物の収穫もままならない状況下で、残された人類は存亡の危機に立たされている。食糧難が最大の問題と化した世界では、既に軍隊も存在しない。マシュー・マコノヒー演じる主人公も元はNASAのパイロットだったが、現在は砂嵐吹きすさぶ自身の農場で、義父と共にトウモロコシを育てている。
そんな中、娘のマーフ(マーフィーの愛称)が、自室の異変に気付く。それは、その後の壮大な宇宙の旅に繋がる伏線だった…
『2001年宇宙の旅』の系譜に連なる物語だ。劇中に登場するロボットTARSは、その形状からして『2001年~』の重要なモチーフであった「モノリス」へのオマージュらしい。最新のブラックホール理論に基づいて語られる宇宙の概念は興味深く、宇宙空間の映像表現も素晴らしい。本作で、「5次元空間」なるものも初めて見た。理論が高度過ぎるのか、私がボンクラ過ぎるのか、話の内容について行けているような、いないような曖昧さを残しながらも、そこに映画音楽の名手ハンス・ジマーの仰々しいまでの壮大な音楽が加わって、否応なく作品の世界にどっぷりハマってしまう。キューブリック作品と異なるのは、親子愛が物語の中心軸にあって、全編を通して温かみが感じられるところだろうか。
そもそも『STAR WARS』シリーズと『ブレードランナー』を見て映画監督を志したと言うノーラン監督が放つSFスペクタクル。何れも好きな人間なら、本作を見て面白くないわけがない。あまり内容に踏み込むとネタばれになってしまうので、ここでは詳しく書けないのがもどかしいところ。
本作はプロデュースを監督の妻が、脚本を実弟が手がけている。製作費は実に150億円と桁外れで、ノーラン・ファミリー渾身の一作とも言って良いだろう。上映後のトーク・イベントでは、元々スピルバーグ監督が撮ろうとしていたのを、ノーラン監督が横取りしたと言っていたが、本当なのだろうか?
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とにかく今年の映画の掉尾を飾る真打ちの登場であるのは間違いない!
その作品世界を、スケール感を、是非、映画館の大きなスクリーンと迫力ある音響システムで、体感して欲しい!
【ワーナーブラザーズ試写会室のこと】
JR新橋駅にほど近い、地下鉄の内幸町駅からはすぐの、日比谷セントラルビル1階にある、ワーナーブラザーズ・ジャパン所有の試写室。試写室と言うだけあって、座席は50席ほどのコンパクトな作り。スタジアム形式で傾斜も付いているので比較的見易い。
昨夜は、開場時間を過ぎて来た人は、既存のシートに座れずにギリギリまで右往左往していた。一応、急遽折り畳みイスを両サイドの通路に設置して対応していた。私は開場30分前に現地に着いたが、既に15人ほど並んでいた。一番前の席は直前のスクリーンを見上げる体勢になるので、できれば避けたいところ。利用する機会があるのなら、早めに現地に行った方が無難だろう。